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12 24
2011

書評 心理学

サンタ・クロースと現実のあいだ

 ツイートのまとめです。想像上の存在であるサンタと現実の世界が混濁している子どもの世界を思い出しながら考えてみました。




 nifty:デイリーポータルZ:サンタを信じている子供にサンタの矛盾を聴いて回る


 サンタを信じる・あるいは疑惑する子供の頭って、想像と現実の区別がつかないイマジネーションの世界でほんとうに生きているのかと頭によぎった。


 子供のときは伝聞で世界を構成するから、伝聞のなかに想像でつくられたものと現実のうえで聞いたものの区別や確認ができないだろう。でも大人になっても世界は伝聞でつくられている。マスメディアという伝聞。伝聞は事実をもとにしているが、想像でできている。


 ウォルター・リップマンの『世論』は第一章の「外界と頭の中で描く世界」を読むだけでも価値がある。「自分たちがかってに実像だと信じているにすぎないものを、ことごとく環境そのものであるかのように扱っていることに気づいていないのである」

400342221X世論〈上〉 (岩波文庫)
W.リップマン
岩波書店 1987-07-16

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「しだいに人間は、自分の手の届かない世界についての信頼に値するイメージを、頭の中に勝手につくることになった」 ウォルター・リップマン


 この世界はイメージや想像でしか捉えることができないのだが、それがいつしか「世界そのもの」と人は思うようになっているんだな。それはほとんどが想像やイメージで構成されたもの。


 子どものときは想像と現実の伝聞の世界の区別がつかないが、しだいにより分けられるようになるが、これは頭で描く世界がもともとは想像であったことに由来するわけだな。でも世界が想像で構成されている世界もまた楽しいものだ。『となりのトトロ』は想像の世界の楽しみを思い出させてくれる。

B00005NJLPとなりのトトロ [DVD]
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2001-09-28

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 想像と現実の区分けはむづかしいもので、人は怪獣とか妖怪などが想像だと思っているが、人間の認識自体が想像だということに気づくのにだいぶ時間がかかった。岸田秀の共同幻想論とか、サピア=ウォーフの仮説だとか、仏教の認識論でやっとわかるようになった。人間の頭ってほぼ想像だけ。


 人間の頭って想像しているにすぎないものを「現実そのもの」と勘違いしつづけているんだな。日常やふだんの世界自体がそう。だから仏教ではそれを「サンサーラ=まぼろし」とよんだ。


 想像によって感情はつくられて、筋肉や心臓の血流を想像は調整するから、人は想像にすぎないものを現実と思うにいたる。映画やドラマは想像にすぎないのに現実のように驚いたり、悲しんだりできる。


 子どもの妖怪や怪獣の世界を大人もバカにできない。想像の世界に生きているのが人間。


▼この記事も同じようなことをいっています。
 「『エルム街の悪夢』と現実」


▼想像と現実のあいだに気づかせてくれる著作
ものぐさ精神分析 (中公文庫)ひき裂かれた自己―分裂病と分裂病質の実存的研究ポスト・モダンの条件―知・社会・言語ゲーム (叢書言語の政治 (1))言語ゲームが世界を創る―人類学と科学― (世界思想ゼミナール) (SEKAISHISO SEMINAR)言語・思考・現実 (講談社学術文庫)

リチャード・カールソンの楽天主義セラピー愛とは、怖れを手ばなすこと (サンマーク文庫 E- 45)どう生きるか、自分の人生!―実は、人生はこんなに簡単なものグルジェフとクリシュナムルティ―エソテリック心理学入門大乗起信論 (岩波文庫)

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