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07 16
2010

書評 哲学・現代思想

現代思想の10人

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 現代思想は知の根源や知の深淵を垣間見せてくれるように思います。

 難解すぎて理解できない思想家はたくさんいると思いますが、もし興味魅かれるテーマをあつかった思想家が見つかるとしたら、自分にそのような知識の吸収が求められているということなんだと思います。

 現代思想はだいたいの流れとして現象学、構造主義、ポスト構造主義という流れでくくられています。思想はジャンル横断型ですから思想群としてくくるのはムリな要求だと思いますが、理解や概括を可能にする便宜があるのでしょう。代表的な思想家に以下のような人がいます。

 【現象学】 フッサール、ハイデガー、レヴィナス、サルトル、メルロ=ポンティ
 【フランクフルト学派】 ベンヤミン、ホルクハイマー、アドルノ、ハーバーマス
 【構造主義】 レヴィ=ストロース、フーコー、ラカン、バルト、アルチュセール、
 【ポスト構造主義】 ドゥルーズ、デリダ

 以下に便宜的にすごい思想家だと思われる人や注目したい思想家十人を集めてみました。独断と偏見で集めるしかありませんし、わたしが感銘した思想家と世の評価は違いますのでその中間あたりを集めることになりました。

 まあ、こういうすごい思想家たちがいて、こんな本を出しているというガイドブックとして見てもらえればというのが今回の主旨です。思想家ってカッコイイ、思想家のように考えたいと憧れてくれればいいと思っています。思想家にふれて社会や人間の謎や深淵について考えたいとか思ったり、自由にものを考えていいんだという気づきが得られればいいと思います。


ミシェル・フーコー

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 フーコーというのはどんどん評価が高まっている気がします。わたしたちがいかに奴隷的に家畜的に支配されているか、知識や歴史の根源から暴き出したからでしょう。心まで社会支配の装置によって訓育されている様を暴くことはおどろおどろしい気もちにつき落とします。人間の自由についてきわめてラディカルに考えた思想家なのでしょう。

監獄の誕生―監視と処罰狂気の歴史―古典主義時代における知への意志 (性の歴史)言葉と物―人文科学の考古学フーコー・コレクション〈1〉狂気・理性 (ちくま学芸文庫)

精神疾患とパーソナリティ (ちくま学芸文庫)知の考古学(新装版)臨床医学の誕生わたしは花火師です―フーコーは語る (ちくま学芸文庫)精神疾患と心理学


ジル・ドゥルーズ

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 ドゥルーズはポスト構造主義の頂点と考えられていた思想家ですが、「戦争機械」であるとか「器官なき身体」、「ノマドロジー」とかひじょうに魅力的な概念を提出したのですが、わたしには難解すぎてなにをいっているのかさっぱりわかりませんでした(笑)。『アンチ・オイディプス』に『ミル・プラトー』と思想の頂点に燦然と輝く書物であったからこそ残念に思います。みなさんはこの現代知性の最高峰に挑戦して理解できればいいですね。

アンチ・オイディプス(上)資本主義と分裂症 (河出文庫)千のプラトー―資本主義と分裂症ニーチェ (ちくま学芸文庫)差異と反復〈上〉 (河出文庫)批評と臨床 (河出文庫 ト 6-10)

フーコー (河出文庫)スピノザ―実践の哲学 (平凡社ライブラリー (440))意味の論理学〈上〉 (河出文庫)記号と事件―1972‐1990年の対話 (河出文庫)シネマ 1*運動イメージ(叢書・ウニベルシタス 855)


ピエール・ブルデュー

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 ブルデューは趣味の階層性などを分析して、私のなかでは興味のつきない思想家(社会学者)です。ただ刊行本がほとんど藤原書店というバカ高い出版社から出されていて、なかなか手が出せなかったのが残念に思います。ブルデューはこの社会の暗黙のルールを社会学によって暴いて見せた思想家ということになるのでしょう。

