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11 01
2009

YouTubeマイ音楽館

心の闇を歌う女性アーティストが増えたのではないか



 チャート的にはいささか古い話になるが、YouTubeやNonStopTUBEの存在により、旬をすぎても歌手の歌をより深く聴ける機会がふえたので、遅らせばながらの考察をしたいと思う。

 先ほど柴田淳はなぜ暗い歌ばかり歌うのかと考えてみたが、同系統やルーツをたどってみると鬼束ちひろやCoccoの存在があったことに気がついた。柴田淳はOLに人気があった古内東子の恋愛ソングの系譜にあるのかと聴いてみたが、古内東子はあまりにも平和的すぎる感じがした。柴田淳はこの両者あたりの中間に位置するのではないだろうか。

 柴田淳 LoveLetter
 柴田淳 ちいさなぼくへ 
 柴田淳 「白い世界
 柴田淳 それでも来た道
 柴田淳-
 柴田淳 【今夜、君の声が聞きたい

 柴田淳ははかなさや後悔、孤独、ときには暗い情念を歌ったりする。暗くてなにひとつ跳ねない歌ばかり歌う。クールダウンや鎮めるための曲で、柴田淳はなんのために歌うかというと、自分の苦しみや悩み、思ったことをはきだして心の重荷をとりさる、ラクになるために歌っているという感じがする。

 ほかの歌手とくらべると暗い歌しか歌わないのだが、鬼束ちひろやCoccoとくらべるとじつに日常の健康レベルを踏み外していないように思える。

 ルーツを探ってみようとCoccoを聴いてみるとびっくり。Coccoは定まらない挙動不審な視点、抑えつけられたような手の動きなどの痛々しさで見ていられないと思っていたが、歌手という人が憧れ、平均点以上と思われる場にそのような人があらわれるとは思っていなかった。

 曲や歌は天才的なものだが、しゃべりやコミュニケーション能力は平均以下で大丈夫かという感じだ。天は二物をあたえずという感じだ。しかしそれでも振りのついたパフォーマンスでは才能があって、このギャップのいちじるしさには驚くばかりだ。

 Cocco 「Raining
 Cocco 強く儚い者たち
 Cocco/野生児トーク
 Cocco - Blue Bird
 Cocco...(PV)Swinging night
 樹海の糸 Cocco
 Cocco Onsoku Punch

 Coccoはさいきん拒食症やリストカットなどの告白をしているが、創造や創作をする人はむかしから狂気や精神障害など精神をふみはずす人がおおかったものである。そのような危機や危うさがあるからこそ創作は必要になったともいえるし、なにかを深く極めるということは、精神の閾をこえてしまうものなのだろう。むかしは「天才のパトグラフィー(病跡学)」といった研究もおおくて、偉大な創作者がかずおおくの精神の闘いをくりかえしていたことが報告されている。

 POPミュージックもそういう精神の境界をまたいでしまうような芸術性のレベルにむかおうとしているのかもしれない。しかしこういう見解はぎゃくに精神の狂気を美化してしまい、狂気が芸術の高いレベルの証拠、深い精神のあらわれというおろかな転倒をひきおこしてしまい、狂気が目的化する、崇拝してしまうという稚拙な転落におちいりがちである。メンヘル系とよばれる人の中にはこの転倒したロマンティシズムにむかってしまう人がすくなからずいるようで、その浅はかさは残念だと思う。代償は大きく、きつい。

 それにしてもこの変化を見てみると、80年代のおバカなアイドル・ブームからいかに時代がへだたったかわかるというものである。かわいくて明るい、おバカなアイドルがチャートを埋めつくした時代があったのである。深さや重みはもとめられない。ただ明るくて、かわいくて、歌がヘタな子でもよかったのである。昭和という時代はまだ社会も若くて、ティーンエイジャーのように異性のたんじゅんな外見的な魅力があればそれだけでOKという時代だったのだろう。覚せい剤でつかまった酒井法子なんてこの時代のギャップを背負ったのかもしれない。日本国民がこの事件に食い入ったのは、私たちが現実を無視した共犯関係にあったからではないかと思う。清純派の一面でだましていたのは私たち自身だからこそ衝撃ではなかったのか。

 アメリカでは早くも60年代にはロックスターは早死にするという伝説ができあがっていた。エルビス・プレスリー、ジミ・ヘンドリックス、ジョニス・ジョップリン、ほかにカレン・カーペンター、フレディ・マーキュリー、マイケル・ハッチェンス、マイケル・ジャクソンを加えてもいいだろうか。ロックスターは破滅的に人生を生き急いだ。反体制で、自爆テロのような性急な生き方がカッコいいという時代だったのだろうか。その30年後にイスラム社会で自爆テロをかずおおく生み出したアメリカという国は人を追いつめるものがありそうだ。

