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06 21
2010

TV評

なつかしのテレビ・ドラマ40年史

 なつかしのテレビ・ドラマをならべて社会の変遷を考えてみました。70年代以降のテレビ・ドラマの流れを見てみて、なにが変わったのか、なにが違ってきたのか、社会の流れを考えてみたいと思います。

 ドラマは時代や社会を写し出すのでしょうか。ある時代の流行っていたものがいまも流行るとは限りませんし、あのとき受けたものがこんにち受けるとは限りません。そういう意味でドラマは時代を映しているのかもしれません。社会はなにを失い、なにが変わってきたのでしょうか。ドラマの流れから時代は見えてくるでしょうか。

 長々とつづいてしまいますので、「長すぎて読めない」のでご注意と覚悟を。


刑事ドラマの興隆

太陽にほえろ!  1978  DVD-BOXIGメン’75 FOREVER VOL.1 [DVD]特捜最前線1st&ベストエピソードDVD

70年代は国民的な刑事ドラマが流行った時期でした。戦後の混乱期をへて犯罪率も高かったですから、社会は刑事モノによって社会の規範や道徳を学習する必要があったのかもしれません。『太陽にほえろ!』なんて犯人を追いつめることに胸の高鳴りを感じたのですが、刑事に同化することのよって犯罪の抑制心を学んだのかもしれません。それにしてもデカはみんな殉職していきましたが、なにを意味していたのでしょう。仕事に殉職することが男の生きがいと思う刷り込みだったのでしょうか。「仕事で死ね!」はまるで「戦争やお国のために死ね!」となんら変わりはないと思うのですが。人情モノも多かった気がしますが、こんにちの犯罪報道で犯罪者に同情の目を見ることはありませんね。


アンチ・ヒーロー

木枯し紋次郎 DVD-BOX I子連れ狼 第一巻 DVD-BOX新必殺仕事人 VOL.1 [DVD]

『木枯らし紋次郎』や『子連れ狼』は社会からはぐれた一匹狼でした。こんにちの社会ではほとんど評価されない孤立がもてはやされたり、仲間はずれが評価される時代があったのですね。こんなヒーローはこんにち受けることはたぶんないのでしょうね。空気を読んで体育会系で集団主義で恋愛にのめりこむ人たちがもてはやされるばかりですね。『必殺仕事人』も社会の恨みを晴らすというこんにちでは考えもできない不穏な内容をあつかっており、社会はますます安全に平和にそして不自由になっているのでしょうね。こんにちこそこんなヒーローが必要なんだと思います、反社会的で、孤立的で、反権力な人たちが―。


熱血学園もの

ゆうひが丘の総理大臣 DVD-BOX1われら青春! DVD-BOX飛び出せ!青春 Vol.1 [Blu-ray]俺たちの旅 VOL.1 [DVD]

70年代は熱血学園ものが流行った時代でもありました。クソまじめに青春をして、鳥肌のたつ情熱を傾ける時代でした。そのあと若者はすっかりシラケ切り、政治にも哲学にも興味をもたずにマンガや消費に明け暮れる私事化の時代に入ってゆくわけですね。政治や教養に希望が描けなくなったから、学園やスポーツに情熱が賭けられたのかもしれませんね。のちの『俺たちの旅』のような元祖プータローたちがあらわれるのはさいしょからふくまれていたのでしょうか。これらのドラマは団塊の世代が見ていたのでしょうか。政治や希望の季節はここで終わりを告げられていたのかもしれませんね。


松田優作とショーケンのカッコよさ

探偵物語 VOL.1 [DVD]俺たちの勲章 DVD-BOX太陽にほえろ! ジーパン刑事編I DVD-BOX傷だらけの天使 Vol.1 [DVD]

松田優作やショーケン(萩原健一)のカッコよさに憧れた人も多かったと思います。松田優作はそれまで『殺人遊戯』など非情な凶悪犯を演じていたのですが、『探偵物語』でコミカルでジョークを吹きまくるカッコよさを見せつけました。ショーケンの牛乳を飲みながらソーセージをほおばる姿が忘れられないと思いますし、水谷豊の「アニキ~」という声も忘れられませんね。メディアがカッコイイ男を提示できた時代があったのかもしれませんが、こんにちメディアがそんな男性像を提示できているとは思えません。お笑いタレントがカッコイイという媚びて一般受けする男が理想なんでしょうか。