ディスタンクシオン <1> -社会的判断力批判 ブルデューライブラリーメディア批判 (シリーズ社会批判)結婚戦略―家族と階級の再生産 (ブルデュー・ライブラリー)社会学の社会学 (ブルデューライブラリー)再生産―教育・社会・文化 (ブルデューライブラリー)

資本主義のハビトゥス―アルジェリアの矛盾 (ブルデュー・ライブラリー)遺産相続者たち―学生と文化 (ブルデュー・ライブラリー)市場独裁主義批判 (シリーズ社会批判)芸術の規則〈1〉 (ブルデューライブラリー)自由‐交換―制度批判としての文化生産 (ブルデューライブラリー)


アントニオ・ネグリ

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 近年ネグリの翻訳本が分厚い高級本として何冊も売り出されていますね。この高級本の出版によってわたしのような部外者にもネグリが高く評価されていることが伝わってきます。わたしは労働の拒否というアウトノミア運動に興味を魅かれたのですが、ネグリはどちらかというと政治色の強い人ですね。たしか来日ができなかったとか。

<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性マルチチュード 上 ~<帝国>時代の戦争と民主主義 (NHKブックス)未来派左翼〈上〉―グローバル民主主義の可能性をさぐる (NHKブックス)野生のアノマリー――スピノザにおける力能と権力構成的権力―近代のオルタナティブ

ディオニュソスの労働―国家形態批判ネグリ 生政治(ビオポリティーク)的自伝―帰還さらば、“近代民主主義”ヨブ―奴隷の力アントニオ・ネグリ講演集〈上〉“帝国”とその彼方 (ちくま学芸文庫)


ジャン・ボードリヤール

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 消費を記号的に分析するというボードリヤールの著作は目の醒める思いがしたものですが、近年記号消費の重みや重要性はうすれてきたのかもしれませんね。もうわたしたちは消費や記号によって優劣や序列を競う段階を終えてしまったのかもしれません。だから消費も景気もよくならないのでしょう。ボードリヤールは記号消費の終わった時代のことも考えたのでしょうか。二冊ほど読みましたが、鋭い人だと思いましたし、難解な部分は理解もできませんでした。

消費社会の神話と構造 普及版シミュラークルとシミュレーション (叢書・ウニベルシタス)象徴交換と死 (ちくま学芸文庫)不可能な交換消滅の技法

悪の知性物の体系―記号の消費 (叢書・ウニベルシタス)透きとおった悪パスワードなぜ、すべてがすでに消滅しなかったのか


アーヴィング・ゴッフマン

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 社会学ではカルトな評価をうけるゴッフマンですが、思想家に入れてよいものかわかりません。ただわたしには思想家ほどの鋭さをもっていると思います。ゴッフマンは日常の人間の集まりに深いメスを入れました。人が無意識に従っているルールや暗黙の規律を言語化するという知識は社会のありようにとまどうわたしにとってはなによりもほしい知識であったのだと思います。底知れぬ深淵をもった思想家だと思っています。

スティグマの社会学―烙印を押されたアイデンティティ儀礼としての相互行為―対面行動の社会学 (叢書・ウニベルシタス)集まりの構造―新しい日常行動論を求めて (ゴッフマンの社会学 4)出会い―相互行為の社会学 (ゴッフマンの社会学 2)

行為と演技―日常生活における自己呈示 (ゴッフマンの社会学 1) E.ゴッフマン

アサイラム―施設被収客者の日常世界 (ゴッフマンの社会学 3) E.ゴッフマン


エーリッヒ・フロム

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 フロムも思想家というよりか、社会心理学者です。フロイトの手法を社会に適用しました。社会心理の鋭い分析をなした人はフロムがダントツであったと思います。『自由からの逃走』とか『人間における自由』とか目の醒める思いで読みました。そのわかりやすさゆえにほかの思想家のように高尚さはすくないかもしれませんが、透徹した社会分析の目をもっていたといえると思います。

