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02 23
2014

映画評

おすすめ順 ツイート映画評まとめ――「Roots」「藁の楯」「キック・アス」ほか

 おすすめ順にツイートした映画評をまとめておきますね。見終わった感想なのでとうぜんネタバレもふくみます。


ルーツ コレクターズBOX [DVD]
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「Roots」 たぶん一話と三話とびとびに見た。アメリカの77年の大ヒットテレビドラマで、視聴率45%の社会現象になった。黒人奴隷と白人の関係が絶妙にえがかれている。三話でクンタ・キンテの逃亡癖を皮肉を聞かせながら諭してゆくヴァイオリン弾きのフィドラーが死んだのは泣いたね。

「Roots」 一話ではアフリカ部族の男になる通過儀礼の話はあまりおもしろくなかった。奴隷船での反乱をくわだてるラストで終わるのだが、二話見れず。三話では逃亡とあきらめからの定着、結婚とクンタ・キンテのアメリカへの帰順が描かれる。

アメリカの大ヒット物語というのは、「男というものはどういうものか」、「男はどうあるべきか」というテーマがずっしりと構えていて、「Roots」は黒人奴隷の物語を描いていながら、「アメリカの男はどうあるべきか」という普遍のテーマが琴線にふれたのだろうね。

「Roots」は黒人の奴隷の苦難の歴史とどうじに、イギリスからのアメリカの自由、なにものかの束縛や隷属からの自由といった、アメリカ白人自身の隷従と自由も重ねることができたのだろうね。黒人奴隷の物語はわれわれ自身の隷従も示唆するのだろうね。

男の理想というのは自尊独立であるから、どうしても社会の隷従状態とどこかでぶつかり合うことになるね。ほこをどこで収めるかという問題になるね。というか、男らしさは国家や集団のために死ぬことが多いのだが、その隷従状態の屈辱は男らしさから外れないわけ?

「Roots」を見ているが、たしかにアメリカで77年に大ヒットした理由がわかるドラマだろうね。人はどこかで社会の奴隷状態をいくつも経験しなければならないから、共感を重ねることができるのだろうね。ただ二話、四話とつづきを見れなかったのがイタイ。

原作のアレックス・ヘイリーの『ルーツ』は絶版か。三冊本だからね。黒人奴隷の話はなにがしかの社会の奴隷状態に重ねることができるんだけどね。

「Roots」六話まで見終えた。なんどか見たくなる心に残るドラマだね。でも残念なのが、二話と四話を見れないという痛恨の極み。三話のクンタ・キンテが脱走ばかりして、諭すヴァイオリン弾きのフィドラーの回がいちばん印象に残ったかな。この人、自分の奴隷状態の嘆き方が会社人間っぽいかも。

黒人の奴隷って鎖でつながれていたわけではなくて、農場の中で動き回ったり、夜は自分の家?部屋で眠ることもできたし、結婚ももちろんできた。脱走したって食えなくなる、もしくはつかまるので逃げなかっただけ。奴隷と賃金労働者のなにが違うのだろう?と思うね。

「Roots」は黒人奴隷の自由の問題をあつかっていながら、男になるとはどういうこともテーマにしていたから、アメリカで大ヒットしたのだろうね。アメリカは男らしさとはなにかをテーマにした映画がヒットする国。シュワルツェネッガーやスタローンのマッチョ派、イーストウッドの知性派男。

「Roots」、全編を再アップされている。これで心残りだった二話と四話みれる。仕事終ったらさっそく見る。黒人奴隷の何世代にもわたるルーツの話だけど、人はなんらかのかたちで奴隷状態をガマンしなければならないのはいつの時代もで同じだから、心にしみる。

77年のアメリカ大ヒットドラマ「ルーツ」はやっぱりいいね。ずっと頭にこびりつく愛しきドラマに思える。勇敢な男になりたかったクンタ・キンテが、アメリカで奴隷としての立場を受け入れてゆく回がいちばん感慨深いかな。だれしもがそういう経験をつんでゆくわけで。