■「赤いシリーズ」と親の悔恨

赤い疑惑 DVD BOX赤い運命 DVD BOX赤い衝撃 DVD BOX

一連の赤いシリーズが大ブームになりましたが、リヴァイバルを見て『赤い疑惑』には親の悔恨があると思いました。輝かしい未来を約束できなくなった親の悔しさです。ときは受験戦争が加熱し、高校進学率が90パーセントをこえましたから、親の子どもに教育費をかけてやれない悲しみがこれらにシリーズにこめられていたのではないかと思いました。親の視点からのドラマですね。

 山口百恵は自立と男にたよらない強い女を歌っていましたが、共演者の三浦友和と結婚し、専業主婦として芸能界にカムバックすることはありませんでした。結婚でドラマと現実をすりあわせてくれたことでファンの要望に応えましたが、自立した進んだオンナにはなりませんでした。自立したオンナは松田聖子の登場を待たなけれならなかったのでしょう。もっとも松田聖子は田原俊彦とか郷ひろみのロマンスを完遂してくれませんでしたが。


男親と娘たちと家族をつくること

パパと呼ばないで DVD-BOX I池中玄太80キロDVD-BOX Iおくさまは18歳 コンプリートDVD-BOX(上巻)

「チー坊」という声だけはよく覚えているのですが、『パパと呼ばないで』は亡くなった姉の娘をひきとる男のドタバタを描いたドラマでした。『池中玄太80キロ』も亡くなった妻のかわりに三人娘をひとりで育てなければならなくなった男を描いていますから、似ているのかもしれません。親の視点で書かれたドラマが多かったのですね。ドラマの受け手は親や大人と想定されていたのでしょう。こんにちのロリコン疑惑社会でチー坊のような少女を愛する話は受容されるか疑わしいですね。

『おくさは18歳』は結婚した教師と生徒がそれを秘密にして学園生活をおくるという物語でした。性のタブーを破ることを衝撃的なものとして受けとられてきましたが、性のタブーはどうして公共では隠蔽されるものだったのでしょう。性は公共では共有されない私秘的なものとされてきたのですが、それが「解禁」されるごとに大きな話題を得てマスコミは儲けてきました。禁止の強いものと解禁の落差で性はいつでもマーケットになるのでしょうね。


社会派の作品たち

白い巨塔 [DVD]不毛地帯 [DVD]人間の証明 デジタル・リマスター版 [DVD]砂の器 デジタルリマスター 2005 [DVD]野性の証明 [DVD]

『白い巨塔』や田宮二郎といった人がブームになっていましたね。『白い巨塔』や『不毛地帯』などがリバイバル・ドラマ化されていましたが、80年代のトレンディ・ドラマをへて社会派のドラマに帰ろうとしたときにお手本とされなければならなかった作品がこれらのドラマだったのかもしれません。ドラマは恋愛モノ一色にそまったおかげで、社会を描けずに松本清張の軌跡をたどることで復興をとげているのかもしれません。

映画であった『人間の証明』や『砂の器』もドラマ化されましたが、わたしはぜひとも『野生の証明』もドラマ化してほしかったのですが、テーマが自衛隊や殺人などいまの世の中にはハードすぎたのでしょうか。原作やドラマでは地方都市の権力が描かれていましたから、そちらのほうに重点をおけばよかったのかもしれません。『野生の証明』は社会派ドラマでありながら、薬師丸ひろ子のアイドル的側面で見る若者もふえたので、社会派からアイドルの時代の分岐点的映画だったのかもしれません。


大マジメな虚構をわらうこととドラマNG集

大映テレビ ドラマシリーズ スチュワーデス物語 DVD-BOX 前編大映テレビ ドラマシリーズ ヤヌスの鏡 前編 [DVD]大映テレビ ドラマシリーズ 不良少女とよばれて 後編 [DVD]

堀ちえみの『スチュワーデス物語』が大ヒットしました。大マジメにやっている出演者を大笑いするという、真剣さを笑うというズレた見方がされました。ドラマや物語はしょせん虚構やつくりごとにすぎないから大マジメにひたるなという分別が生まれていたのかもしれません。ドラマのNG集が流行っていきますが、ドラマがパロディ化されて虚構は虚構にすぎないという成熟した醒めた目も視聴者は獲得してゆきました。マジメさや真剣さは笑われました。重くて、深くて、真剣な社会派ドラマは敬遠されて、ちゃらちゃら軽いショーやムードが社会を席巻していきました。バブルの道を開いたのでしょうね。漫才ブームがやってきたのもこのころだったと思います。


