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02 12
2009

セラピー・自己啓発

『ボディートーク入門』 増田 明

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ボディートーク入門―体が弾めば心も弾む
増田 明

ボディートーク入門―体が弾めば心も弾む

 心をどうとりあつかうかといった本や心理学の本はたくさん出ているのだが、感情と体の関係、心に悲しみや怒りの感情があらわれるときに身体はどうなっているのかという知識や本はあまり見かけない。

 身体と感情の関係を無視したからこそ西洋医学は発達したといえるのだから、西洋医学は心身の関係をタブーにしてきたのだろうか。心身症についての探究はおこなわれているのだが、身体の病は心や感情からおこると前面にとりあげることはいまだに医学にとって二の足をふむ言説なのだろうか。

 心を癒したり、心を支配するだけではなく、身体も制御し、身体から心も癒したい。身体こそが私たちの心であり、感情なのではないか。身体こそが私たちの感情をつくり、感情そのものではないのか。

 この本はそのような心と身体の関係をあらわしていて、ほかにそのような詳細をつづった本は私はあまり知らないから貴重な本であると思う。

 たとえば怒ったとき、背骨の胸椎八番に筋肉のかたまり、しこりをつくる。猫が怒ったとき背中を立てるように人間も背中のいちばん上を立てるのである。そして胃も硬く収縮させ立ち上る。

 失恋したとき、胸椎三番を固める。肩甲骨と肩甲骨のあいだをぎゅっと詰めるのである。別れとか絶望したときにもそこをつめる。心臓の腰の部分があり、ここをしめつけるために胸をしめつけられる思いがするのである。息もつめて、きゅうくつになる。

 借金の悩みは首のつけ根や頚椎七番を硬くする。「借金で首が回らなくなる」のである。借金のために首をすぼめるような気持ちになってしまうのだろう。

 あせると肩甲骨の中央部を硬くする。忘れ物に気づくと頭から血が引く。血があがりっぱなしになっている人は「石頭」である。つぎに胃が縮む。胃の上部が硬くなるのはいらだちであり、下部はくよくよくである。

 人と会って緊張するとき、腕のつけ根と胸の間の一点を緊張させる。動物がふいに人と会って警戒するとき、同じようにこの部分である。つまり人間も動物と同じような体の反応をするのである。

 外敵と闘ったり、逃げたりする反応がこんにちの私たちの感情とその身体のあらわれとなるといっていいのかもしれない。敵と戦おうとすると肩をいからせたり、腕に力をこめる。上半身に力が入り、筋肉は固まり、息をつめる。反対に敵から逃げよう、守ろうとすると下半身に力が入り、下半身を固めて守ろうとする。血の流れを防ぐために心臓の動きも収縮するだろう。

 このような反応が私たちの感情の起源だと思われるのだが、私たちは身体の反応というものを知らないし、気づかなくなっている。恐れや不安や、怒りに襲われたとき、身体や内部がどのようになっているのか知らない。やっかいなことに人間は心のイメージでこれらの身体反応をつくってしまうから、それが長期継続的なものになったり、感情や身体をゆるめる方法も知らないでいつまでもその体勢を持続させて感情が固定的になったり、病気になったりするのである。

 心を制御したいと思ったら、身体のこのような反応や結果も知り、そして身体こそ制御する必要があるのではないかと思う。そういう身体と感情の関係、そして身体のコントロールの方法を私たちは知らないのである。なぜか、おろそかにしているのである。そして心のイメージと身体の反応の牢獄のオリに私たちは閉じ込められるのである。なぜこの知識の追究が深く強くおこなわれて、衆知されないのだろうかと私など思うのだが。

 身体のかたまりやしこりを解く方法がこの本ではいろいろ紹介されている。胴ぶるいや美貌ゆすり、ガンコほぐし、馬の背ゆらし、など体をゆるめたり、ほぐしたりする方法がとくに多い。体を固めるのではなくて、ふにゃふにゃにやわらかく、柔軟にほぐそうとするのである。硬いしこりのような身体からゆるゆるのやわらかな、しこりのない体に戻そうとする。これこそが硬くなった身体や感情のほぐし方、コツなのだろう。

 私たちはなにか困ったことや感情的に優れないとき、いろいろなストレス発散法をもっていることだろう。しかし身体のストレスを発散させる方法というのをよく知らない。感情が身体にそのまま現われているということも気にしない。身体は放っておかれたままである。たぶんに西洋医学の心身二元論のような心と身体をはっきりと分けてしまう習慣にながくとらわれているのだろう。それこそが近代医学や科学と思われているのではないか。

 ストレスや感情を溜め込んだままの身体や筋肉はますます硬くなり、動物的反応のまま放っておかれ、そして感情はいつまでも去らず、ついには体の痛みや不具合、病気となって襲いかかってくる。身体を感情そのものだと見なす捉え方がはやく必要なのではないかと思う。体をほぐしたり、ゆるめたりして、感情や心のこわばりをとり去るふだんの知恵というものが求められるのだと思う。


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