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02 15
2009

書評 経済

『全世界バブルが崩壊する日!〈上〉』 浅井 隆


全世界バブルが崩壊する日!〈上〉
浅井 隆

全世界バブルが崩壊する日!〈上〉


 ブックオフの百円本で見つけなかったら買うことはなかっただろう。浅井隆は1993年から「大恐慌がくるぞくるぞ!」と脅しつづけ、それから毎年のように恐怖産業で儲けてきたオオカミ少年にすぎないと思うからだ。恐怖を煽る人でしかない。いったいこのような恐怖を煽る本を何冊出したのだろうか。2008年のアメリカ株価大暴落になにを思うのだろうか。

 この本は2007年の年末に出ていた本だから、世界株価暴落はどのていど予測できていたのかという確認の意味で読む。

 サブプライムの危機は2007年度から何度か噴出していたようだ。2008年のリーマン破綻によるアメリカ株価大暴落までその危機意識はどんどんと高まっていたのだろう。資源価格の暴騰などは沈む船からねずみが逃げたしたようなものなのだろう。

 こんかいの危機で恐ろしいことは世界中でバブルがおこっていたことだ。バブルの時にはだれもがこの成長や景気がいつまでもつつぎ、終わることはないと無我夢中になる。その宴の後に歴史的な暴落をこうむるのは、浅井隆がいつも警鐘を鳴らすようにオランダのチューリップ暴落、イギリスの南海バブル事件、そして1929年のニューヨーク大暴落と変わることはない。

 ドバイやモスクワではオイルマネーで潤い、ロンドンやパリで地価高騰がおこり、上海や香港、シンガポールなどでも土地バブルがおこっていた。世界中がバブルの宴に酔っていたわけである。

 その風船にひとつの針が刺された。アメリカのサブプライム問題、リーマン破綻、そして金融商品のリスク破綻である。アメリカの株価暴落は世界中の株価暴落をひきおこした。

 浅井隆は日本がいちばんヒドイ目に会うと予測し、2015年には政府の借金総額がGDPの三倍にふくらみ、日本は戦後のように国家破産し、ハイパーインフレに襲われるという。2020年には水や資源の争奪戦がおこると風呂敷を広げている。

 株価が暴落して、投資家や資産家は泡をふいたわけだが、一般の庶民には株の暴落は影響が少なく、いまいちぴんとこない。トヨタやソニーなどの赤字決算や損失計上もいまいちびんとこない。しかし雇用のこととなるとそうはいっていられない。派遣の雇い止めや失業、雇用削減計画によって、庶民は明日はわが身とようやくこの恐ろしさの意味を肌で感じはじめたといった具合である。この津波の波はわれわれの日常の生活に及ぶにいたってその恐ろしさが知られてくるのである。

 われわれはこの時代をどう乗り切ったらいいのだろう。悲観や悲惨なことばかりに目を向けるのではなくて、楽観や前向きなことに目を向けてゆくべきなのだろう。史上最悪の景気であっても最高益をあげる企業は存在するのであり、社会というのは一部が最悪なときに最高のチャンスや好機をものにする企業や人もある。利益が何割か落ちたとしても利益はまだ何割か残っているのである。景気は必ず循環するものであり、底に至れば上昇の利益も大きなものとなる。谷深ければ山高しである。

 まあ、認知療法をご存知の方はマイナスに目を向けるのではなく、プラスの思考に書き替える方法は知っていると思うが、景気や経済に関してもそのような目の向け方が必要なのだろう。マスコミは最悪や悲観を極端にあつめてそれを全体像にように見せかける。マスコミにかかればどんな小さい社会の一片でも全体のようにクローズアップされてしまう。それこそがマスコミの働きというものである。認知療法でいえばそれは「全か無か」思考といって、インクのしみに過ぎないものをそれを全部と思ってしまう思考法をマスコミはその機能上もってしまうのである。せめて悲観のニュースを見たら、その半分は楽観の推察をもつべきなのである。

