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04 30
2014

右傾化再考

人はどうして国家主義者なんかになれるのだろう?――『日本の右翼』 猪野 健治

4480420509日本の右翼 (ちくま文庫)
猪野 健治
筑摩書房 2005-04

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 人はどうやったら国家主義や全体主義のような思想にのめりこんでゆけるのかといった疑問から、一連の右翼思想の本を読んでいる。わたし自身はまったく個人主義だから、そのような論理や心情に迫れないかという試みであり、魅惑や憧憬を感じての読書ではない。

 ジャーナリストの著者は『ヤクザと日本人』という本を書いており、右翼はそういったくくりの中の部類にふくまれるものと戦後されてきた。「暴力団の別名」のように思われている。たいていの人には街宣車で軍国的な歌を流すイメージしかない。

 それがさっこんでは嫌韓やヘイト・スピーチ、右傾化といった傾向がいわれるようになって、わたしとしても右傾化について懸念を感じざるをえなくなってきた。

 わたしはこういった問題は避けてきたので、このさいだから右翼思想に頭をつっこんでみようと思ったしだいである。それもなるべく危険な思想で、キナくさい思想がとくに読みたいというのはわれながら悪い趣味であるw 思想の中でも深いところ、神秘的で難解なものを好むのは知識の醍醐味といったものだろう。

 思想に興味をもってきたものとしては、近代の警察や政府に弾圧されたり、殺されたりしてきた近代の思想がどのようなものだったのかもっと知っておきたいという思いはある。右翼と社会主義、軍国主義はどう絡み、どう違っていたのかといった切り分けも知りたい。

 この本は1973年に出され、2005年の文庫化にあたり、大幅に加筆・訂正されたの記述がある。もう四十年も前の本である。

 第一部では「歴史と変遷」、第二部では「人物と思想」がとりあげられている。

 右翼のことなどまったく知らず、人物の顔も知らないし、おおよその流れもほとんど関知してこなかったことがらなので、記憶と概括の定着がむづかしいのだが、まあひととおり読んでみたといったくくりになる本だろう。

 人物では行動や行跡がおもにとりあげられていて、思想面をもっと期待したわたしにはすこしものたりなかった。もっとも右翼は思想より、行動を重んじるということだが。

 べつになにか感慨をうけた一節というのはあまりなくて、むかしの右翼には北一輝のような社会主義者もふくまれており、頭山満とか宮崎箔天のようなアジア主義者もふくまれるのがふしぎである。では軍国主義はどこにふくまれ、位置するのかと思う。テロをおこした青年将校たちは右翼であったのか、社会主義者であったのか、軍国主義であったのか。

 わからないことだらけだし、記憶もなかなか定着しないし、魅惑を感じての読書でもないから吸収力はかなり劣るのだが、もしいまいちど右傾化の流れが増すのなら、この一連の思想の流れに学んでおくべきだと思うのである。



思想としての右翼右翼の林檎―“禁じられた”思想の系譜を飲み下すために昭和維新試論 (講談社学術文庫)増補 民族という虚構 (ちくま学芸文庫)超国家主義の心理と行動―昭和帝国のナショナリズム


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