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02 28
2014

日本崩壊80年周期説

異化の目を借りる――『外国人が見た日本の一世紀』 佐伯 修

4896917359外国人が見た日本の一世紀 (新書y)
佐伯 修
洋泉社 2003-06

by G-Tools


 講談社学術文庫には幕末・明治の外国人から見た日本という本がおおく出されている。おそらく西洋近代化をへる前の日本人はどのようなものだったのかという興味なのだろう。

 この本はそういう興味からずれた明治33年の1900年からはじまり、2000年までの一年ごと二ページ見開きの外国人から見た日本のすがたをとりあげている。どういったかたまりや興味で読めばいいのかむづかしいし、一年ごとに集中力が必要で、このような年表的な編集は成功したのだろうかと思うけど。

 本の中からいくつかのエピソード、言葉を拾いたいと思うが、脈絡を結びつけるのがむづかしい。

 戦前の日本は白人の文明国にゆいいつ戦争で勝利したアジア・有色人種として非西洋国から憧れられたり、おおくの独立運動家や革命家をひきつけたのだが、日本のアジア主義の右翼思想家たちはインドの独立運動家ならともかく、支配下にあった朝鮮の解放運動家も支援や援助をするというふしぎな行動をとった。

 頭山満、内田良平、大川周平といった右翼指導者の民族主義は、他民族の民族主義も認めるもので、排外主義ではなかったのである。自分たちの肯定しているものはよそのものでも肯定する。排外主義者たちは自分たちの民族や国家を肯定しないゆえに他国や他民族も肯定できないのだろうか。

 蒋介石は日本の陸軍に1910年に入るのだが、「私は、日本軍隊の下級幹部が、兵士を奴隷や牛馬のように扱うのをみて、このような軍隊で戦争などできるものかと思ったものである」といっている。いまでも日本の部活には下級生シゴキとかイジメみたいなものがうけつがれているが、このころからはじまったのだろうか。

 1916年、大正五年にタゴールが来日してブームがおこっている。1922年にはアインシュタインも来日している。タゴールは講演で、「適者生存」という標語を日本が掲げていることにたいして、いっている。

「そのモットーの意味することは、『さっさと、自分の好きなことをやれ、そしてそれが他人にどんな損失をもたらそうが気にとめるな』ということであります。…眼の見える人々は、人間と人間とは非常に密接に結びついているので、誰かをなぐろうとすると、その打撃は、やがて自分に戻ってくることを知っております。…ひたすら愛国心を礼賛させ、道徳的盲目さを養う国民は、やがて突然の死によって、その存在を終わるでしょう」。「亡国の詩人」とそしられ、のちの二度の来日にブームがおこることはなかった。

 チャップリンは1932年、昭和七年に来日しているが、犬養毅首相の長男と相撲を観戦していたら、首相の暗殺の報が入り、官邸に駆けつけたということである。翌日には会見とレセプションの予定だった。まるでチャップリンを契機にしたような「五・一五事件」だったのである。

 戦後にはサルトルやフーコー、リースマンといった知識人の来日がトピックになっているが、ロラン・バルトのパチンコの考察がおもしろい。

「遊び手は象徴的にだが、お金のしぶきを一身にあびることになる。そのとき、人は理解するのである。資本主義的富の締めつけ、月給生活の窮屈きわまるつましさに抵抗しているこの遊びの深刻さを、一挙に遊び手の手にみちあふれてくるお金の玉の欲情の大快潰を」

 ヤクザの文化人類学を書いたヤコブ・ラズはテキヤをこう見た。「実は「ノーマルな」「堅気」の社会からの眼差しに強い脅威を感じており、それに対する無意識の防禦が、刺青を含む外見の誇示や、威嚇的なポーズを生んでいる点などを指摘する」。これはヤンキーにも共通することであって、学歴で蔑視されることの威嚇がかれらの外見なのである。

 そのほか何点か抜き書きしたかったが、あとは本書で。どちらかというとこの本は年表で羅列するより、なんらかのカテゴリ・共通点で結びつけたほうが頭にのこりやすかったかもね。



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