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07 20
2010

歴史・地理

『奈良 地名の由来を歩く』 谷川 彰英

奈良 地名の由来を歩く (ベスト新書)奈良 地名の由来を歩く (ベスト新書)
(2010/04/09)
谷川 彰英

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 地名というのはなんとなく通りすぎてしまうものである。意味や由来を探ればおもしろい興味魅かれるものになるが、いくら本を読んでもほんとうのところはどうなのかという気持ちが残るものである。

 なぜなら現在の漢字名から由来を説明した文があまりにも多くてあまりにもこじつけ感が強いのである。『日本書紀』ですら、漢字名から由来をそのまま紹介した文が多くて、地名ってむかしから起源や名づけられた意味がわからなくなっていることが多いのだと思う。

 古代の天皇名や豪族名を見ているとむりやり漢字を当てはめた語が多いように思う。はじめに日本語と違うオトがあったのではないかと思う。ヤン・ヨーステンという人名を八重洲とあて名したみたいなものである。その言葉が古代朝鮮語であったのか、アイヌ語であったのか、ポリネシア語であったのかわからない。だから現在の漢字から解釈した地名ってどうも信頼できないんだな。

 この本はどうも現在の漢字から解釈した説明が多くてすこしがっかりするし、著者がはじめて訪れる地も多かったようで大阪からよく奈良にいくわたしとしてはちょっともの足りない気がした。生駒の暗峠(くらがりとうげ)なんて急坂すぎて二度とバイクでいきたいと思わないところに著者はクルマでいっている。もっともいくら奈良によくいくからといって、わたしには歴史も由緒の知識も少ないから学ぶことは大なので偉そうなことはいえないのだが。

 「大和」や「飛鳥」、「春日」など奈良にはふつうの読みでは読めない地名も多い。大和なんて「だいわ」か「おおわ」くらいしか読めない。飛鳥なんて「ひちょう」か「とぶとり」、春日は「はるひ」とか「しゅんじつ」としか読めないだろう。それにしても読めない読み方でしっかりと読むのがふつうになるのがふしぎだ。まあ、これは万葉集の枕詞によるものだと通説になっている。

 春日大社の第一、第二神が鹿島神宮と香取神宮から勧請したなんて知らなかった。ふつうは奈良の春日大社から勧請したと思われるのだが。わたしの好きなレイライン説によると鹿島神宮、香取神宮は冬至の日没方向に富士山、伊勢神宮、吉野山があることになっている。レイラインで考えると伊勢神宮から春分の日没が葛城山で、ここから夏至日出に三輪山、夏至日没に信貴山あたり、夏至日出に春日山とぎざぎざになってしまう。どういうことだろう。

 天皇は神道の流れにあって仏教ではないとこの本でいわれているが、たしかに聖徳太子から聖武天皇まではレギュラーな歴史ではない。蘇我氏の時代、天皇は危機を迎えていたのだろうか。

 神武天皇の足跡は榛原の山深くにのこっていることがふしぎだった。墨阪神社や鳥見山など神武天皇にゆかりがあるこの地は奈良の開けた盆地から山奥に入ってゆくイメージがある。この地を探った著者はよかったと思う。

 生駒山を「往馬」ととらえる説はどうだろう。生駒はけわしいので馬が行き来していた、暗峠は馬の鞍部のようなかたちをしていたなどといわれている。「生馬大名神」が往馬(いこま)大社に祭られている。わからないな。

 壷阪寺って飛鳥の近くにありながらあまり古い名前ではないのはどういうことだろうと思う。久米寺とか岡寺とかじつにふつうである。飛鳥にある名前は古めかしい読めない難読漢字であってほしいのだが。

 竹内街道の由来を探っていないのは残念だ。古代の官道といわれてきたところなのに。「當麻寺(たいまでら)」は「たぎたぎしい」――「でこぼこしているさま」と説明されることが多いのだが、これは風水とかかわりがありそうにも思えるのだが。「當麻」ってそのものずばりの「大麻」を祭っていたのではないかと思う。シャーマンはトランス状態になるために薬物をつかう。古代の呪術で大麻の果たした役割はあったと思うのだが。ところで奈良の飛鳥が「遠つ飛鳥」で、大阪のほうが「近つ飛鳥」であるというのはふしぎだな。

 奈良は「平城山(ならやま)という山名があるように「ならす」が由来だとよくいわれる。そんな単純なものかと思うが。もっとも奈良という県名は明治時代からで、ずっと「大和国」だった。堺県にまたがって五條県ができたこともあり、奈良県が堺県に吸収され、大阪府になり、消滅したこともあったそうだ。陳情により復活した。

 秋津島は神武天皇が大和のよさを詠ったところだが、いまはどこかわかりにくいが、著者は歩いている。地名は消えていることはあっても小学校に残っていることがけっこうある。著者は小学校に見つける。

 奈良には旧国名がたくさん残っているが、著者は究明にのりだす。学者や歴史学者はそういう究明に手をつけないことが多いと著者は憤っておられる。まあ、江戸時代の参勤交代のようなものだったかもしれない。西日本の国が多く、郷里に帰るさい窮乏の末に行き倒れるものが多いから食糧や租税免除をほどこすべきだといった文書を見つけている。

 まあ、地名というのははてしなく疑問や謎が噴出するものである。ふつうは自分で勝手に納得していたり、あるいはなにも思わないかもしれない。究明してゆけば楽しみと知識が増えるのである。わたしはやっぱり漢字からかんたんに由来を探る方法はどうもこじつけっぽくて好きではない。もっとも他言語の意味解釈はもっとこじつけっぽいのだが。地名なんて藪の中だ、だけどなにがしかの歴史をあらわすと思う程度のつきあいがいいのかもしれない。


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うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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