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12 28
2011

書評 ビジネス書

『名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方』 鈴木 康之

4532194490名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方 (日経ビジネス文庫)
鈴木 康之
日本経済新聞出版社 2008-07

by G-Tools


 文章は自分のために書くものか。人に読んでもらうためのものか。ブログなんて自分のために書くことが多いと思うが、多くの人に読んでもらいたいという気持ちもあわせもつ。読まれるブログははじめから読まれることを想定したターゲットが明確なのではないだろうか。

 わたしは自分のために書く。でないと反響がなかったり読まれなかったら長つづきはしないだろう。だけど読まれること、読者の顔や反応も大事なことはわかっている。それができないので、こういうはじめから読まれることを想定したコピーの本を読む。

 「文章は書くものではない 読んでもらうものである」

 コピーというのははじめから読まれることを目的にしている。自分のために書くのではない。商業コピーはあくまでも客商売、お客あっての文章という目的が明確である。芸術的な文章術となるとそこらへんがあいまいであったり、ぶっとばされたりする。このベクトルがまずは大事なのだが、自分のためにやむをえず書かざるをえない文章が高尚な芸術や文学だったりする。ひとりよがりや他人がおおよそ興味のない文章を書きつらねるだけの文章もまだ問題である。どうすれば読者の気持ち・思いを察することができるようになるのだろう。

 「コピーは読者への土産話である」と著者がいうように広告コピーは企業と読者をつなぐ媒介役にすぎない。「一つのメッセージがどうやったら一番届くかという方法論を探ること。個性を出すとかそういうことじゃない。…クライアントと対面して、なにが大事かを掘り起こして代筆する。うまいことを言ってやろうというコピーライターはいるけど…」

「僕らの仕事ってイタコに近いですね」

 広告コピーというのは出発点が企業の宣伝となるよい点、知らせたいことを探ることがまずいちばんたいせつである。そのベクトルが広告コピーではさいしょから規定づけられている。そのうえでどうしたら読者の目をひくコピーや文章を書けるかが考えられる。ほかの文章とは立ち位置、出発点、方向がさいしょから違うのである。読まれるために書く文章は自分のために書く文章だって参考になる視点である。

 著者は広告学校の講師をしているが、「まずは似たものの違いの説明」という文章を書かせるそうである。同じようなものの中から、どちらがトクとか、優劣をつけてそれを推すといった文章を書かせる。

「広告コピーは、飲料、ケイタイ、住宅、旅行、なにであれ、似ている競合商品群の中での差別化なのです」

 なるほど。

「こんなテーマはほかの人も書くだろうな、ぐらいのことは気づかなければダメです。人と同じようなことをすることは恥ずかしいと思って避けなさい、独創的オンリーワンでありなさい」。

 でもこうもいっている。「独創的で突飛なことを書くようにしよう、と思うことから文章と取り組まないでください。ごくふつうの考え方、一般論、大衆感覚、そういうものを無駄だと思ったり、無視したりしてはいけません」

「広告はみんなに呼びかけ、みんなに共感してもらわなければならないものです。それにはベースとしてのみんなの考え方、現実の暮らし方をよく知っていなければなりません。「みんなこうなんだよな」「そうなんだよな」という共通認識、共有の感覚から仕事を始める必要があります」

 クリエイティブとか芸術をめざす人は大衆や一般の人の感覚や感性をバカにする傾向がある。だからこそ高尚でハイブロウな作品ができると思うからだ。だけど商業広告には一般の大衆の感覚も大事にしなければならない、高尚の極地に閉じこもってはならないのである。芸術志向や自分を高く評価されたいと思う人は高尚のバベルの塔に閉じこまれないのはキツイだろうな。広告は商業や客あっての商売だと割り切らなければならないのである。

「読む人がこんなテーマを面白がって読むかどうかくらいのことを想像できないようでは、コミュニケーションの仕事をする資質に欠けている、書けばいいってもんじゃない、読んでもらえるかどうか、考えて書くものだ、と渇を入れ、根性を入れ替えさせます」

 文章は読んでもらえないもの、さいしょのとっかかりにふれてくれるだけでもありがたいと思うほどの謙虚な出発点からスタートしないと、読者をさいしょからふり飛ばしていってしまうものだろう。自分のために書く人は読者をのせないで飛んでいってしまう牛や馬のようなものなのだろう。だれにもつかまらないが、それはなんのための文章か。

「書くことは読む人との気持ちのゲーム」

「巧みに書かれた文章は「え、なんだって」「なるほどね」という反応を読み手の中に引き出します。…読み手の顔つきを想像して、どう反応するか、これでいいかどうか、用心深くよーくチェックしながら書き進めてください」

 こういう読者の想像ってできますか。わたしは自分ならこう反応するかは想像できても、自分とまったく違う人の反応を想像することはまず想像外である。そういう他者の反応像というのは自分のなかでストック・ひきだしをたくさんつくらなければならないと思うのだ。ブログではコメントで人の反応を知ることができるが、文章一句一句にどう反応したかはわからない。

 たくさん書きたい人も文章を文字数の制限によって絞らなければならない。「書く人の書きたい順ではありません。読んでもらう人にとっての知りたい順です。…いい文章はその想像力で決まります」

 商業文章の書き方は徹底的に読者に読まれるために存在する文章である。読まれたいブログをめざしたいと思っている人は商業文章を訓練するのがいいのでしょうね。


文章がうまくなるコピーライターの読書術(日経ビジネス人文庫 ブルー す 4-2) 広告コピーってこう書くんだ!読本 新・コピーライター入門 キャッチコピー力の基本 ひと言で気持ちをとらえて、離さない77のテクニック マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか?
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とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
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