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01 29
2014

書評 性・恋愛・結婚

さっぱり意味をつかみかねた――『成熟と喪失』 江藤 淳

4061962434成熟と喪失
“母”の崩壊 (講談社文芸文庫)

江藤 淳
講談社 1993-10-04

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 母性社会での成熟や近代化論、あるいは男性原理といった話題あたりを語っているのはわかる。農耕社会での死と再生といったわたしの興味のもっている話題も言及されているのがわかる。

 しかしさっぱり意味をつかみかねた。理解に近いところを語られていながら、わたしにはさっぱり明晰さや明確な手ざわりをつかめなかった。

 思想であるとか、心理学、社会学とかを読んできてそれらの理解はわたしなりにしてきたと思っているのだが、この本はその手の本となにかが違うのか、文芸評論というジャンルのせいなのか、明晰な理解におよばなかった。なんなのだろうね、この江藤淳のこの本の理解のしにくさは。

 ジャンル的に近いと思われる河合隼雄の『母性社会日本の病理』のような本なら理解できたと思う。河合隼雄の本なら何冊か読んで理解している。この本はできなかった。文芸評論というジャンルはわたしには「詩的」すぎるのか。

 第三の新人や戦後派作家といった人たちの作品は古くさく感じて、遠藤周作の通俗作品とよばれる本程度しかわたしは読んだことがない。これらの作品がとりあげられていたから、わたしの理解をこばんだというわけではないと思う。

 おそらくこの本でとりあげられている作品は表面的には日常の男女関係だけが描かれていて、わたしには日常の痴話話に近いものに思えて、女性原理や男性原理、近代、アメリカといったテーマが仮託されていることを読み込めなかったかもしれない。そういう読解のむづかしさを明晰にあらわしてくれるものが文芸評論だと思うのだが、この本ではその明晰さや明瞭さをわたしにもたらしてくれなかった。

 興味ありそうなテーマあたりを語っているから、くやしい心残りがのこるのだが、自分に理解できないものを摂取することはできないので手放すしかない本になってしまうのだろう。やむをえない。

 文芸評論というジャンルゆえにわたしの理解をこばんだ。。ということでもなかろう。


母性社会日本の病理 (講談社プラスアルファ文庫)母権制序説 (ちくま学芸文庫)愛と性と母権制母権と父権の文化史―母神信仰から代理母まで (人間選書)父親なき社会―社会心理学的思考


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