■『金八先生』は子どもにウケていたのか

3年B組金八先生 第1シリーズ 初回限定BOXセット [DVD]熱中時代教師編 II Vol.1 [Blu-ray]

校内暴力を背景に『金八先生』は大流行りでした。当の学生たちは見ていたか疑わしく思いますが、真剣さやマジメさを捨てていてカッコよくなかったからですが、親世代が見ていたのでしょうか。不良学生が道徳や規律を説くドラマを見るとは思えません。『熱中時代』の独特のいいまわしで人気だった水谷豊の教師役も話題になりましたね。戒めや縛りを若者に向けるようなドラマが当の本人たちに好評をもって受け入れられたと思いません。


恋愛ドラマとトレンディ・ドラマの幕開け

ふぞろいの林檎たち DVD-BOX金曜日の妻たちへ DVD-BOX男女7人夏物語 DVD-BOX

ドラマは社会派やオトナの時期を終えて、恋愛やトレンディ・ドラマのほうに変わっていきました。視聴者は若者や女性だけにターゲットが絞られていったのでしょう。オトナの男たちは除外され、以後ドラマやマーケットは若者と女性だけのものになってゆきます。社会は社会問題や政治を忘れ、ただ恋愛と消費にうつつに抜かすバブルの日々に入ってゆきます。

『ふぞろいの林檎たち』なんか好きだったのですが、三流大学生の悩みや問題を描いていました。それがのちのトレンディ・ドラマになると恋愛しか描かなくなり、対象は女性だけのものになりました。80年代は女性の消費の時代だったといえますが、それにしても恋愛物語だけに社会がそめられるものかと思いますが。わたしもよく見ていたのですが、やはり片目で顔をおおいたくなりながらも見ていました。

『金曜日の妻たち』は不倫を描いたドラマで、主題歌も大ヒットしました。『男女7人夏物語』は明石屋さんまと大竹しのぶのコンビで以後の恋愛路線は決定的になったのかもしれません。


女性のための時代

東京ラブストーリー DVD BOXあすなろ白書 DVD-BOX35.jpg

『東京ラブ・ストーリー』でトレンディ・ドラマの時代が本格的にやってきました。原作のマンガ家の紫門ふみが恋愛の教祖といわれるようになりました。男やオトナはなにを見ていたのでしょうか。仕方なくオンナの恋愛物語にあきれながらつきあっていたのか、バブルの投資や土地ころがしでそれどころではなかったのかもしれません。オンナと消費が一大躍進した時代でした。

わたしは『あすなろ物語』も好きでしたし、『Age,35』の切ない物語も大好きでした。恋愛や消費をバカにして醒めた目ももちながら、けっこう一面では好きな面がありました。ただ世の中恋愛一色になれば男は違うと思いますし、そればっかりでは食傷してしまうでしょう。バブルに恋愛と女が大流行りしたのはカネがある時代には女が浮かれて女の世界を押しつけるという見本を見せたのかもしれません。


バブリーな時代

フジテレビ開局50周年記念DVD 抱きしめたい! DVD BOXフジテレビ開局50周年記念DVD 愛しあってるかい! DVD-BOX101回目のプロポーズ [DVD]

浅野温子と浅野ゆうこがトレンディ・ドラマの顔としてW浅野といわれましたね。世はバブル、高級品とおしゃれなライフスタイルがもてはやされた時代ですね。「記号」や「ステータス」としての消費が大流行でした。この時代のことはいまからはなにもいいたくありませんし、真剣にも語りたくありません。わたしは嫌いな時代でした。


等身大としての中山美穂

フジテレビ開局50周年記念 『君の瞳に恋してる!』DVD-BOXおいしい関係 [DVD]フジテレビ開局50周年記念 『すてきな片想い』DVD-BOX眠れる森 DVD-BOX

中山美穂が等身大の女性としてかずかずの恋愛物語を編み出したり、歌もカラオケで女性たちに支持されました。ヤンキーな女性からしっとりとした大人の女性に脱皮してゆきましたね。女性の恋愛の時代であり、ほかの男やオトナはなにを思ってこの時代のドラマを見ていたのでしょうか。音楽も若者や十代だけのマーケットだけになり、女子高生ブームがやってきて、大人たちは少々疎外感を感じながらもほかのものや仕事に楽しみを求めたのかもしれません。やれやれ、マスコミなんて見てられないと離れていったのかもしれません。