「Roots」四話見た。前後がぎゃくになったが、これで全編みた。四話ではクンタ・キンテはすっかり奴隷の身分になじみ、娘のキジーの代に。キジーは売られ、家族はひきさかれる。白人のだんなの子をはらみ、子のジョージはなぜかお調子者w キジーは恋をするが、自由を忘れた男とは別れる。

「Root」 クンタ・キンテの死に際を見れなかったのが心残り。キジーは売り払われ、父の死に目にも会えず、母もどこかに売られていた。子のジョージはお調子者だが、闘鶏で儲けた金でついに自由を買うことができるようになる。キジーの恋のエピソードはクンタの娘を思わせるね。

「Roots」は年をとればとるほどしみる話だね。だれもかれも労働者はどこかに奴隷状態の鎖につながれていて、隷従か自由かという問題は、黒人奴隷ほどひどくないにしても、おおくの人をとらえる問題ではないかと思う。黒人奴隷と賃金労働者はなにが違って、どんなところに同じものがあるのか?

「Roots」の動画をもう一度見直すか、それともアレックス・ヘイリーの絶版の原作を読むか。それほど愛すべき作品だね、「Roots」は。登場人物のなかでは、奴隷の身分に自嘲的、自虐的に向かっていたヒュドラーがいちばん印象的だったかな。

クンタ・キンテ「トビーはよく働く黒人です。ここにおいてください」。屈強な肉体と逃亡と自由の夢をみるクンタが、白人のだんなに媚を売るセリフが違和感ありすぎて、黒人奴隷の状態をよくあらわしていたね。



藁の楯
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「藁の楯」 おもしろかった。こんなクズを守る必要があるのか。しかもクズを守るために移送チームも死んでゆく。ただ内省がおおくて、もっとエンターテイメントに徹してもよかったと思うんだけど。ふつうの市民がつぎつぎと襲ってくるとかね、ゾンビなみに。

「藁の楯」 犯罪被害をうけた近親者は報復を容認すべきだという心情が高まっているようだが、これをやればただの犯罪者と同等の人殺しであって、それを防ぐために国家や裁判の経由をへなければならない。ほかの機構に棚上げすることは文明であるための歯止めだと思う。

クズを守る以前に人が人を裁くという暴力性、身勝手さ、尊大さといった問題にわたしはつまづいてしまうね。人を裁くなんてほとんど身体の自由を拘束されたものに暴力をふるうような権力の暴走があるのだから、権力をもっているということに自覚的にありたいね。

「藁の楯」はゾンビみたいに10億の懸賞をめあてに襲ってくるシーンをふやしていたら、まさにゾンビ映画になっていたね。そういうゾンビ映画ってカネの欲望にとり憑かれた人たちの暗喩になるし、なによりマスコミで悪者とされた犯罪者を容赦なく叩いたり罵倒したりする尊大さの批判になるね。

「藁の楯」の感想のつづき。犯罪者を裁くというのは国家の警察や軍隊の暴力や権力のうしろだてがあるからこそなりたつ行為であって、人が人を裁くというのは国家の暴力を前提にしていること、せおっていることを忘れたくない。マスコミでガス抜きするけど、国家暴力をまとっている。

市民は人を殺すことも、人の自由を監禁することも犯罪である。しかし犯罪という悪を犯したものだけにはその禁を越境することができると思われている。犯罪者を裁くということにおいて、犯罪と同等のことがゆるされると思っている。


東京家族
東京家族
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「東京家族」 じつによかったね。ゆったりとした時間の展開なんだけど、ぜんぜん退屈ではない。小津安二郎の作品のほうを先に見たかったのだが、さすがに白黒の世界に入れなかった。もとの映画に忠実につくられたのかな。セリフがところどころ古風だったものね。

「東京家族」って広島の子どもたちがすべて東京にいってしまって、こんな家族がばらばらになる立身出世の制度なんてけしからんといっているのかな。次男の妻夫木の彼女を認めるエピソードは、女々しい男のやさしさを認めたことになるのかな。まあこの映画、テーマよりゆったりしたセリフ、時間がいい。

「東京家族」 仕事や金儲けに縛られて、てんで家族のつきあえる時間をなくした戦後日本にたいする批判なのかな。「東京なんか二度といかん」。中島朋子の声音を変えた演技が、生薬のCMの声といい、おどろいたね。

