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03 01
2013

書評 性・恋愛・結婚

【18禁】 「変態性欲」と「性欲生活」にのけぞる大正セクシュアリティ

 むかしの性的意識って現代から見れば、こっけいですね。国会図書館の近代デジタルライブラリーでそういう本をながめていたら、こっけいを通り越して、のけぞるタイトルにびっくり。

 「変態性欲」とか「性欲生活」という言葉が大正時代に闊歩していて、大マジメに論じられていて、人びとはそのような衝撃的な論述に啓蒙されていたのですね。なにを規制されて、どのような規律がこめられていたのでしょうね。

 大正時代の恋愛論ブームを検証していた菅野聡美という研究者が、次の本に『「変態」の時代』をいう本を出した驚きがわかりますね。

4061498150〈変態〉の時代 講談社現代新書
菅野 聡美
講談社 2005-11-18

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 ミシェル・フーコーの『性の歴史』以来、性意識の変遷は研究のタブローにのせられるようになりました。

知への意志 (性の歴史)快楽の活用 (性の歴史)自己への配慮 (性の歴史)

 これらの明治からのセクシュアリティについては、一冊一、二万もする復刻版も35巻で発売されているのですね(『近代日本のセクシュアリティ』 ゆまに書房)。タダで見れる近代デジタルライブラリーとかぶってしまうのですが、フリーなネットはこれらを駆逐してゆくのでしょうか。 



【変態性欲】

 大正時代に「変態性欲」というすごい言葉が大流行していたようなのですが、当時は変態という言葉は性的なものに限定されるのではなく、昆虫の変態はもちろん、経済や財政、価格とか、または鉄の状態にも用いられる広い意味合いをもっていたようですね(「変態」の検索結果)。通常でない状態とか、急激な変化とかの意味もふくまれていたのでしょうか。いまは変態の頭文字の「H」という略語がふつうの性行為をさすようになったのですが。

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変態性慾講話 高橋北堂 編 大正10

「変態性欲」という言葉はすごいですね。この言葉によって人びとは「正常」と「異常」の境目を慎重に選ぶようになったのでしょうね。


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変態性的婦人犯罪考 石角春之助 著 昭和2.11

婦人にも「変態性的婦人」と名づけられていた時代の恐さが垣間見れますね。


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変態性欲の研究 羽太鋭治 著 大正10

 この羽太鋭治という人が当時の性的言説をリードしていたようで、大量のセクシュアリティ本を出していますね。


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性慾生活の変態と正態 性知識普及会 編 昭和11

性的生活に「正常」と「異常」のレッテルが貼られて峻別されたのでしょうね。


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色情狂編 クラフトエビング 著[他] 明27.5

このクラフトエビングという人が「変態性欲」という言葉に火をつけたようですね。医学的に「色情狂」と非難されるわけですね。



変態心理学講義録. 第1篇 日本変態心理学会 大正10

「日本変態心理学会」という学会もございました。


変態風俗の研究 田中祐吉 著 昭和2

日本のむかしの風俗は「変態」になりました。





【性欲】

 性欲というものが医学的にとりあげられた時代。


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性慾に対する女子煩悶の解決 羽太鋭治 著 大正10

「性欲に対する女子煩悶」というすごい内容が問題になりましたね。


現代婦人と性欲生活 羽太鋭治 著 大正11

「性的生活」ではなくて、「性欲生活」。


恋と売淫の研究 羽太鋭治 著 大正10

「売淫」ということも研究対象になりました。


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女性と愛慾 田中香涯 著 大正12

「愛欲」が問題になったのですね。


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恋愛と性欲 沢田順次郎 著 昭和10

愛か性欲かという問題はこんにち問われることは少なくなりましたね。


性交論及び性慾の新研究 沢田順次郎 著 昭和8

「性交論」という直截的な問題。


女 : その性的及び恋愛生活 ウィリアム・ロビンソン 著[他] 大正9.12

女が性的生活から究明されるまなざし。


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生殖器及性欲全書 羽太鋭治 著 大正15

「性欲全書」。




【初夜と性交技巧】

こんにち初夜とか結婚生活が医学書でおしえられたりすることはあるのでしょうか。


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処女の書 杉田直樹 著 1948

若い女性の性教育のために医学博士が書いたもの。


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結婚初夜の知識 : 性愛宝典 附・姙娠より育児まで 田代三郎 編 昭和3

初夜に結婚の知識がさずけられるというものですね。


性愛研究と初夜の知識 羽太鋭治 著 昭和2

こんにちでは初夜はすっかり俗っぽい言葉になっているのですが。


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性愛の技巧 ハヴェロック・エリス 著[他] 大正11

性科学者として活躍した人ですね。


処女及び妻の性的生活 沢田順次郎 著 昭和8

なんだか包囲されたような。





【恋愛論】

 大正時代には恋愛論が一大ブームを巻き起こしました。われわれの時代はマンガやドラマ、映画などで学んだりするわけですが、かつての人は言葉や本で論じました。


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近代の恋愛観 厨川白村 著 大正11

この厨川白村のこの本によって恋愛論ブームが巻き起こりました。精神的な恋愛至上主義がここからはじまったのでしょうね。


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自由性交俗と恋愛観の変革 草野忠孝 著 昭和8

変革を求められた恋愛観と性関係。


一夫一婦か自由恋愛か 倉田百三 著 大正15

大正の人のほうがしっかり考えていたような。


恋愛の進化 文芸社編輯部 編 昭和3

進歩するものと考えられていた恋愛。


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思春期に於ける性的関係 伊藤尚賢 著 大正14

悩める青年のための本という感じですね。


恋愛過剰論 国民社 編 昭和9

昭和9年の「恋愛過剰論」。


恋愛の社会的意義 山田わか 著 大正9

恋愛に社会的意義はあるか、そう問うマジメな人はこんにちほとんどいないでしょうね。


▼近代デジタルライブラリーの民俗学、哲学書等のリンクはこちらから。
 「無料で読める。国立国会図書館の民俗学、哲学書等を独断でリストアップ


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