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12 03
2005

書評 性・恋愛・結婚

『結婚の条件』 小倉千加子


402257884X結婚の条件
小倉 千加子
朝日新聞社 2003-11-14

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 鋭い本であると思った。感嘆の贈り物をたくさんしてくれる本である。

 といってもライト・エッセイであるが、フツーのあたりまえのことをいっているのだと思うのだけど、読みは鋭いと思われた。結婚と女の人生についていろいろ学べる。

 著者は短大で女子学生にアンケートをとった経験から、晩婚化は進むと予測した。なぜ専業主婦に固執するのかと尋ねると、女子学生は「自分の時間が持ちたいから!」と答えたそうである。女性はすでに結婚のほかになにか人生の目的があるように思っているのである。結婚はその生活の保証をしてくれる手段でしかない。

 女性は男に扶養されるをあたりまえだと思っている。「女は真面目に働きたいなんて思っていませんよ。しんどい仕事を男にさせて、自分は上澄みを吸って生きていこうとするんですよ。結婚と仕事と、要するにいいとこどりですよ」

 「専業主婦とキャリア志向の「いいところどり」である。経済は夫に負担させ、自分は有意義な仕事で働き、なおかつ家庭も持っている」

 「生活のための労働は、奴隷(男)にさせ、自分は貴族のように意義ある仕事を優雅にしていたい……。今や単なる生活費稼ぎの労働は、男と親と老人だけがするものになりつつある。~あらゆるつまらない労働、人間がしなければならない「当たり前」の労働から、若い女性たちが総撤退を始めている」

 「ラクしたい」「働きたくない」「苦労したくない」――これは若い女性だけが望んでいるのではなくて、若い男も同じことである。女性は男にそのように要望しておきながら、どうして男も同じように考えると思わないのだろうか。

 女は男に養われる特権を当たり前だと思い、さらに安定した完璧な生活保証を男に望み、そのうちに若い男たちは働く気をなくし、経済は転げ落ち、若い男たちは不安定雇用に従事し、収入も安いという状況になりつつある。だれもがソンな役回りに回りたくないと思い、おそらく男が養い、子どもを育てるという当たり前の役割すら、みんな放棄してしまうのだろう。

 戦後の当たり前の役割にみんな無自覚におんぶして、腐りはじめてるのだと思う。女は男に養われるのが当たり前だと思い、男は会社に養ってもらうのを当たり前と思い、子どもは親に養われるのが当然だと思っている。そういう約束の上にあぐらをかいて増長した人たちがたくさんあふれ返っている。戦後の社会はなにを生み出したのだろうと思う。

 みんなラクしてソンな役回りはだれかに押しつけて、奪いとろうとしか思っていない。ソンな役回りは男や親の、あるいは女にとってもとうぜんの義務なのである。こういう押し付け合いの社会はたぶんみんなでイタイ目に合ってはじめて、謙虚に多くを望まず、条件を素直に受け入れる人たちを生み出すのだろう。

 欲望の消費社会は商品やサービスのみならず、男や社会にかなり高レベルな要求水準を当たり前のように望む女性たちをたくさんうみだした。女たちがソンな役回りから逃れたいと思っているのなら、男だって同じように考える。いったいだれが好き好んで奴隷のように下支えしてくれるというのか。性別役割の上にあぐらをかく無自覚な女性にはなってほしくないものである。もとい謙虚にいうなら、男も女に育児や家庭を押しつける役割もそうである。

 ▼追記 ラクをのぞむのはいけないような書き方をしたが、あとから気づいたのだが、過剰な労働や従属の反動という面をわすれて、それだけをとって批判するのはまちがっていると思う。私たちはそれを不条理な権力構造だと思っているからこそ逃れたいと思うのである。道徳倫理だけで批判するのはちがうと思う。

この人と結婚していいの?023938730000[1].jpg恋愛セラピー―読むだけであなたの想いがかなう!恋愛できない男たち

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