時代に逆行するドラマ

北の国から 87 初恋 [DVD]北の国から 89 帰郷 [DVD]北の国から 95 秘密 [DVD]おしん 完全版 少女編 [DVD]おしん 完全版 青春編 - 山形・東京 [DVD]

『北の国から』は東京から北海道に移住した一家のまったくトレンディではない物語でしたが、兄と妹の青春物語も重ねて描かれましたから、多くの人に支持されました。あのテーマ曲を聞くと泣けてきますね。バブル前夜にある女性の苦労人生をえがいて『おしん』は世界的大ヒットを記録しました。時代をまったく逆行するドラマがなぜと思ったのですが、日本が経済的に世界に注目される中で日本の成功物語として受容されたのかもしれません。


脚本家・野島伸司

愛という名のもとに DVD-BOX高校教師 DVD BOXストロベリー・オンザ・ショートケーキ 1 [DVD]薔薇のない花屋 ディレクターズ・カット版 DVD-BOX

野島伸司のドラマも数多くヒットしましたね。『家なき子』とか『ひとつ屋根の下』とか大ブームでした。劇中で使われた古い曲もリバイバル・ヒットしするというおまけつきでした。『高校教師』とか『人間失格』とかショッキングなテーマで釣ろうとした作品はいまいち作為が透けて見えましたし、古典的な物語をなぜいまごろ復活させるのかという意外性で勝負した脚本家だったのかもしれません。いやみったらしい説教くさい作品も鼻につきました。ナチュラルさや自然さがはじめからない人工的な作為の作家なのかもしれません。


キムタク人気

ロングバケーション [DVD]ビューティフルライフ~ふたりでいた日々~ DVD-BOXHERO DVD-BOX リニューアルパッケージ版プライド DVD-BOX華麗なる一族 DVD-BOX

キムタクのドラマってわたしはそのナルシス性がかなりいやなのですが、視聴率があるようにけっこう支持している人がいるのでしょうね。わたしにはカッコイイとか、憧れるとかほとんどないのですが、女性からの視点ではカッコイイのですかね。若い男もカッコイイと思うのでしょうかね。わたしにはカッコつけのナルシスしか見えないのですが、ナチュラルにカッコイイのでしょうかね。テーマや内容には見るものがないと思えますが。


心理学ブームと猟奇殺人

イグアナの娘 The Daugther of IGUANA DVD-BOX真昼の月 DVD-BOX沙粧妙子 最後の事件+帰還の挨拶(SPドラマ)DVDコンプリートBOX 全5巻

世はこころの時代といわれ、心理学や猟奇犯罪者の心理に興味をもつ人がふえ、トラウマもののドラマなどいくつかつくられました。『イグアナの娘』は傑作だったと思いますが、母は娘がイグアナに見え、娘は自分がイグアナに見えるという象徴を描いたすばらしい作品でした。彼女はその魔法を解いたとき、母親は自分がイグアナに見えるようになったという見事なラストで終わりましたね。『真昼の月』はレイプされた女性のトラウマを描き、『沙粧妙子』は猟奇殺人の心理を描きました。心理学に興味をもつ人がふえることはいいことだと思いますが、それが一般に広がるとどうしてこういう方向にいってしまうのと思えました。


好評ドラマ

踊る大捜査線(1) [DVD]ショムニ FINAL DVD-BOXのだめカンタービレ DVD-BOX (6枚組)

『踊る大捜査線』は警察の組織をコミカルに描き、好評でしたね。『ショムニ』もOLの豪快な生き方を描いて楽しめましたね。『のだめカンタービレ』はクラシックの楽しみ方を教えてくれる意外に楽しい作品でしたね。


バブル終焉後のドラマ

やまとなでしこ DVD-BOX世界の中心で、愛をさけぶ <完全版> DVD-BOX僕と彼女と彼女の生きる道 [DVD]プロポーズ大作戦 DVD-BOX

『やまとなでしこ』はお金でしか男を値踏みできない女がさいごは貧乏な男でもかまわないと結ばれるいい作品でしたね。松嶋奈々子は女優として「上がり」になった数少ない女優だと思いますが、鈴木保奈美や竹内結子とともに殿堂入りしたと考えます。『世界の中心で、愛をさけぶ 』はかつてのお約束、虚構をマジに受けとってはならないというルールを、主人公の死によって破ったと思います。はじめから死ぬのがわかっている主人公を描けば泣くに決まっていますが、その折り込みをこめた作品は卑怯というかルール違反な気がします。『僕と彼女と彼女の生きる道』は妻が出ていった仕事一筋の男が娘をひとりで育てなければならなくなった怒りと心が変わってゆくさまを描いたわたしの大好きな作品ですが、トレンディドラマのブームが去っていいドラマが生まれる時代がきたと思いました。『プロポーズ大作戦』も切ないいいドラマでしたね。