人間って「場所の存在」であって、場所が離れれば縁もかなり遠くなる。場所がおなじであれば家族となり、離れれば疎遠になる。また場所を同じくするものは葛藤を大きくするばあいもある。場所の重要性をもうすこし認識すべき。




「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」みた。浅羽通明の『時間ループ物語論』を知って以来、みたかった作品。未読だし、もう絶版になっているね。無限ループの世界って成長しないでおなじところをぐるぐるとまわっている現代の理想的世界を批判しているわけかな。成長せよと。

「ビューティフル・ドリーマー」は「終わりなき日常の世界」を批判しているのではなくて、直線方向の成長、進歩的時間のことを称揚しているのかな。漱石の高等遊民とかニートのアンチとして。進歩史観的な成長はまだ必要なのかという気がするけど。オタク世界から抜け出せというメッセージもいわれたね

無限ループってどちらかというと経済社会、機能社会のほうが無限ループであって、ここに成長はあるのかという気がするけど。経済的成長は人間的成長なのかと。経済的成長のほうが人間のゆがみ、コンプレックスや欠如の痛みをふせぐ無限ループという感じがするのだけど。

しかし「ビューティフル・ドリーマー」は無限ループに気づいて、それが夢だとわかってその世界をつくりだしたおっさんと闘う内容であって、どのような意味や思想をこめているか、まったく言葉であらわしていない。ヒントもメッセージも言葉であたえない。深読みするべきなのかという気もする。

わたしは中学のころ、「うる星やつら」をちっとも見たいとは思わなかったね。「ガンダム」は見ていたけど、そう魅力的なものではなかった。手塚治虫のマンガが好きで、映画の「999」は好きで、「猿の惑星」が好きなという感じだった。


キック・アス (字幕版)
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「キック・アス」 なんともハチャメチャで、複雑な映画。ソーシャル・ネットワークでの承認がひとつの中心テーマ。ダメ男のさせないヒーロー願望は親近感を抱かせるかもしれない。しかし娘を殺人武器にする父親の復讐はなにを暗示しているのか。防弾チョッキに父が銃を撃つシーンが少女の初登場。

「キック・アス」はどこに解釈をおいたらいいかわからないな。三人の少年少女たちの物語で、キックアスは母が死んで父だけの家庭。ヒットガールも母の復讐のために娘を殺人マシーンにつくりあげる狂気の父親とふたり。悪役レッド・ミストだけ両親が健在で、ギャングなのに家庭の理想を築こうとしている。

「キック・アス」 こちら側は母の不在の家庭で、男性倫理の暴走が描かれている? 正義をめざしたキックアスが復讐狂の父親に生み出された殺人マシーン・ヒットガールの残酷な復讐劇にまきこまれる。正義は個人的復讐と変わらないということ? でも悪として糾弾されているわけではない。

悪役ギャングの子どもレットミストだけが両親が健在で、父が理想的な家庭のありかたをめざそうとしているのがこっけい。残酷なギャングの父でありながら、家庭ではよき父親たろうとしている。そのギャングに母を失ったふたりの少年少女たちが戦いと復讐を挑もうとしている。

「キックアス」はじつはよき家庭を目指すという保守的な理想にたいする批判が根底にあると見なすことができる? ギャングの父親が残酷な仕事を放り出して、子どもと映画を見にいくという理想的な父親を演じようとする。そのギャングと戦う子どもの家庭は母の不在。

「キック・アス」は父のありかたや家庭のありかたをヒーローモノで偽装した映画、マンガだということでができるかもね。両親健在の家庭に片親家庭の子どもたちが復讐と攻撃を加える。片親家庭の世論への反発、もしくは良識的家庭への反逆が根底にあるかも。


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「ザ・パージ」 一年で12時間だけ犯罪が許される近未来のアメリカの話。設定はよいのだが、一家族だけの話にしたのは社会的なひろがりをもたらさないね。さいご近所の人たちに殺されかけるのはアメリカ人がひじょうに恐ろしく思うことだろうね。助けたために災厄の原因になったホームレスに救われる

