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04 06
2011

書評 ビジネス書

『イノベーションのジレンマ』 クレイトン・クリステンセン

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イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
クレイトン・クリステンセン

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)


 優良企業は成功するがゆえに失敗する。この逆説に興味をもってこの本を読んだのだが、技術的な話がむづかしすぎてわたしにはついていけなかった。この技術的な事例がほとんどをしめるから、ほとんどの内容をつかめなかった。

 わたしにとっては惜しい本である。この逆説は人文系とかにも応用できると思うのだが、いかんせん技術的な話が読みとれない。

「すぐれた経営こそが、業界リーダーの座を失った最大の理由である。これらの企業は、顧客の意見に耳を傾け、顧客が求める製品を増産し、改良するために新技術を積極的に投資したからこそ、市場の動向を注意深く調査し、システマティックに最も収益性の高そうなイノベーションに投資配分したからこそ、リーダーの地位を失ったのだ」

 企業が大きくなるにしたがい、成長や収益を満たす市場は小規模なものではなくなってくる。おまけに破壊的技術がもたらす市場はまだ未知数で、緻密に計画されたマーケティングの要望を満たすものではない。それで足場を削られるように破壊的技術の市場は大きくなってゆくのである。かれらは環境では正しいふるまいをおこなったこそ、市場でのリーダーをうしなうのである。

 優良な企業はその成長に見合った成長市場を見つけなければならないし、マーケティングで失敗しない戦略をもちいるのだが、それは過去の持続的技術のあいだに適合するものでしかない。破壊的技術がやってきたとき、もはや対応できないのである。

 組織であれ、企業であれ、文明であれ、栄華や繁栄を誇ったものほど衰退する理由のひとつをこの説は提示しているのだろう。過去の環境では最適であったものが破壊的技術がやってくるとたちまちその発展からとりのこされる。大きくなった図体が大きな栄養を必要として滅ぶかのようである。

 この説とすこし違うかもしれないが、技術の多機能化、高機能化も違う方向にいつも走ってゆくなと思っている。ケータイでもカメラでもたんじゅんでかんたんな機能だけでいい。バカチョンでいい。でも技術屋とオタクの顧客は高性能のほうばかりに走る。いつも方向性が違うと思う。大方の顧客はたいがいの機能を使わないし、そっぽを向いているのではないだろうか。たんじゅんでバカみたいな性能のほうがいいのである。イノベーションというのはそちらのほうから起こるのではないだろうか。

 この本は重要な本だと思うのだが、技術的な話がむづかしすぎて大事なところをうまくつかみ切れなかった。国家論や文明論としても応用できる内容だと思うのだが、皮相な部分でつまづいてしまう。この内容を応用した社会科学の本はほかにないかなあと思ってしまった。栄華と文明の衰亡は多くの人が興味をもつところだと思うし。


イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press) ポケット図解 クレイトン・クリステンセンの「破壊的イノベーション論」がわかる本 明日は誰のものか イノベーションの最終解 (Harvard business school press) キャズム ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
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ご参考になるかどうか

初めてコメントさせていただきます。

既にご存知かもしれませんが「イノベーションのジレンマ」についてはLife is beautifulさんのところで簡単にまとめてられます。
理系の方の理解としてのまとめですが、もしご参考になればと思いまして。

http://satoshi.blogs.com/life/2005/11/post_2.html
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