自由からの逃走 新版愛するということ生きるということ悪について

よりよく生きるということフロイトを超えて希望の革命 改訂版

人間における自由 改訳 (現代社会科学叢書) エーリッヒ・フロム

精神分析と宗教 (現代社会科学叢書) エーリッヒ・フロム

正気の社会 エーリッヒ・フロム

破壊―合本 人間性の解剖 エーリッヒ フロム


フリードリッヒ・ニーチェ

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 ニーチェは今日のポスト構造主義者のフーコーとかドゥルーズなど現代思想家にも大きな影響をあたえつづけている思想家ですね。道徳の転覆とか、真理の権力性など、今日的な問題を百年前に指摘していました。キリストの死とか永遠回帰とかが話題になる解釈もありましたが、やはりニーチェは道徳論と権力論で読みたいと思いました。アフォリズムという断章で書きましたからでいろいろな読み方ができる思想家ですが、おかげである意味読みやすい思想家だと思います。

ニーチェ全集〈12〉権力への意志 上 (ちくま学芸文庫)ニーチェ全集〈11〉善悪の彼岸 道徳の系譜 (ちくま学芸文庫)ニーチェ全集〈14〉偶像の黄昏 反キリスト者 (ちくま学芸文庫)ニーチェ全集〈9〉ツァラトゥストラ 上 (ちくま学芸文庫)ニーチェ全集〈5〉人間的、あまりに人間的 1 (ちくま学芸文庫)

ニーチェ全集〈8〉悦ばしき知識 (ちくま学芸文庫)悲劇の誕生―ニーチェ全集〈2〉 (ちくま学芸文庫)この人を見よ (岩波文庫)ニーチェ全集〈3〉哲学者の書 (ちくま学芸文庫)古典ギリシアの精神―ニーチェ全集〈1〉 (ちくま学芸文庫)


ジョルジュ・バタイユ

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 バタイユはグロくて、神秘性をもった思想家のイメージがあります。わたしは蕩尽という概念の破壊の快楽のための生産という考えにひじょうに興味をもちました。お金儲けとか経済って破壊の快楽のためにおこなわれるなんてそうかんたんに浮かぶ発想ではありませんね。通常的でない思索をもちあわせた思想家なのでしょう。それが非理性的な思考とか神秘的なイメージをもたらすのでしょう。

呪われた部分 有用性の限界 (ちくま学芸文庫)エロティシズム (ちくま学芸文庫)内的体験―無神学大全 (平凡社ライブラリー)純然たる幸福 (ちくま学芸文庫)非‐知―閉じざる思考 (平凡社ライブラリー)

文学と悪 (ちくま学芸文庫)エロスの涙 (ちくま学芸文庫)聖なる神―三部作 (ジョルジュ・バタイユ著作集)聖なる陰謀―アセファル資料集 (ちくま学芸文庫)ランスの大聖堂 (ちくま学芸文庫)


ルイ・アルチュセール

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 アルチュセールは「国家のイデオロギー装置」が強烈でした。国家のイデオロギーに自発的に服従してゆく個人を暴き出しました。わたしにとってのアルチュセールはフーコーと同様の権力にみずから服従するシステムを暴きだした思想家です。著作をみるとマルクス読解や精神分析などをなしていますが、認識論的切断とかの言葉があらわすように認識論をおこなったのかもしれません。なおアルチュセールは妻を殺して心神喪失と判断されたようですね。ドゥルーズは病気を苦にアパートから飛び降りたし、ニーチェは文字通り狂ってしまったし、不幸な最期をむかえる思想家が多いことはどういうことなんでしょう。

再生産について―イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置マルクスのために (平凡社ライブラリー)精神分析講義――精神分析と人文諸科学について資本論を読む 改装愛と文体―フランカへの手紙1961-73 (1)

マキャヴェリの孤独フロイトとラカン―精神分析論集哲学について未来は長く続く―アルチュセール自伝アルチュセール 哲学・政治著作集〈1〉

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