「ザ・パージ」のような近隣の疑惑や追放というのは現実の中国の文化革命でおこったことで、富裕層や知識人がその対象にされたことは、ふつうの人たちの優越にたいする嫉妬心があからさまになった実例だろうね。こういう嫉妬心が平等や社会主義の原動力なんだね。


オブリビオン (字幕版)
(2013-11-11)
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「オブリビオン」 トム・クルーズ主演のSF映画。信じていた世界がじつはうウソだったという話。これまでの世界と元の世界に恋人と妻がいて、古妻と新妻のどちらがいいのかという話にも思えたが、ハードコアSFみたいな観賞感。元妻のウクライナ出身のオルガ・キュリレンコが魅力的。


エリジウム (字幕版)
エリジウム (字幕版)
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(2014-01-21)
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「エリジウム」みた。「第9地区」のニール・ブロムカンブ監督による映画ね。さいごのシーンは感動で泣けた。犠牲になることではなくて、市民の制限をはずせばおおぜいの人が助けられるという話ね。貧困と格差がまえの作品と同じテーマになっているのだけど、途上国との格差までふくまれているのか。

「エリジウム」はアメリカ本国だけの貧困や格差を語っているのではなくて、世界レベルの格差や貧困をふくめているのかな。いやになるくらい荒廃している。ストーリー自体はさして高度ではないのだけど、格差の設定は秀逸だね。


アナと雪の女王 (字幕版)
(2014-07-08)
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「アナと雪の女王」みた。三月に公開だね。英語字幕だったので読解力はなかったが、ストーリーの大枠だけはつかめた。これは制御できない冬と夏の愛の力の融合だね。冬の死と春の再生の物語は人類の物語の元型になっていて、「桃太郎」も「眠れる森の美女」も冬の死と春の再生をうたっているね。

キリストの再生も冬の死と春の再生をうたっているのだと思う。この人類の元型の物語が、子どもの心にどう訴えかけるかだな。季節の物語を人は成長や人格の向上のメタファとして読んできたのだろうね。季節の再生は人格の成長も暗喩する。

人間は近代になって機械の暗喩を手に入れたのだが、それまでと年のふしめには季節の暗喩の物語をまだ用いている。正月もクリスマスも冬の死と春の再生の物語だね。それは人格の成長の暗喩にもなっているというわけね。


戦争より愛のカンケイ [DVD]
オンリー・ハーツ (2012-06-08)
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「戦争より愛のカンケイ」 とってもフランス的な政治的な映画。タイトルが残念すぎるね。物語はほとんどなく、ユダヤ人を隠す子孫とアルジェリア移民の子孫の恋愛というより、思想の結合。

「戦争より愛のカンケイ」はGyao!では「大人向けのエロティックな作品」と紹介されているのだが、ヌードとだれとでも寝る女は出てくるが、それは政治的信条のため。ファシズム男を改宗させるために男と寝る、ヒッピーで政治運動家の母の娘が主役。

「戦争より愛のカンケイ」はもう高度な政治的な思想の表現のために登場人物が動くだけ。喜劇やコミカルであるが、深刻なユダヤ人迫害の問題を母にもった男と、ナイジェリア移民の虐殺と差別を抱えた男の娘がくりひろげる政治思想的な映画。とっても政治的背景の素養が必要。


モンスターズ・ユニバーシティ(吹替版)
(2013-10-24)
売り上げランキング: 720


「モンスター・ユニバーシティ」 自分はそうでないのに努力でのしあがることをもちあげた作品で、わたしは「シュガー・ラッシュ」のほかの人になることより、あるがままを肯定するメッセージのほうをだんぜん支持する。努力で成長するというメッセージはこれからもメインであるかもしれないが。

「あるがままの肯定」って努力しなくなるといえば努力しないといえるけど、はたして自分の否定や自虐によって成長をうながせるかという思いがある。それより自己への否定や自虐をとりさることのほうが重要な気がする。自分を言葉によって評価、加点・減点しない自己像。


英国王のスピーチ (字幕版)
(2013-05-15)
売り上げランキング: 2,420


「英国王のスピーチ」 吃音症の話でもあるけれど、国王の自信をもっていく話に思えた。じわじわと涙が出る。友だちの信頼感が根本的によい方向にもっていったみたいだね。そこで皇室の立場を軽くあつかう。前に見たような気がするけど、地上波で放送したことある?

