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12 31
2009

書評 経済

『日本再生の戦略』 天児慧


日本再生の戦略 (講談社現代新書)
天児慧

日本再生の戦略 (講談社現代新書)


 著者は中国研究の専門家で、著者もみずからあとがきで書いているようになぜこの本を著者が書いているのかわからない本であった。日本の概括にながらくページが割かれており、いまさらこんな概括なんか読んでも仕方がないし、再生の戦略もお役所的な発想だし、四方山話もムダだ。

 新書で安く買えるから手にとったが、再生戦略はエコノミストか社会学者の書いた本を読みたかった。どうも中国専門家が首をつっこむ話ではなかったようで、あいまいで焦点の定まらない本になっている。まあ、私も日本再生の戦略なんかわからないからこの本を読んだので評価もできないのだが、どうもズレを感じる本であり、あまり読んでも価値のある本ではなかった。

 日本は経済大国をめざしてきて、バブル期以降に経済、労働中心のひずみから生活大国が目標になったときもあるが果たされず、つぎには凋落や衰退、非正規増加、貧困など坂を転げ落ちて、ますます目標もなく、希望もなく、戦略もない時代にさまよっている。日本はどこをめざすべきか。

 まあいまは高度成長期にできあがった社会システムを下落時代に合わせる対症療法が先だろう。正社員保障や核家族モデルを変えなければならない。パート賃金やフリーターでも生きて家族と子どもももてる社会システムをつくらないと正社員保障モデルからもれる大量の若者は希望も未来もないだろう。家庭を男が養い、女が家を見るというモデルももう不可能で、まさに主婦パート賃金でも生きられる社会に対応するしかないだろう。

 若者に夢や希望がなくなった。企業社会が若者に立身出世や大志を抱けないシステムになってしまったのもあるし、ぎゃくに若者からも大志もおおきな夢をいだかなくなったこともあるだろう。消費と私生活主義で、若者はこじんまりと生きるしかなく、それも行きつまってしまった。閉塞感や停滞はそこからきているのだろう。

 希望や夢をいだける方向性を見つけなければならないわけだが、近代産業社会の目標が終わってしまえばそれすら容易に見つけられない。希望や夢はどこにあるのだろう。若者は私生活の価値や幸福を追求するしかないのだろうが、国家としてはどこをめざせばいいのだろうか。近代化あとの成熟社会というのはとてもむづかしい問題のようである。下落をごまかして、間延びさせる方法しかとりえないのではないかと思う。美しき停滞というやつだ。


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