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04 17
2011

書評 ビジネス書

『商売の原則』 邱 永漢

9974789206.jpg商売の原則 (知恵の森文庫)
邱 永漢
光文社 2001-06

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 サラリーマンになろうとするのではなくて、商売人になろうとしないと食えなくなると思う。自分で商売をやってみるという視点をもたないと、受け身の与えられるものばかり欲して、なにも得られない。学校の教育はこの視点が欠落しているからあなた任せのサラリーマン志望者をつくって、メシが食えなくなる。

 自分のこの部分の欠落に気づいたから商売人の視点や考えかた、カンを必死に自分に植え込もうとして商売人の本を読んでいる。商売をやる、商売で稼ぐという視点の欠落はイタイと思う。職業生活の基本モチベーション、誘引、動因をもたないで漂ってしまうことになる。

「サラリーマンになる人は、どうも、前途や金儲けのチャンスを人に与えてもらうものと思っているらしいんですね」――邱永漢(きゅう えいかん)はいうのだけど、戦後の教育をうけた人はほとんどそういう頭になっているのではないだろうか。商売で食ってゆくと考える人は少数で、みんなサラリーマンになって食わせてもらおうと思っている。そこがこんにちの経済社会の困難だという気がする。この根本のモチベーション、発想、視点すらない人が多いのである。

「"いま、だれが何に困っているか"をさがしだすことが、サービス業の基本みたいなものだと思う」

「みんながやりたがっていること、あるいはこうしてほしいと思っていることを考えることです」。商売の基本中の基本のことばだと思うが、商売を考えていない人はこの基本的な問題意識すら抱いたことすらないと思う。

「金儲けがうまい人は、どんな商売をやれば人から感謝されるか、また歓迎されるかを本能的に知っています」

「みんなに感謝されること、みんなから「助かった」「不便を解消してもらった」といって喜ばれること、そういったことを提供することによって、報酬を得ることではないかと思うんです」

「商売でお金が儲かるということは、一種の社会奉仕の報酬みたいなものです。金儲けをしようと思ったら、お客さんを喜ばせることがいちばんなんですね」

 過去にその商売の経験があるかは関係ないという。経験があると固定観念に縛られて、かえって新機軸が出てこないというマイナスがある。

「いまの世の中は、、どんな商売も過当競争をしている。そこへ割り込んでいくには、いままでになかった新しいアイデアをやるか、新しい販売ルートを築くか、いままでになかった新しいサービス方法を編み出すか、要するに、新機軸を発揮しなければダメなんです」。だから商売をはじめるときは素人流がいいという。

 全体の八割は既成の常識が役に立つ。のこりの二割の創意工夫が成功するかどうかの鍵をにぎっている。硬直した考えにとらわれていてはダメだ。タテでだめならヨコにしてみる。ヨコでもだめならひっくり返してみる。

「商売を成功させるコツは、お客を気もちよくさせることにつきる」

 そういった問題意識で見ていれば見えないものも見えてくる。しかし問題意識がなければなにも見てないも同然である。サラリーマンになって仕事を与えてもらおう、給料をもらおうと思っていると、自分の仕事や食いぶちすら失ってしまうだろう。商売人のカンや頭が必要だと思う。しかしそういうことに気づいたわたしはあまりにも遅かった。


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うえしんさんはじめまして。

いつも楽しみに拝見させていただいている者です。
自分も最近長年務めた職場を辞め、全くの異業種ですが起業いたしました。

だから言うのですが(笑)、人生において気付くのにも行動を起こすのにも「遅すぎた」なんてことは無いのだと信じています。(厳密に言うと幸運にも信じることができたというのが本当のところですが)

実際にうえしんさんのような悩むのが好き(語弊があったらすみません)な人というのは好感が持てます。

私が長年このブログを拝見させていただいて思うのは、うえしんさんのような方と一緒に仕事がしたいということです。

悩み苦しみ、七転八倒しながらもんどりうって、また苦しんでを繰り返している人は、他の人より見える景色が広がっているはずです。

貴重な人材なのです。

そういう人こそ自分で何かを始めた方が他の人より成功の可能性があると思います。

初めてのコメントで不躾でございましたが、どうしても一言伝えたかったのです。
お許しください。

これからも楽しみながら悩み続け、鋭く深い洞察、見識、好奇心を僕ら読者に提供してくださると、とっても嬉しいです。

頑張ってください。私もがんばります。

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