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12 10
2011

書評 ビジネス書

『「事務ミス」をナメるな!』 中田亨

4334036023「事務ミス」をナメるな! (光文社新書)
中田亨
光文社 2011-01-18

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 たんじゅんな仕事でもミスの多いわたし。こんな研究、本もあるのかと読んでみた。

 まあ、なんらかの啓示が与えられることもなく、「ふ~ん」程度の本だった。もうすこし事例とか改善策の具体例が多く載せられていたら、たのしめて参考になったかも。

 たとえば鉄道は衝突事故を防ぐために「一つの線路区間に入れる列車は一本だけ」という決まりがあるが、それは抽象概念のためにタブレットという通行許可証を具現化してミスを防ぐようにしている。台所の漂白剤は食欲をそそらない外観の容器に入っているが、もし平凡な容器に入れて販売するとまちがって飲んでしまう事故もじっさいにおこる。手紙を出し忘れしないようにするためには常に手にもって歩くという対策がある。

 こういう事例の具体例が頭の片隅にのこっていたら、ほかのときに使えるかもしれない。ところで病院の患者取り違えや薬のまちがいはどうしておこるかわからないミスに思えるが、対策はどのように立てられているのだろうか。

 人は能力がないからミスをするのではなく、能力の副作用でミスをする。たとえば次の文章を読んでほしい。

 「みれだや あまやりを じうどてきに とのりぞける」

 意味のある文章に読めましたか。すべての単語は順列がまちがっているのだが、人はまちがいを無視して意味を読み飛ばす能力がある。活字の校正ミスはこうしておこるのだろう。

 問題の解決策はしばしばほかの問題をひきおこす。むかし木造電車が燃え出して乗客が外に出れずに多数の犠牲者が出た。乗客が自分でも外に出れるように改良されたのだが、こんどは線路に出た乗客がはねられるという事故がおこった。それでまわりの電車も事故時に停車するようになったのだが、長いトンネルで火災がおこり停止したために煙に巻かれて多くの死傷者が出た。まるでもぐら叩きのようだ。

 ミス防止の主役は「作業確実実行力」から「異常検知力」に変わってきたそうだ。ベテランになる人も慣れからミスをおこす。熟練した人は慣れすぎないように注意する。大きなミスもないのに熟練した人は決まって人に教えた経験がある。仕事の要点をそれによって理解するからだ。

 わたしは仕事のミスを間違いに陥りやすい方法を知るための一手段だと開き直ることにしてきたが、知識としてさいしょから間違いの事例を知っておいたほうがいいと思うが。ミスというのは多くの方法のなかからミスへといたる道筋とまちがいをより分ける方法の実験ともいえるが、さいしょからなにを避けるべき手順なのか教えてくれるほうがいいが、そこまで徹底した職場はまれ。まちがって覚えろだ。

 申込用紙や役所の書類などごちゃごちゃしていて、書き忘れやどこに書き込んだらいいかわからない用紙があるが、よいデザインは上から下へと一列に配置したもの。例外例とかを設けるために書き込み箇所があちこちに散逸してしまうのである。

 事務ミスの全パターンの中の三割がトラブルの七割を生み出している。ゆえに被害の多い事故パターンを数個改善するだけで事故は大幅に減らすことができる。仕事のミスは複雑なサービスにしたがって増え、たんじゅんで画一的なサービスなら減るというトレードオフの関係がある。どちらを選ぶべきか。

 ところでわたしの仕事ミスは作業を意識しない自動操縦にまかせることにあると思う。さっきやったことを覚えていないし、思い出せない。作業を意識しないでおこなっている。それでミスをおこす。意識してやっていないから、さっきのことも猛烈に忘れている。そもそも意識化していない。頭がお留守になっているのだ。身体を自動化させるはたらきが強いのだろうな。まあ、ミスが多いことは「なにをするべきではないか」とミスした際の対策をしっかりと理解できることにつながるのだが。


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