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01 28
2012

レイライン・死と再生

神秘思想へようこそ。『日本人はなぜ狐を信仰するのか』 松村 潔

4061498290日本人はなぜ狐を信仰するのか (講談社現代新書)
松村 潔
講談社 2006-02-17

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 著者はタロットやスーフィー、カバラなどを専門にする西欧神秘研究家であり、この本は日本的なもので狐信仰を説明したものではない。

 日本的なもので稲荷信仰、狐信仰を説明すれば古代天皇や豪族がおおく出てきて、エリアーデや井本英一のように自然信仰の本質的なことが語られなくなるという欠点はあると思う。この本では狐をとば口にした西欧神秘思想の物理観がおおく語られた印象があって、狐はなんだったんだとあとで?となった。

 わたしは死と再生に興味があるのだが、これは性的なもので説明できると思っていたが、物理的なものを語っていると指摘されていて自分の浅学を恥じた。

 この世界は「力」と「形」の要素でできており、平田篤胤式にいうと「幽」と「顕」である。力というのは形が定まらず、振動密度が高い状態を指し、「形」というものは静止したもので、動きがない。振動密度が高いものは神、天使、人…植物、鉱物と順番がなっていて、高位のものは振動密度が高く、物質密度が低いので人の目で見ることができない。

 イザナミとイザナギは「ナミ(波)」であり、「ナギ(凪)」であり、振動的なものと静止したものの関係である。黄泉の国というのは振動的な領域(幽の世界)のことである。「形なき力のみの世界」である。サルタヒコの醜さ、ヒルコの立てない赤子は、形が崩れ、力へと変容しつつある姿をあらわしているのではないか。

 古代人は大地のへこんだところ、穴のあるところに大地の性器や子宮をみていたと思っていたが、神秘思想解釈ではそれは圧縮化、物質化する力であり、形化へと向かう力である。サルタヒコの赤い鼻は男根の象徴だけではなく、形から力へと開放されたがっている、力化へと向かう力ではないのか。

 この物理観というのはチャネリングによって語られた世界観と似ている。「仏教、ニューエイジ思想の認識論、世界観

 チャネリングによってラムサという存在に語られた物理観。

「物質とは、思考を最も大きく変容させることによってつくり出される思考のレベルなのだ」

「すべての物質は光によって囲まれている。皆の世界にいる科学者たちも、光の周波数を下げる、あるいは減速してやると、どうも固体物質になるらしいとの感触を持ち始めている。では、この光はいったいどこからやってきたのか? 思考である。つまり神だ。ある想念を持ち、感情の中にこれを抱くとき、その想念は光の波長を持つ波動へと拡大していく」

4894560046ラムサ―真・聖なる預言
ラムサ 川瀬 勝
角川春樹事務所 1996-06

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 つぎもチャネリングのセスという存在に語られた物理観。

「環境はあなたが形づくるものであり、まさに文字通りあなたの延長であると言えます。つまり、あなたの意識から外に向けて拡張した、物質化した思考なのです」

 「あなたがたは言葉を創造するのと同じほど確実に、物体を創造しているのです」

「すべての物質的な「現われ」を有しているものには、あなたがたには知覚できない別の形態も存在します。あなたがたには、それらが特定の「振動周波数」に達し、凝集結合のすえ物質化したと思われる、その瞬間の現実だけを知覚するのです」

4931449034セスは語る―魂が永遠であるということ
ジェーン・ロバーツ ロバート・F・バッツ 紫上 はとる
ナチュラルスピリット 1999-06

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 このチャネリングの物理観の正否はわたしには判断できないとさじを投げているのだが、量子力学のミクロの世界では物質と非物質のあいだはあいまいで、混沌としている。

 グルジェフ=ウスペンスキーもこのような物理観・宇宙論を展開しているのだが、わたしの頭ではよく噛み砕けなかった。

4892030384奇蹟を求めて―グルジェフの神秘宇宙論 (mind books)
P.D.ウスペンスキー 浅井 雅志
平河出版社 1981-02

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 日本神話はこのような物理観で新しい解釈も可能になるのではないかということだ。ところで狐はなにかとなるのだが、この本は狐を導き手とした神秘思想の案内かもしれないなと思うのである。

 狐というのはむこうの世界とこちらの世界の境界の位置する生き物であって、神や穀霊をひきつれてくる導き手であったり、向こうの世界と交信する媒介であったということになるだろうか。この本も狐が神秘思想の導き手である。

 チャネリングやニューエイジというのはあまりにもアヤしいので、現実とのかね合いでこの世界のことはすこし封印気味だったのだが、思わずこの世界に出会ってしまった。自然信仰、古代信仰について語る自体、すでにアヤしいことで、わたしはべつにそれを信仰しているわけではなくて、古代の世界観の妙にふれて感心しているだけなのだが、もっとアヤしい世界にふみいれそうだ。

 この世界のなりたち、起源を説明するには物理世界のありようを説明しなければならないわけで、信仰や神話にはそれが語られていたということだ。


日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか (講談社現代新書) 稲荷大神 (イチから知りたい日本の神さま) 稲荷信仰 (塙新書 52) パワースポットがわかる本 狐―陰陽五行と稲荷信仰 (ものと人間の文化史 39)
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Comment

私にとっては「狐」は「雲」のようなものです。
水蒸気が暖かい空気の中では透明なのに、冷たい空気の中では曇りとなる。
人間の間にもそういう現象が起きています。
認知的不協和の状態に陥った人の心が、ビビッたり、誘導に巻き込まれたりして、誑かされているように見えます。

人は疑心暗鬼に掛かると想像力が萎縮します。
イジメっ子は周りの子達を自分のペースに巻き込んで「空気」を作っています。
なのでスピリチュアルでいう「あなたの人生は全てあなたの作品です」という観点は間違っています。
「誰かが創造主である時、他の者達は、創造される世界の部品として巻き込まれている」からです。
「不透明な白い雰囲気」は集団力学を利用して得をしている人達の「神秘のヴェール」なのだと思います。
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