韓流ブーム

冬のソナタ スタンダードBOX [DVD]天国の階段 DVD-BOX 1

韓流ブームというのがやってきて、『冬のソナタ』や『天国の階段』など数多くの韓国ドラマが流入することになりました。中年女性がブームの火付け役になったというイメージですが、恋愛ものが多いという印象を受けるのですが、どうして若い女性ではなくて中年女性だったのでしょう。アメリカやヨーロッパなどの先進国でもなく、後進国である韓国からどうしてドラマ流入がおこったのでしょうか。メロドラマ不足に韓国ドラマがあてはまったということでしょうか。ドラマは社会派に帰ってほしいと思っているわたしはあまり韓国ドラマに魅かれることはないのでよく見ていません。


社会派ドラマの再帰

女王の教室 DVD-BOX砂の器 DVD-BOXハゲタカ DVD-BOX

『女王の教室』も『ハゲタカ』も近年まれに見る傑作だったと思います。『女王の教室』は理不尽な権力や階層を教師自身が体現化した見事なテーマをもっていたと思います。『ハゲタカ』もカネと経済に翻弄される男の悲劇や悲哀を描いていて、役者たちの怪演が真に迫っていたと思います。ホリエモンがモデルになったという浅い部分もなきにしもあらずですが。『砂の器』も父と子の放浪シーンが美しい日本の風景を背景に流されつづけてドラマの頂点を見た気がするのですが、トレンディドラマのブームが去ってやっとまともなドラマがつくられるようになったと思いました。

        ■

 以上、ながながとこの四十年ほどのドラマについて考えてみましたが、暗くて深刻なドラマの時代から、軽薄で上っ面な恋愛ドラマのときをへて、ふたたびドラマはどこをめざそうかと模索しているのではないかと思います。松本清張のドラマブームなどはトレンディドラマで草木が一掃された社会派の下地をとりもどす試みに思えます。社会のムードや空気もそのような傾向をへて、堅実で安定したものを模索しているのかもしれませんね。

 トレンディドラマやバブルの時代はろくでもない時代だったといまから思うのですが、若い女性たちはこの世の春を謳歌していたのかもしれません。投資や土地ころがしで儲けたおっさんたちもうはうはだったかもしれませんが。

 ドラマの視聴者の年齢やターゲットが下がってきたのも特徴を感じました。オトナが見るものから、若い恋愛を中心に考える世代にターゲットが絞られていた気がします。若者マーケット向けにドラマや音楽は向いていましたね。テレビはだいたい60年代生まれの新人類世代の成長・目線に照準が合わされていたのではないかと思います。いまでいうアラフォーの世代ですね。かれらはマスコミの作為や戦略によく乗ってくれた世代なのでしょう。いまの若い世代が消費しないとしたら、かれらの愚かさを学習したよい結果なのかもしれません。

 わたしはドラマはトレンディドラマではない、堅実で深刻な社会の現実を描く社会派ドラマであってほしいと思いますが、まあドラマにそれを期待するというのはムリというものでしょう。ドラマはエンターテイメントでありますし、学問のように社会を描けるわけではありません。ほどほどの期待とリラックスしたエンターテイメントを提供してくれる物語であればいいのでしょう。


参考にしたかった本
テレビドラマのメッセージ―社会心理学的分析家族の肖像 ホームドラマとメロドラマ(日本映画史叢書 7)ホームドラマよどこへ行く―ブラウン管に映し出された家族の変遷とその背景「家族」イメージの誕生―日本映画にみる「ホームドラマ」の形成


懐かしのトレンディドラマ大全―80~90’s創世期から黄金期、転換期までテレビドラマベスト・テン10年史 1997‐2006もう一度見たい!ドラマ100本 ’90年代編テレビドラマを「読む」―映像の中の日本人論TVドラマ ここがロケ地だ!!

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プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

Kindle本、2冊発売中です。

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