 たいへんな時代がやってきたわけだが、なにものも失うものをもたない若者の一部には泡を吹く連中を尻目に崩壊や新しい時代の到来にうきうき、わくわくしている連中もいるかもしれない。時代や社会に不満をもっている者にはアンシャン・レジーム(旧体制)の崩壊に期待や歓喜を感じるものである。アメリカの危機や崩落にイスラムの連中は大喜びしていることだろう(オイルマネーで潤ったアラブの一部は泡を吹いているだろうが)。願わくば、こういった精神をもちたいものである。私は年をとったのでもう先行き不安のほうが強いのだが。。。


全世界バブルが崩壊する日!〈下〉 天国と地獄―2010年から史上空前の世界経済大変動がやってくる 2010年の衝撃 チャイナ発世界大恐慌〈上〉 とんでもない時代―10年後の日本はどうなっているのか
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Comment

浅井氏の(浮かれる景気)中古で100円でぱっと読んで。

3月22日に、偶然浅井隆さんの著書
(浮かれる景気2006年4月20日(4版)
を古本で100円で買い、ざっと読みました。

二子の赤字で破たん寸前の米国がなぜか国の借金が、GDPの3割にクリントン政権下まででインフレと通貨の下落でなったかの意見、また日本はハイパーインフレに、通貨は円安に100倍以上の将来には円安などのご意見でしたが、中国や米国のバブルはだれでも当時は知っていましたが、今回は欧州やロシアやアジア、中東、低開発国まで同時減速ですから、予想とは多少ずれています。
また、掲題の著書では小泉政権の構造改革の効果がほとんど少ないように記述されていますが、現在のマスコミは構造改革のやりすぎをとがめている状況(正しいかどうかは、GMを破たんすのが良いか、財政支援する方が雇用なども考えて正しいかはよくわからないのでは?)
で、少なくとも郵政の財政投融資は財源のたれ流しには効果があったと思われる?
国会議員や国家公務員は議員は半分、公務員は2割減少位でも固定費の削減はまだまだ足りない(公務員は雇用の関係を考慮)とおもう。

経済のマスコミ評論家と資産運用を両立しているのは少々珍しい。
浅井氏の推薦のファンドは総じて、急落で当ては大幅に下落したようで、評論家で資産運用は大した度胸と見識で尊敬はしますが、大幅な円安や、膨大な借金の話がすっ飛んでいるように思うのは私だけでしょうか?
日本と米国の借金の違いは、米国は海外からのお金が多く、日本はほとんど自国からの借金であり、かような世界的な不況ではドルも円との大幅な下落は修正程度、またドルとユーロとの関係はほとんど変化がありません。
日本の場合、お札を発行するのは借金をへらうことができ、円が下落し、物価がインフレになれば借金は米国同様減少するのではと思われる。本当の埋蔵金や世界の資産や国の資産は
よくわかりませんが?

やはり、経済のだいたいのトレンドは予想できても、その時期や、派生する周辺情報などは(中国は一党独裁で、今回も大幅な成長が止まったわけではないと思われる)なかなか難しい。
今回もリーマンの破たんの1か月前に予想できれば損は絶対にしなかったとも言えるでしょうか? 

こんにちは。

浅井隆はいぜんから悲観とか大げさとか壮絶な予測ばかりくりかえしてきました。極端な悲観論によって、人の恐怖を煽り、それでおおぜいの読者をひきつけてきた一種の恐怖産業だと思っています。

悲観的で大げさな予測ばかりしていたら、当たることはありますし、はずれこともおおいにあります。そういう極端な予測をあつめたのが浅井隆の手法だと思っています。

社会に警鐘を鳴らしてくれるのはいいのですが、「暗示効果」や「予言成就」のように人々を恐れさせたためにぎゃくにその予測を引き寄せてしまうような因果な結果にはおちいってほしくないのですが、アメリカ発の金融危機はおこってしまいましたね。

予測をしてくれるのではいいですが、あまり人を恐れさせるような予測ばかりしているとほんとうにその恐れていたことがふりかかったりしたら、たまりませんね。浅井隆は罪深い人かもしれません。
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