吃音というのは不安になったときに筋肉がどもる自動ループができあがっているんだろうね。この自動機械を解体するには不安の解消と機械の解体が必要だろう。不安は瞑想でだいぶ消せる。だけど筋肉の自動反復の解体はむづかしい。これは機械的な反復で治すしかない?

アルコール依存症とおなじく吃音症もそのことの罪悪感や羞恥心ばかり考えている。頭の中がいっぱいになっているから、よけいにそれにとり憑かれる。だから瞑想でその考えを消す。不安にとり憑かれることはその反復をいや増す。

基本的に人は考えることでものごとが解決するような思い込みにひたっているのだけど、思考なんて身体のできごとの解決に何の用もなさない。ぎゃくにそれが身体の不可解な反復のスイッチになっている。思考による不安で頭がいっぱいになることが身体のスイッチなのにね。


ゼロ・グラビティ(字幕版)
(2014-04-08)
売り上げランキング: 4,445


「ゼロ・グラビティ」 ずっと脱出劇。困難な状況からのつなわたり。心理的には主人公の女性は娘をなくしており、その再生と再起の心理ストーリーのことが描かれているのだと思う。ロシアの衛星の破片で損害、漂流して、ロシアの船にのり、中国の船にのったことはなにか意味するか。

「ゼロ・グラビティ」はジョージ・クルーニーがいい味を出している。ずっとおしゃべりのおっさんだけど、そのありがたさがじわり。これは映画館の迫力で見たい映画だね。

「ゼロ・グラビティ」は宇宙に放り出されて漂流して、クルーニーに助けられて、ソユーズに乗り込むときはひとり。船に入ったときには胎児帰りのようなシーン。死と再生がここからはじまるわけね。

この映画はずっと娘をなくした衝撃からの立ち直りが、象徴をとおして描かれているのだろうね。男に助けられたり、宇宙船をのりかえたりは、「三匹のこぶた」の壊れやすい家から堅牢な自我の家を思い出したね。


すーちゃん まいちゃん さわ子さん
(2013-11-20)
売り上げランキング: 3,599



「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」 益田ミリの脱力系マンガを映画にする時点でべつものになるのはわかっているのだけど、やぱりあの独特な間合いは出ていない、というかつくれないのだろうね。三十すぎの独身女性にはとても共感できる話なんだろうね。

「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」 真木よう子が脱力系の役はちょっとふさわしくなかったかな。柴崎コウはいがいに脱力系でもOK。脱力系ってほんとうは政治的な文脈におくと、怒りの先のあきらめや絶望に発していると思うんだけどね。

「すーちゃん…」に映画的な要素や展開を期待する自体がまちがっていて、ほとんど物語がない趣向の四コママンガが原作だからね。物語すら脱力。


ガタカ (字幕版)
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(2010-10-01)
売り上げランキング: 3,650


「ガタカ」 遺伝子操作で優秀な弟は兄に勝てなくなる。なりすましを契約した優秀者は足の不自由で、主人公が旅立つときになぜ死をえらんでしまうのだろう? 基本的にこの映画は劣勢とか劣等の壁を打ち破れ、突き抜けろというメッセージ。刑事が疑うのはみずからの疑心ともいえるね。

「ガタカ」は遺伝子的に「不適格」と烙印をおされて底辺に押し込まれている人間が、遺伝子の超優秀なものの血液や尿を借りることによって、「適格者」になりすまして宇宙飛行士になる話。殺人容疑にかけられてバレそうな内容は「砂の器」に似ている。差別や劣等の烙印をはねとばす可能性に賭ける話。

「ガタカ」 ネットではけっこう傑作とか名作とかいわれているようだけど、むかしSF好きなわたしが知らなかった97年の作品。SFは設定だけで、内容は『砂の器』に似ていて、でもこっちのばあいは成功する。限界や壁をこえる人間の可能性がうたわれているから、高評価なんだろうね。


