HOME   >>  日本崩壊80年周期説  >>  戦前もアメリカニズムと大衆消費社会――『戦前昭和の社会 1926-1945』 井上 寿一
11 23
2013

日本崩壊80年周期説

戦前もアメリカニズムと大衆消費社会――『戦前昭和の社会 1926-1945』 井上 寿一

4062880989戦前昭和の社会 1926-1945 (講談社現代新書)
井上 寿一
講談社 2011-03-18

by G-Tools


 戦前昭和といえば、暗いあやまった戦争の道につきすすんだ最悪の時代だとみられている。

 80年周期説でも1905年の日露戦争のピークを境に、坂道を転がり落ちた最悪の時代である。破滅への道にまっしぐらに向かった時代である。

 こんにちも91年のバブル崩壊を境に坂道を転がり落ちている状況はまったくおなじで、サイクル的には2025年の破滅までの最悪の時代につきすすむ過程と似てきているといえるだろう。残りあと12年。その意味で戦前昭和を学ぶ価値がある。

 この本は残念ながらおもしろくなかった。戦前は戦後と断絶してように思われているが、戦後となんら変わりのない社会風潮が支配していたことがわかる程度だ。それ以外は羅列的に時代の風景をならべ、教科書的にしるすだけである。心理学や社会学が足りないというか、やわらかい部分がぜんぜんつたわってこない。政治外交史が専攻の著者だからだろうか。

 戦前も戦後とおなじアメリカニズムが席巻していた風潮の描写。昭和6年(1931年)の本から。

「今日の銀座に君臨しているものはアメリカニズムである。…彼らの服装は、彼らの姿態は、いずれもアメリカ映画からの模倣以外に何があるか。

…日本はすでに明治以来六十年の吸収でヨーロッパからは学び得るものは一応学んでしまった。…これに代わるものは大資本と、スピードと映画のアメリカニズムだ。日本人の多くは、今やアメリカを通じてのみ世界を理解しようとしている」



 戦前もすでにアメリカという目標に憧れていた戦後の時代となんら変わりはなかったことがよくわかる文章である。アメリカは1898年に米西戦争に勝ってから文明国の仲間入りしたとされるのだが、文化的には二十年後には大きな影響をあたえるようになっていたんだね。

 1920年代といえば、ヘミングウェイやフィッツジェラルド、チャップリンの若かりし時代だね。アメリカの繁栄、大衆消費社会の出現といったもようは、『オンリー・イエスタデイ』という本を読みたいね。でも1929年の大恐慌を境に世界は第二次世界大戦という破滅へと落ち込んでゆく。

 戦前は軍事国家一色のいろあいでみられるイメージがあったのだが、大衆消費社会や格差社会といったつうじょうの社会の風貌もおおくもっていたとみるべきなんだろう。

 そういうアメリカへの憧れをもっていた大衆消費社会が当のアメリカと戦争するなんてね。文化で勝てないなら、力で勝ってやるという劣等コンプレックスの逆恨みたいなものか。アニキに勝てないなら力でといった兄弟コンプレックスを思い浮かべるね。そういうのって劣等感とダメダメの経済状況、青年の時代閉塞とナショナリズムが結びついたときに亢進してしまうものかもね。


オンリー・イエスタデイ―1920年代・アメリカ (ちくま文庫)戦前の生活: 大日本帝国の”リアルな生活誌” (ちくま文庫)教科書には載っていない!戦前の日本モダン・ライフと戦争: スクリーンのなかの女性たち (歴史文化ライブラリー)戦前日本の「グローバリズム」 一九三〇年代の教訓 (新潮選書)

関連記事
Comment
Trackback
title>
Trackback URL
Comment form









管理者にだけ表示を許可する






google adsense
全ての記事を表示する
ブックガイド特集
月別アーカイヴ
プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

twitterはこちら→ueshinzz

FC2カウンター

Page Top