HOME   >>  書評 ビジネス書  >>  『セブン・イレブン 店長の「人づくり」マニュアル』 国友 隆一
11 23
2011

書評 ビジネス書

『セブン・イレブン 店長の「人づくり」マニュアル』 国友 隆一

417kxF6g3IL__SL500_AA300_.jpgセブン・イレブン 店長の「人づくり」マニュアル
国友 隆一
ぱる出版 1993-09

by G-Tools


 コンビニでバイトした人は多いと思うが、オーナーや雇う側はどのように見ていたのだろうか。こういう本はオーナー側の目線や視線を疑似体験することができる。

 オーナーはどのようにバイトを見ていたのか知りたいと思う人はいちどこのような本を読んでみたらいいかもしれない。ただしこの本は93年の20年も前に出されたブックオフの百円本に並んでいるような本なので、その後のコンビニの状況はだいぶ変わったかもしれない。

 まあ、読んだ感想はほとんどないし、なにか視点が変わったということもない。さっと読んでさっと忘れるという本だな。

 少しだけ抜書きと感想を。

 あるオーナーはバイトの応募者を四つのタイプに分けている。①戦力 ②当面のつなぎ役 ③ミーハータイプ ④油断もスキもないタイプ、だそうだ。ミーハーは仕事を覚えるのは早いが、あるレベルまでくると急に力を抜いて戦力としては減速してしまうそうだ。不器用なほうがじわじわと実力をつけてゆくとのこと。

 「みんなと仲良くやれるかどうか」だけを採用基準にしている店もある。オーナ夫人は「この子が自分の息子や娘だったらいいな」で選んでいるそうで、もうこうなればたんなる人の好き嫌い、相性だけである。

 「バイクやクルマを買うためにバイトをする子は採用しません」という店もある。店内不正に走る可能性があるからとのこと。学生が親元を離れてアパートに住んでいると採用が敬遠されることがあるが、これも店内不正の可能性からだ。もうこうなれば偏見のキワどいラインである。

 同じ高校からいっせいに採用されると学内行事でいっぺんに休まれることがある。だから一校からひとりだけにすることもある。

 失敗はうわべだけをなぞった順調さより失敗したほうが将来に期待できる。「仕事は失敗しないと覚えられないよ」が口癖の店長もいる。わたしも失敗しないとミスの訂正策や対処はずっとわからないままだと思う。

 コンビニで定期的にペーパーテストをおこなうところがあるそうですね。わたしがやってきた仕事でペーパーテストのようなことはされたことなどなかったので、コンビニはそれだけ仕事の標準化が進んでいるのだろうな。

 仕事が終わっても帰らないでバックルームで井戸端会議を楽しむところがあるそうですね。わたしはこういう仲のよさは仲間と仲間でないものの選別が厳しくなると思うからぞっとするんだが。まあ、若いときは人とつるんだりしゃべるのが楽しくて仕方がないこともある。しかしそれは親友のように仲のいい人以外は限りなく排除する性質をもっているのでオフィシャルな関係では控えたほうがいいと思うのだが。でも人間関係って勢力を持ったものが勝ちだから排斥された者の悲しみを省みられることなんてないんだろうな。

 派閥をつくって女同士の闘いをしていることもある。意地の悪いパートが幅を利かせることも。あるオーナーは人柄として他人にひじょうにきつく当たる傾向のある人は採用しないそうだ。ほんとバイトなのにこういうエラソーにする人がいたら最悪ですね。新人のミスや失敗を性格的に許せない人は新人ならとうぜんミスもあるのにどうして我慢できないのだろう。優位に立つ攻撃の快感に酔いしれているのだろうか。笑って許せるくらいの度量がほしいものですね。

 バイトは経験年数に応じて成長すると思う人がいるようだが、長くいると横着になりやすいし、マンネリやいぜんと同じ仕事のやり方をやりつづけるとかの弊害もある。長くいることが逆に弊害になることもある。オーナーは長くいる人をベテランと思いたい。そのためにも能力給を導入したほうがいいそうだ。

 ところでコンビニってオーナーがいると接客がウザくてバイトだけだと気楽と思うことはありませんか。バイトは売ろうとかこの店を背負うという気概がなく、ゆえにお気楽な買い物環境ができる。オーナーというのは押し売りや取り込もうという雰囲気をどうしてもかもしだしてしまう。だからバイトばかりのコンビニはお気楽に入ったりスルーできるんでしょうね。客にとって気負わないバイトのいるコンビニはだから繁盛したのではないかと思う。個人商店のように重荷がないからですね。店の売り上げに責任がある店は売らんかなの押しがウザくなる。都会のほどよい無関心さをバイトはかもしだしている。

 それにしてもコンビニのような繁栄業種がバイトばかり雇う功罪も見過ごされていると思うな。企業が従業員の面倒を終身まで見ないで数年間だけの使い捨てで終わるようになった。そのような企業が日本の繁栄業種なのである。安いバイトだけで産業をなりたたせる企業は人材を食い物にするだけで、将来の保障というものにまったく面倒を見なくなったんだな。世の親たちは正社員になれというばかりではなく、この形態が社会の常態なんだと時代の変化の意味に気づくべきだろう。

関連記事
Comment
Trackback
title>
Trackback URL
Comment form









管理者にだけ表示を許可する






google adsense
全ての記事を表示する
ブックガイド特集
月別アーカイヴ
プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

twitterはこちら→ueshinzz

FC2カウンター

Page Top