ワールド・ウォーZ (字幕版)
(2013-12-20)
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「ワールドウォーZ」 まあ、おもしろかったんじゃない。どこまでも追いかけられて、飛行機の中でゾンビに変わってゆくシーンは絶望的。終り方はいいカタルシスを味わえるね。

「ワールドウォーZ」 ゾンビ映画のタイトルが世界大戦と冠するのが謎。韓国やイスラエルがなぜ舞台になったのか。ゾンビがなにを象徴するのかあいかわらずわからないな。

ゾンビはむかし共産主義を排斥したい時代にはそれを象徴することができたかもしれないが、いまはそういう思想的な対象ってべつにないと思うしね。ゾンビってなんなのだろうね。

「『ナイト~』を、60年代カウンターカルチャーの革命が挫折したことへの苛立ちから作った。『ナイト~』のゾンビたちは敗れ去った革命の亡霊なんだ。」 / “ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記 - 『ランド・オブ・ザ・デッド』速報②ゾンビ家元ロメロ大いに語る


「『ドーン~(ゾンビ)』のゾンビが象徴するものは違う。彼らは消費社会のなかでCMに洗脳されたアメリカ人みんなだ。彼らは何も考えずに意味もなく毎週ショッピングモールに集まり、必要もないものを買いまくる。いくら消費しても飽きることをしらない。」

「我々はどんどん、何も考えずに消費するだけのゾンビになっていくんだ。」

「「人が人を食べる」というのも、資本主義の競争社会を象徴しているように思える」 / “『 ゾンビランド 』|小梶勝男”


かつてロメロがゾンビを産み出した時は大量生産大量消費の人間の愚かな欲望の象徴だったけど」

人が人を食うというのはたしかに資本主義の競争の象徴だね。欲望だけにつき動かされるショッピングモールの消費者というゾンビ像も今日的だね。けっこうわたしたち自身のすがたかもねということか。



 つづきはほかに見たあまりおすすめしない映画評です。


さよなら渓谷 [DVD]
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キングレコード (2014-01-22)
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「さよなら渓谷」 さっぱりわからない。言葉的な解釈はできるのだろうけど、気持ち的に消化されない。被害者でありながらだれかも許されない真木よう子。その被害者といっしょに暮らす加害者。加害者と被害者は二分できないというヒントもあったけど。ラストは贖罪の人生の価値を訴えたような。

「さよなら渓谷」 とにかく肉欲を貪るふたりが多く描写されるのだが、これは人間の肉欲はしゃーないということなのか。被害者と加害者が混沌となる。被害者と加害者が一体となる、分けられない世界のことか。被害者は世間によってさらに被害者になる。二重に罰するものをゆるす・癒すものはなにか。

「さよなら渓谷」というタイトルの意味も、山里風景の田舎が舞台となる理由もまったくわからない。癒し・再生の過程となる自然風景なのか。では、なぜさよなら?




「リアル~完全なる首長竜の日」 テンポとかおもしろさとかがいまいちゆるいな。罪悪感の隠蔽と解放がテーマになっているのだが、これって普遍的なテーマとしてあるものなのかな。バブル経済と島の開発反対という背景はなにかそのこととつながりはあるのかな。昏睡のすりかわり、反転の意味は?


ザ・マスター(字幕版)
(2013-05-15)
売り上げランキング: 8,170


「ザ・マスター」 あまりにもたいくつな映画だったので、一時間くらいで中断中。サイエントロジーのロン・ハバードがモデルになっている話とか。「ダイアネティックス」という本はたまに見かけたことがある。この映画、物語の推進力がほとんどない。

「ザ・マスター」見終わった。まったくわからない映画。サイエントロジーという新興宗教を批判するわけでもないし、物語的な要素もなく、ただたいくつ。壊れた男がその教祖と出会い、友情をはぐくみ、別れただけの話で、そういう過程をただ描くだけ。なんでしょうか。

「ザ・マスター」でみるかぎり、サイエントロジーは前世の信仰があるみたいだね。すこしグルジェフ的なメソッドもあるよう。新興宗教なのか、自己啓発なのか、映画では精神分析的な療法のようにもみえるし。


モールス (字幕版)
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(2013-05-15)
売り上げランキング: 3,888


「モールス」 ドラキュラものの血は性的なものの象徴と考えていいの? この映画では少年の性のめざめと力の獲得がえがかれているのだが、少女がドラキュラである解釈が読めないな。少女は血=性に飢えた獣?、まさかね。少年の内なる女性性の獣性を飼いならすということ?

