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06 04
2011

書評 歴史

『世直し』 佐々木 潤之介

13752059_mb.jpg世直し (岩波新書 黄版 90)
佐々木 潤之介
岩波書店 1979-07-20

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 再読である。世は世直しを必要としている状況に近づきつつあるが、幕末の世直しはどのようなものだったのか。参考にしようとして再読してみたが、わかりやすい本だといいがたい。幕末になんで騒動や打ちこわしがおこったのか、この本から読み込めない。もうすこし現代からみてわかるような本を読むべき。

 日本はずいぶんおとなしい国になったが、わずか150年ほど前は暴動や打ちこわしが全国各地でひんぱんにおこっていた時代があったのである。豪農や豪商、商店などが打ち壊しの対象となった。

 物価が値上がりし、米価も沸騰をし、庶民は生活がなりたたなくなり、座して餓死を待つよりは富商や村役人に押しかけ、思いをとげるという考えがあったようである。米・塩・油などの安売りを要求し、小作料の半減や年貢の減免、借金の帳消しなどをもとめた。村役人や官庁にたいする腐敗への怒りも向けられていた。

 江戸期において貧しいものが困窮すれば、高利貸しや商人、豪農は蓄財をふるまうのが道徳としてあり、それをおこなわないものは不徳の輩として制裁を加えられてしかるべきだという社会的了解があったようである。貧しいものを助けるのは豪商や豪農としての役割があったようなのである。こんにちでは困窮者を助けるのはひとり政府だけの責任となっているが。こうして人民の困窮をかえりみず自分だけ富するものは制裁をうけたのだろう。

 しかしながらこの本はほんとうに読みとりにくい。どうして庶民たちが暴動をおこすほど追いつめられたのか、なにがそんなに不満だったのか、どうして暴動や打ちこわしといった暴力で訴えるしか手段がなかったのかといったわたしの疑問を解いてくれる本ではなかった。

 まえに読んだ藤谷俊雄の『「おかげまいり」と「ええじゃないか」』のほうがよほどわかりやすかった。

 世直しを必要とされている状況に近づきつつある現在、幕末・明治期の世直しを読み解くことは大事なことだと思うのだが。


幕末の世直し万人の戦争状態 (歴史文化ライブラリー)世直し大江戸学 (NHKシリーズ NHKカルチャーラジオ・歴史再発見)一揆 (岩波新書)「おかげまいり」と「ええじゃないか」 (1968年) (岩波新書)

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日本古代史 やるなら 絶対 石渡信一郎

ぜひ 石渡氏の本の感想聞かせてほしいです
(参考 ①完本 聖徳太子はいなかった②蘇我馬子は天皇だった)
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