HOME   >>  書評 小説  >>  読みたい文学に出逢えたらいいね―『池澤夏樹の世界文学リミックス』
06 12
2013

書評 小説

読みたい文学に出逢えたらいいね―『池澤夏樹の世界文学リミックス』

430902033X池澤夏樹の世界文学リミックス
池澤 夏樹
河出書房新社 2011-04-16

by G-Tools


 池澤夏樹の個人編集で「世界文学全集」が2007年11月から2011年3月まで河出書房新社から刊行された。全30巻。

 むかしは世界文学全集が各家庭に百科事典のようにおかれるような時代もあったようだが、文学が教養だった時代ははるかとおくに。ジャンプが読まれてみんなマンガ読んだり、テレビや映画でも恥ずかしくないという時代になった。マンガや映像があるのだから、わざわざ活字でなんてという発想があるのだろうね。

 はたしてこの世界文学全集はどのくらい読まれて、どのような人たちにうけいれられたのだろうね。

 わたしは二十年前ほどかたっぱしから世界文学をおもに新潮文庫で読んでいたが、現代思想とか社会学のほうに興味をうつした。文学は思想みたいにものをはっきりいってくれないからね。

 さいきんの文学はどのようなものあるのかと探ろうと思ったら、このような本はお役に立つね。カタログ本は映画の予告編みたいなもので、文学への入り口をひろげてくれる。

 この全集は戦後の作家がおもで19世紀や20世紀前半の作家はとりあげられていない。新潮文庫や岩波文庫で読めるからね。

 ちなみにこの全集のなかでわたしがすでに読んだものは、『路上』と『悲しみよ こんにちは』だけだな。「リミックス」のほうは全集以外の本もおおくとりあげられていて、こちらは何冊か読んだ本がある。

 「リミックス」のなかから気になった本、読んでみたい本をとりあげてみる。


4309709427楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)
マリオ・バルガス=リョサ 田村さと子
河出書房新社 2008-01-10

by G-Tools


 ポール・ゴーギャンがモデルの小説はモームの『月と六ペンス』という名作があるが、この本はゴーギャンと社会改革運動に身を投じた祖母の人生を交互に描いているらしい。ふたりの共通点は早すぎた反抗者。

4309709451巨匠とマルガリータ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-5)
ミハイル・A・ブルガーコフ 水野 忠夫
河出書房新社 2008-04-11

by G-Tools


 ソ連を批判した作家はソルジェニーツィンとか有名な人がいるが、この本はとげとげしい告発の書ではなくてスペクタクルやコメディー、幻想文学の物語の魅力でくるまれているところが気になる。

4309709486アフリカの日々/やし酒飲み (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-8)
イサク・ディネセン エイモス・チュツオーラ 横山 貞子
河出書房新社 2008-06-11

by G-Tools


 『やし酒飲み』というナイジェリアの作家が描いたものが、冒険譚や化け物、魑魅魍魎、ヘンな神さまとかいろいろ出てきておとぎ話っぽいホラ話で楽しそう。

4309709494アブサロム、アブサロム! (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-9)
ウィリアム フォークナー 篠田 一士
河出書房新社 2008-07-11

by G-Tools


 フォークナーのじゅうぶん名の知れた本だと思うが、野望や欲望にみちあふれた男の一代記が読みたくなったね。

4309709508アデン、アラビア/名誉の戦場 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-10)
ジャン ルオー ポール ニザン 北代 美和子
河出書房新社 2008-11-11

by G-Tools


 イギリスの「怒れる若者」のような作家はいないかと探していたこともあったのだが、このポール・ニザンの本もけっこう怒りにまみれていたそうね。『ライ麦畑』のようなおもしろさはあるかな。

4309709532灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1)
ヴァージニア・ウルフ ジーン・リース 鴻巣 友季子
河出書房新社 2009-01-17

by G-Tools


 ヴァージニア・ウルフは人の心の動きをていねいにたどる人だったのだね。ヘミングウェイなんかまったく内面を描かなかったといわれるのだけど、わたしは内面描写のほうに魅かれるね。

4309709591精霊たちの家 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-7)
イサベル・アジェンデ 木村 榮一
河出書房新社 2009-03-11

by G-Tools


 マジック・リアリズムというのは幻想文学なのかな。お話なのだから、リアリズムの常識的な現実ばかり読まされるのもね。

4309709613フライデーあるいは太平洋の冥界/黄金探索者 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-9)
ミシェル・トゥルニエ J・M・G・ル・クレジオ 榊原 晃三
河出書房新社 2009-04-11

by G-Tools


 『ロビンソン・クルーソー』は未開や野蛮の偏見にそめられていたのだが、20世紀は野蛮人とよばれる人が無知でも野蛮でもないという思想が主流になった。フライデーはそういうひと時代をへた未開人観がこめられているらしい。

4862760481ソングライン (series on the move)
ブルース・チャトウィン Bruce Chatwin
英治出版 2009-02-27

by G-Tools


 アボリジニの神話的世界、夢幻の旅路のような小説は読んでみたいね。

VVTcBCmD.jpgグループ (ハヤカワ文庫 NV 5)
メアリイ・マッカーシイ 小笠原 豊樹
早川書房 1972

by G-Tools


 1933年に名門女子大学を出た八人の女性たちの人生とその後だ。「母親のような人生を送らない」といっていた女性たちはどのような生き方を送ることになったのか。ハヤカワ文庫に入っていた本らしいね。

4309709699短篇コレクションI (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)
コルタサル他
河出書房新社 2010-07-14

by G-Tools


 『タルパ』という短編がおもしろそう。夫が病気で巡礼の旅に出るのだが、妻と夫の弟がデキていて、夫が死んでほしいと心の中で願っている。どうなるか。


関連記事
Comment

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
Trackback
title>
Trackback URL
Comment form









管理者にだけ表示を許可する






google adsense
全ての記事を表示する
ブックガイド特集
月別アーカイヴ
プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

twitterはこちら→ueshinzz

FC2カウンター

Page Top