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08 21
2013

レイライン・死と再生

岡山レイラインから読む解く桃太郎伝説

 桃太郎伝説は人々を苦しめる鬼を退治して金銀財宝を得てくるという英雄譚となっているのだが、岡山でレイラインを引いてみるとまた別の貌を見せてくる。

 レイラインというのは寺社や山岳を夏至や冬至のふしめで結びつける配置がなされているというもので、むかしカレンダーがなかったころは季節のふしめを定点観測するための重要な装置だったと思われる。それは自然の神の存在を感じる重要な場所でもあった。

 桃太郎の元となった温羅(うら、おんら)伝承をレイラインで引いてみると夏至の日没や冬至の日の出のラインで結ばれていることがわかる。

 吉備津彦神社の夏至の日没の方向には鬼城山があり、吉備津彦神社から鬼城山に日が沈むころが夏至だったことがわかる。吉備津神社からは経山に夏至の太陽が沈み、吉備津神社から夏至の日の出が吉備津彦神社から昇り、吉備津彦神社からは冬至の日没が吉備津彦神社に沈むことが認められただろう。

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 吉備津彦と温羅のはなった矢がぶつかって落ちたとされる矢喰宮は夏至日没・冬至日の出ライン上にある。左目を討たれ雉となって逃げた温羅を吉備津彦は鷹となって追いかけ、鯉となった温羅を鵜となって呑み込む鯉喰神社はだいたい冬至の日没方向にある。この話は太陽の関係がかたどられているということがわかるだろう。

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 吉備津彦神社からは夏至の太陽をむかえるような参道になっており、別名「朝日の宮」ともよばれるそうだ。吉備津彦神社はさしずめ盛夏の太陽のパワーをあつめる場所であったか。

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 吉備津彦神社の神殿。夏至の太陽の日の出を受ける方向に向いている。

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 ご神体とされる中山。山というのは天動説で見る古代の人にとっては太陽という神がのぼり、沈む場所であったことから、神が出てきて還る「神の国」でもあり、「祖先」や「精霊」といったものも還る場所であった。ゆえに山は神そのものであったのである。

 そして神が生まれ、死者が還る場所というのは「大地の子宮」でもあった。そしてそれらを生むのは太陽の光線による「性交」であった。神々やこの世界、穀物などは神々の交合によって生まれるという考え方が古代の世界観の重要な要になっていることは銘記しておくべきである。

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 ふたつの丸い岩が祭られていた。この岩の説明をなにも見つけることはできなかったが、おそらくは男と女を意味しているのではないかと思う。性の営みがこの世界や穀物の繁栄を生み出すと考えていたのが古代の世界観である。

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 吉備津神社には目をひくものはべつになかったが、どうしてこの中山には同じような吉備津彦を祭った神社がふたつ必要だったのだろう。ふたつの神社は夏至の日の出、冬至の日没ラインに位置しており、鬼城山は夏至の日没が落ちる場所で、鬼城山から見れば、太陽が最大に弱まった冬至の日の出があらわれる場所である。

 鬼というのは冬のパワーが最大に弱まった太陽の邪気や悪霊を意味するのではないだろうか。鬼は冬にあらわれる危機や食物の枯渇、寒さの弊害といったものが具人化されたものではないのか。鬼ノ城は山のかなたから冬至の弱々しい太陽の新生・再生を見ている。

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 鬼ノ城の展望。温羅がはなった矢というのは弱々しい冬の太陽・季節に向けての人々を脅かす災厄・危機のことではないだろうか。それに抗戦する吉備津彦は夏至のパワーをあつめて、温羅という冬の危機にいどんだのではないだろうか。

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 鬼ノ城は朝鮮から侵攻をふせぐために大和王朝によって立てられたとする山城説や、百済からやってきた王子・温羅説などいろいろあるようだが、レイライン図で読み解けば、冬と夏の対抗をあらわした古代信仰の聖地であったということになる。桃太郎と鬼というのは夏と冬の綱引き、季節の変わりめを具人化したもので、太陽信仰の世界観がもとは描かれていたのではないだろうか。

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 鬼ノ城に立つ鎧岩。古代信仰ののこった聖地にはこのような巨岩が認められ、目印的なものとして用いられたのか、あるいは神の依り代となるカプセルのようなものと考えられたのか。太陽信仰には巨岩は欠かせないものであったようだ。



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鬼ノ城からの展望写真。左手のほうに吉備津彦神社が見え、この方角から見える日の出に冬至、新年の新しい太陽の再生を見ることができただろう。

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 けっきょくレイラインから見えてくるのは夏と冬の季節の太陽のたたかいである。冬に枯れ、弱まる太陽に負けないで、この世界の再生や繁栄が夏のパワーを借りた吉備津彦によってとりもどされる、祈願されたということが桃太郎に語られているのではないだろうか。

 他国を侵略・征服したという政治の次元の話ではない。また大和朝廷がまつろわないクニを平定したという話でもない。宗教的な話というか、太陽と季節の繁栄と豊穣が願われた話なのである。

 日本神話では天照大神が天の戸にかくされる話があるが、これも日蝕におびえる人たちというよりか、冬に弱まる太陽を寓話化した話で、桃太郎の起源と似ているのではないだろうか。

 桃太郎に出てくる桃や雉、犬や猿がどういった意味をになうのかはまだ勉強不足である。猿・雉・犬は西方の方位、申酉戌を対応させているという説もあるね。桃は性的な繁盛が願われたのかもね。

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【オマケ】

 岡山上でレイラインを引いていて気づいたことに、岡山空港が鬼城山一帯からの夏至の日の出ラインにぴったりと符合することである。

 正確には赤坂山と高丸山、赤磐富士と猿谷山の夏至・冬至ラインにおさまる。このあいだに岡山空港がきっちりとおさまるのである。設計者はレイラインの意図や意味をこめてこの方角に空港をつくったのだろうか。鬼ノ城から夏至のパワーを集めてといった企図をこめたなんてことはあるのか。

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▼岡山レイライン(詳細を見ることができます)

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桃太郎と邪馬台国 (講談社現代新書)新訂版 桃太郎の母 (講談社学術文庫)桃太郎の誕生 (角川ソフィア文庫)温羅伝説―史料を読み解く (岡山文庫 284)エリアーデ著作集 第2巻 豊饒と再生

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