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07 10
2013

書評 小説

可もなく不可もなく―『ワーキングガール・ウォーズ』 柴田 よしき

410139623Xワーキングガール・ウォーズ (新潮文庫)
柴田 よしき
新潮社 2007-03-28

by G-Tools


 働く女性のリアルなすがたがうつしだされた小説かな。柴田よしきという作家をためし読み。

 37歳の一流総合音楽企業に働く女性が主人公。職場にうずまく悪意やいやがらせが主な主題で、ストレス発散に一週間の休みをとってオーストラリアのケインズにペリカンを見にいく。

 ネットで知り合った旅行会社のOL27歳ももうひとりの主役として、彼女の目からも仕事や旅行会社のことなど語られる。女性は仕事につかれたら海外留学とか海外脱出を夢見たりするから、現実の釘を刺すためにこの現地採用なみの契約社員である彼女を登場させたのかな。

 職場でのいやがらせや悪意は(ネタバレ反転ね)自作自演の一例があったりした。もうひとつは職場に出入りする生保レディの一流会社への嫉妬やつめたくあしらわれることのいがみであったかもしれないという結末。

 可もなく不可もなくという小説かな。いちおうここに出てくる女性は一流会社、旅行会社につとめる女性一般の憧れの人たちということになるのかな。そういう女性たちでも職場での悪意やいやがらせに出会い、旅行会社の女性も待遇もいいわけではない。まあどんな仕事でもそれなりにつらいという話かな。

 オーストラリア人の労働観がなかなかよかったね。

「オーストラリア人はもともと上昇志向と縁遠く、お金を稼ぐことを人生の目標と考えない人が多い。何しろ、転職経験が多い人、腰の落ち着かない人ほど豊富な体験をしていると珍重し、老後は夫婦でキャンピングカーに乗って死ぬまで放浪して歩くことも珍しくない、という、労働より休暇、財産より時間を重んじるお国柄」



 ところ変われば、常識も憧れも違う。日本もこういうホンネで生きられたらいいのにね。日本は会社や仕事がいちばんたいせつといったクソつまらない価値観に固まってしまったのはどうしてなんだろうね。


▼等身大の働く女性たち?
やってられない月曜日 (新潮文庫)ガール (講談社文庫)勝手にふるえてろ (文春文庫)天国はまだ遠く (新潮文庫)ワーカーズ・ダイジェスト


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