 暗い、病的な時代の幕開けをひらいた存在に鬼束ちひろを忘れてはならないだろう。「この腐敗した世界に生み落とされた」という衝撃的な歌詞の『月光』で、なにか深いものがありそうだと私も聴いていたのだが、しばらくすると心の崩壊や危機ばかり歌っているのではないかと共鳴できないものを感じ出して、ひきだした。この人は歌になにをたくして、めざしているのだろうか。なにかリスナーの喜びや感動より、自分の心の危機を叫んでるという感じがした。一般レベルの心情をもつリスナーははたしてついていけるのかと危ぶむほどだった。

 鬼束ちひろ 「月光」 
 鬼束ちひろ - 眩暈
 鬼束ちひろ - infection
 鬼束ちひろ - Sign
 鬼束ちひろ - Cage
 鬼束ちひろ[PV]「流星群
 鬼束ちひろ Edge

 鬼束ちひろを追いつめるものはなんなのだろうか。なにか潔癖な理想とか高潔なのぞみが追いつめているような感じがするのだが、それはわからない。音楽として売り出すからには、共感や聞かせるものがあると感じているのだろう。

 心理学や心理的に説明しようとする流れが、映画やドラマ、または少年犯罪によってまきおこった時期があった。アダルト・チルドレンや心のケアなど心理学が興隆をほこった時期があった。心理学を学ぼうとする女性がふえたように思う。そういったブームと精神の闇を見つめようとする女性アーティストはクロスするのだろうか。精神の深みや重みをもとめて、心を病むような方向にむかってしまうのだろうか。価値観がこのような精神の闇にむかってしまうことはいいことなんだろうかと思うが。ミュージシャンという人に憧れられる存在が心の闇を歌う社会はどこにいってしまうのだろう。

 音楽というのはむかし国民的にうけいれられ、国民的に口づさまれる時期があった。いつしか若者しか聞かず、若者に共鳴されるものでしかなくなった。そして自分の心情や私語りの物語がおおくつむぎだされるようになった。こんにちのおおくの曲が若者いがいに認知されることはすくなくなった。おおくの人に聞かれるということはそれだけだれにでも共鳴される歌でなければならないわけで、一般的で深みがなく、特殊性や逸脱性はそれだけカットされるものだといえる。客が狭くなったぶん、音楽は自由になり、自分の歌いたい曲を大衆に迎合しないで歌える時代がきたのかもしれない。

 女性アーティストが心の闇を歌ったり、病的なことを歌うのは一部のことである。おおくの歌手は健全で健康的な歌を歌う。ただどこかに暗い闇にひっぱりこまれるような力があり、それが女性の歌手に語られているのだろう。そのような曲や詩にひかれる心情は否定してもしかたがない。しぜんに明るく、希望に満ちた曲が歌いたくなるような時代をのぞむのが健全というものだろう。


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Comment

内容より、使うべき箇所で漢字が使われていない事が気になりました。

文章内容より
こんなところで精神的に病んでいると思われる会ったことのない女性アーティストの批判をする
あなたにはどんな心の闇があるんだろうか、なんて、
興味は全くもてないけれどまるで自分はまともだというような文章内容だったので
ぼやきたくてコメント

わからない

心に闇がない人がいるのかが私にはわからない。
それ以前にCoccoや鬼束さんの歌詞が闇という言葉だけでかたづけてしまうのがわからない。
ただ、元気一杯、夢一杯なだけの音楽が人の心をどこまで騙していつづけるのか?
誰かが代弁してくれるのを、待っている人達はたくさんいるのだと思うのだ。

色々な意見があると思いますが、私はあなたの記事に同感です。
小学生の娘が、クラスの流行りで興味を持ち、そういった歌詞を検索して心配していたところです。
自らの過去や精神の深い闇を、一度見つめるのは、成長への過程で必要であると思います。
ただそこに浸り続けるのではなく、その深い闇から一筋の光を目指すことが、生き続ける上では大切な事です。
流行り廃りはあるでしょうが、希望の感じられる歌が私は好きです。

鬼束ちひろさん

確かに「月光」のインパクトが強く、心の闇を歌う歌手のイメージがあるかもしれませんが、心の崩壊や危機ばかり歌っているわけではないと思います。


例えば、例に出されている「sign」は、中学生の恋愛を書いた曲なので、誰もが共感できる初恋の甘酸っぱい感情だと思います。
私はこの歌詞に心の闇を感じません。

他にも、
『King of Solitude』クリスマスソングで、温かい曲だと思います。
『Sweet Rosemary』人生を歌った曲に聞こえます。
『蛍』小説を書くようにして書いた曲だそうです。
『陽炎』日本の美がテーマだそうです。

もう一度、歌詞を読んで曲を聞いて頂ければイメージが変わるかもしれません。
少し一面ばかりクローズアップされている気がしたので…。
失礼しました。

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