「モールス」 ドラキュラの少女のために初老の男が人を殺して与える役をやっているのだが、こんどは少年がその役を代わってやってやることになりそう。これは「砂の女」的な女性にささげる男の自己犠牲的な生き方みたいな解釈でいいの?

ドラキュラは伝統的に男だったのだが、血を吸うというのは女性の処女や純潔をうばう危険な獣の象徴としてあつかわれてきたと思うのだけど、つまり処女性・純潔性をうばう男は危険だということ? 「テス」的な、「もはや処女ではない」といった大げさな価値感?


長州ファイブ
長州ファイブ
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(2014-06-30)
売り上げランキング: 7,752


エンタメとしてはぜんぜんおもしろい作品ではないね。テンポも寝そう。幕末の人がとうじのロンドンにどう感じたかという場面を想像できるだけ。 「長州ファイブ」

「長州ファイブ」 松田龍平がロンドンで恋に落ちる女性が耳の聞こえない人であることになんらかの意味はあったのだろうね。「もつ人」と「もたない人」の不平等をおしえられるし、伊藤博文は売春婦の女性にここのどこが「文明国」なんだと笑われる。

「長州ファイブ」 近代化のはじめまでさかのぼって、文明の価値を問うたのかもしれないが、あまりメッセージの強いものでも、感銘するものでもなかったね。造船をまなんだ山尾庸三を主人公にもってきたのだから、技術や人材育成の肯定もとうぜんこめているのだろうね。




「シルク」 わからんなあ。妻がなぜ謎めいた日本人女にすりかわって恋文を書いたのか。そしてこの物語の蚕を日本に買いにいく時代背景が1860年代の幕末から明治維新にかけての時代なのか。謎とエキゾチックなリスペクトにあふれたそうそうたる合作映画かもしれないが、なんのことかわからん。


1911 [DVD]
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アミューズソフトエンタテインメント (2012-06-08)
売り上げランキング: 31,815


「1911」みた。中国の辛亥革命の歴史ね。まあ、無名の戦士たちの無数の死のおかげで革命がなったというプロパガンダ?映画ね。100周年目につくられた映画だからね。もうほとんど感動する場面なし。孫文は外国に資金集め、日本でのことはいっさいふれない。なにを切りとったかという映画かもね。

君主制から民主制のメリットってなんだったんだろうと思った。基本的に君主制は民衆にとっては「だれかの国」。かわりに民主制は「オレたちの国だ」と思わせる。その民衆パワーを最大限にひきだす装置が民主制なのかもね。国家の力は民衆のパワーの合算で決まる時代になったから、必要性が生まれた?

民主制ってはじめは「オレたちの国」と思わせることに成功して、しだいに国民の手の届かないものになって、また「だれかの国」になってしまうんだろうね。そして「だれかの国」の中で権力闘争がおこって軍人あたりがまた力をにぎって、民衆パワーは落ちてゆくのだろうね。

中国の辛亥革命が1912年になされて、ロシア革命は1917年。アジアのほうがヨーロッパを影響したことになるね。でも辛亥革命って民主主義だったのか、社会主義だったのかシラナーイw 日本の明治維新が1868年だから、ほぼ40年ほどのラグ。アジア独立の契機の日露戦争は1905年ね。

ベルトリッチの「ラスト・エンペラー」は歴史にほんろうされる個人の無力さを痛烈に感じさせたのだけど、「1911」にはそのようものはちっとも。


俺はまだ本気出してないだけ
(2013-12-19)
売り上げランキング: 2,324


「俺はまだ本気出してないだけ」これはヤバイかも。商業作品の価値もない映画かも。ダメ男をえがいているからもりあがらないからかもしれないが、サクセスもなければね。ほかのふたりの脇役も感動的になりそこなっていた。

 ダメ男はダメ男のままで、まわりの人間をはげます価値があるという映画だったのかな。


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世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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