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06 19
2010

レイライン・死と再生

飛鳥・大和レイライン・マップ

 近江レイラインを引く前にこちらの飛鳥・大和レイラインを引くべきでした。これで大阪レイラインと合わせれば近畿の大きなレイライン・マップができあがりますね。

 例のごとくなんの意味があるかわからない地図になりました。おたまじゃくしの卵が集まった状態ですね。

 レイラインを引いていて思ったのは飛鳥・大和はレイラインのメッカと思ったのにあまり該当する聖点が少ないように感じられました。この寺社を結びつけるべきかという村の鎮守なみの地点も多かったですし、はたしてレイラインに関係ある場所なのかという疑問もなんどもきざしました。おそらくは何割かはレイラインとなんの関係もない地点でしょう。

 計測ツールは風水の「あちこち方位」を参照にしていて、緯度から30度角を目安にしているにすぎないので正確だとはいえないでしょう。夏至や冬至ラインがかんたんに正確に求められるツールがあればいいのですが。

 クリックでどの寺社仏閣がどの方位に結びつけられているか見てみてください。右ななめ上が夏至の太陽ののぼる地点で再生や最大のパワーの地ですね。左ななめ下が冬至に太陽が沈む地点で一年の太陽が死ぬ日で、死者とあの世の世界だと古代では考えられていました。

 古代、暦をつくることは天皇や豪族の権力の源泉でしたし、暦を知ることは天や地を支配するひとつの証やしるしだったと思われます。ある地点から定点観測することによって、天皇たちは季節を知り、予知でき、そして権力をにぎったのでしょう。

 かれらは暦を知ることによって神の世界に近づき、合一し、そしてみずからが神となって再生することを願ったのでしょう。太陽が冬至に死ぬ地点は死者の国であり、神が再生する地でもありました。夏至の最大のパワーを送り込めば神となって再生することとも可能だと考えたのかもしれません。

 こんかい最大の発見は秀吉で、秀吉はレイライン上で暗躍していたようです。近江レイラインでは安土城と豊国廟が冬至日没ラインで結ばれていました。大和では三輪山の大神神社と夏至日没の方向に大阪城がありました。大神神社のパワーを送ろうとしたのか、それとも大神神社で神となって再生することを願ったのでしょうか。

 レイラインは古代のそんな世界観の痕跡をこんにちにも残しているのだと思います。そしてそんな世界観の地の上でわたしたちは暮しているといえるでしょう。


飛鳥・大和レイライン・マップ
 重いのでリンクにしておきます。Google Earthで見たほうが寺社名が表示されてわかりやすいと思います。


 例のごとくなんの意味かわからない地図になっていますが、レイラインをゾーンとして考えるとひとつのまとまりが見える気がします。ゾーンとして考えられるラインは夏至日の出と冬至日没を結びつけるラインです。太陽の最大のパワーの日と、太陽が死に、再生する日です。

 おおまかなゾーンとして見えてくるのが金剛山―飛鳥ゾーンと、葛城山―三輪山ゾーン、信貴山―春日山ゾーンです。これでこのごちゃごちゃしたラインもひとつのまとまりが見えてくるようですね。


夏至―冬至ライン 金剛山―飛鳥ゾーン

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 なぜ飛鳥は古代日本の発祥の地、日本のふるさとなったのでしょうか。奈良盆地のこんな奥まったところがどうして国家の中心地になったのでしょうか。

 ひとつの解答として金剛山の関係があげられますね。飛鳥からみれば金剛山は冬至に衰えた太陽が沈む死者の世界であり、金剛山からは飛鳥は日出るところの再生と誕生の地でした。二上山が死者の国であったという伝承は聞きますが、飛鳥の時代においては金剛山が死者の国であったのでしょう。

 飛鳥は聖なる再生、誕生の地でした。天の力を付与されたと思われた天皇が坐ますところとしてふさわしい御所であったのかもしれません。

 金剛山のなだらかなふもとに葛城一言主神社があり、ここはなんだか旧約聖書の「はじめに言葉があった」の冒頭を思わせますね。高天原神社もありますが、もう古ぼけた村の鎮守のような神社ですが、世界の原初・創世をつげるような神の創造地として金剛山は考えられていたのかもしれません。


夏至―冬至ライン 葛城山―三輪山ゾーン

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 このゾーンも神の聖なる場所がおおくあらわれる場所ですね。夏至の日の出と冬至の日地ラインを結びつければその意味が見えてくるかもしれません。三輪山が再生と誕生の神であり、葛城山は死者の国であったと思われます。

 葛城山は役小角や修験道の聖地であり、鬼の暗躍する場所でもありました。いっぽう三輪山は白い蛇の神や伊勢神宮の勧請元の天照大神がいた聖なる場所であったと考えられています。

 あいだには耳成山、天香具山、畝傍山の大和三山もあります。畝傍山には神武天皇陵もあります。三輪山からの夏至の最大のパワーが三山を経由して再生を願う葛城山へと送られたのかもしれません。

