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10 28
2010

労働論・フリーター・ニート論

『フリーター、家を買う』と怠け者が悪いという倫理

 リツイートがわたしの最高の39人つきましたので、短いのですがまとめておきます。

                   *

「フリーター、家を買う」。自分勝手な主人公が労働倫理をおぼえてゆくという話なのか。典型的なフリーター怠け論と改心の物語じゃないか。企業が労働者の長期的な面倒と保障を切り捨てた、使い捨てとブラックで不況をのりきるという批判すべき面をとりあげないで、ただ怠ける若者が悪いだけか。

お茶の間にはフリーターは怠けていて自分勝手でだから仕事がないというメッセージをプロパガンダしたいようだ。就職難や企業が長期保障を切り捨てたという面を見せたくないようだ。つまり既得権益者のおっさんたちのおべっか。なんでおっさんたちのリップサービスが必要なのか。老権力者のごますり?

けっきょく世の中は生存競争。負けた者たちはメディアを操作する者たちに都合のいいイメージがレッテルづけられる。生存競争に負けた者は負けたゆえにダメだというトートロジー(同語反復)をかぶせられる。ホームレスや日雇い労働者が資本主義の犠牲者という側面を見せない。

あいつは怠けている、やる気がないといい募れば、そいつに高い給料と高い保障を与えない罪悪感を払拭することができる。ほんとうは高い給料を払えないで安くこき使いたいだけなのに、相手が「怠け者」なら安い給料でも悪くない。そいつが悪いだけだから。浮浪者や日雇い労働者をそう見て、責任を回避。

フリーター怠け論は生産マシーン国家と長時間労働、社畜労働者が存続するためのプロパガンダ。容れ者が正当で、そこからもれる、逸脱する者が異常だという発想。社畜国家バンザイ。

あいつは怠け者だから浮浪者やフリーターになったという論理の根本は、困った他人を助けたくないという心情と根っこが同じ。本人の責任でそうなったのだからわたしは助ける必要も義務もない。困った人を助けられない罪悪感を緩和できる。怠け者落ちこぼれ論は他者を救済できないことの正当化。


関連本
フリーター、家を買う。排除される若者たち―フリーターと不平等の再生産「怠惰」に対する闘い―イギリス近世の貧民・矯正院・雇用貧者の領域---誰が排除されているのか (河出ブックス)無縁声声 新版―日本資本主義残酷史


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Comment

まあ、老世代の苛立ちも分かってあげようよ、と。

たとえば50-60代のお父さんで長期、正社員として勤めていても、
月の小遣い3万とか4万という人が少なくない。

つまり自由に使える小遣いはフリーターと差がない。これは悲劇ですよ。
それでいて妻子から尊敬されない(笑)
オトーサン達の苛立ちはぶつけるところがない。
マスコミがある意味、代弁してるんだろうとも思います。
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