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06 30
2013

書評 小説

支離滅裂文学―『カンガルー・ノート』 安部 公房

4101121249カンガルー・ノート (新潮文庫)
安部 公房
新潮社 1995-01-30

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 ひどいね。まったく意味がわからない。なんの楽しみもない記述、ストーリーがつづいてゆくだけ。安部公房でなかったら、壁に投げつけていたかもね。

 ひざからかいわれ大根がはえてくる設定だけはユーモラス。あとは病院のベッドで温泉につれてゆかれるはずが賽の河原までたどりついたり、死にかけの老人を安楽死させたり。かなり現実的な書き方だったから夢の記述かもしれないという認識にはなかなかたどりつかなかった。ところどころ性欲の話も出てきて、エロスとタナトスをにおわせているのかな。

 まあ解釈も深読みもするまえにもう放擲したい作品だな。

 安部公房は『砂の女』が好きである。砂の穴に女と閉じこめられて、好きな昆虫採集もできないという暗喩はひじょうにATMとしての男をうきぼりにしているね。フランスの片田舎の書店にもあったという話を聞いたことがあるが、納得の普遍性。

 あと『壁』とか『人間そっくり』とか『箱男』、『他人の顔』、『方舟さくら丸』とかけっこう読んだのかな。意味がわかったのか、解釈できたのかもういまでもよく覚えていない。

 こういう寓話とか暗喩にまとめた幻想的な文学は好きである。だけどなんらかの意図や暗喩が読みこめないと、まったくよい読後体験にはならないね。終わり。


砂の女 (新潮文庫)箱男 (新潮文庫)他人の顔 (新潮文庫)壁 (新潮文庫)人間そっくり (新潮文庫)

安部公房とはだれか安部公房伝安部公房 (新潮日本文学アルバム)安部公房の都市発想の周辺―安部公房対談集 (1974年)


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