 そして夏至の日ののぼる聖なる場所はさらにさかのぼられて、初瀬山や長谷寺、都祁へと聖地ははるか山奥へと向かっていったのでしょう。

 死者の国といえば二上山の王陵の谷のほうが有名ですが、二上山は三輪山の春分・秋分ラインにちょうど位置します。春と秋に三輪山から日は昇り、二上山のふたつコブのあいだに沈みます。王陵の谷へは天理市の石上神社からのパワーが送られて、神としての再生が願われたのかもしれません。


夏至―冬至ライン 信貴山―春日山ゾーン

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 信貴山や高安山がどうして聖なる山岳として崇められるのか不思議でしたが、この地点から夏至の日の出がのぞめるのは東大寺や春日大社、平城京がある奈良の中心地にあたります。国家の繁栄や再生を夏のパワーのように願う場所として考えられたのでしょうし、平城京から見れば信貴山、高安山は冬至の太陽が沈み、一年の寿命を終える場所でもありました。

 この先を延長すれば古市古墳群がありますから、死者の国であり、死と再生、誕生がのぞまれた場所でもあったのでしょう。夏至のパワーを東大寺や春日大社から送り込み、一年の太陽や世界、または神は再生し、復活したのでしょう。法隆寺もこのゾーンにふくまれます。

 そして東大寺や春日大社、平城宮のゾーンはだいたい大阪城と同じ緯度に位置します。なにが願われたのでしょうか。このラインを延長すれば神戸も同一緯度に位置し、大阪城は元町とおなじ緯度で三宮よりすこし南に位置しますが、春分・秋分ラインが意識されていたのでしょうか。太陽がのぼるところと沈むところは強く意識されていたようです。





 神社や寺はなぜその場所なんでしょうか。なぜほかの場所ではなかったのか、なぜその場所でなければならなかったのか、と考えてみると意味があるようでなさそうでわかりません。神社や寺はべつにどこでもよかったのでしょうか。神や仏のいる場所はべつにここでなければならない理由はなにひとつなく、どこへでも移動できるものだったのでしょうか。

 やはりその場所でなければならない理由、神や仏がそこに存さなければならない理由というものがあると思います。天皇の都がある場所につくられたのは理由や意味があったのでしょうか。

 レイラインはそのひとつの答えを導き出すと思います。ぜったいにそこでなければならなかった理由というものを指し示すと思います。そしてそこは神が死者や神々の存在する世界の境界であり、また神や死者が再生したり、この世にもどってくる境界の場所でもあったのでしょう。

 レイラインを探っているとそういう世界観のかなめの部分をあぶりだすことができるように思います。この世界の世界観の根幹を掘り出しているように思えます。こんにちでは科学的世界観で唯物的に理解する思考に慣れていますが、現代人はもうそういう世界観でしか世界を実感できないものかもしれませんが、古代の世界観を探ることによってこの世界にこめた崇拝や畏怖の気もちが再確認できるような気がして、ひきこまれるのかもしれません。


参考文献
 レイラインを知ったのは宮元建次の『神社の系譜』(光文社新書)によってでした。レイラインは73年にカメラマンの小川光三の『大和の原像』(大和書房)によって発表され、80年にNHKで放送されました(水谷慶二『知られざる古代』日本放送出版協会)。こんにちそのブームはあとかたもなくなくなっています。オカルトめいたものとして敬遠されてしまったのかもしれません。

 レイラインの世界観を探る上でひじょうに参考になったのが太陽信仰や原始宗教を探った著作でした。エリアーデの『豊穣と再生』(せりか書房)は原始宗教の内実をひじょうにきめこまやかに伝えていますし、クラップの『天と王とシャーマン』(出版文化社)は古代権力者と天文の関係がのべられています。

 井本英一の『飛鳥とペルシア』(小学館)は世界中の死と再生の意味合いを決定的につたえている本だと思います。極めつけのおすすめ本は大和岩雄の『天照大神と前方後円墳の謎』(六興出版)です。太陽信仰の決定版でしょう。もっともほとんどの本は絶版状態ですが。内田一成『レイライン・ハンター』はネットでレイライン研究を発表していた成果を出版したものでしょう。 

 まあ、レイラインなんてたいがいの人が興味をもってくれませんが、わたしは空間と知識の両方を楽しめる一挙両得のものと思っていますが。空間の意味を読み解くという作業がおもしろいんでしょう。景色を楽しむために山登りをはじめて古い信仰のあとを見るうちにその意味はなんだろうかと考えるようになって、景観論や古代史を掘っているうちにレイラインという空間と知識の楽しみにハマったということです。

神社の系譜 なぜそこにあるのか (光文社新書)エリアーデ著作集 第2巻天と王とシャーマン―天に思いを馳せる支配者たちレイラインハンター ~日本の地霊を探訪する~


大和の原像―知られざる古代太陽の道 (日本文化叢書 (3)) 小川 光三
知られざる古代―謎の北緯三四度三二分をゆく (1980年) 水谷 慶一
天照大神と前方後円墳の謎 (1983年) (ロッコウブックス) 大和 岩雄
飛鳥とペルシア―死と再生の構図にみる (小学館創造選書 (76)) 井本 英一

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プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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