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02 10
2009

書評 経済

『サラリーマン 絶望の未来』 鈴木 啓功


サラリーマン 絶望の未来 Hopeless Salarymen (光文社ペーパーバックス)
鈴木 啓功

サラリーマン 絶望の未来  Hopeless Salarymen (光文社ペーパーバックス)


 役人がサラーマンにパラサイトして、サラリーマンは負け組か奴隷になるしかないといった現状を告発した書である。たしかにこの本を読んでいると、役人はやりたい放題、したい放題、めちゃくちゃなモラルハザードを犯しているとしか思えない。

 たとえば一般企業で新しく就任した社長にたいして刃向かったり、もっと勉強してもらわなければ困るといったことはいわないだろう。役人は大臣や知事にたいしてそういうことを平気でいうのである。つまり役人は選挙制度を否定しているのである。それは国民の否定であり、さらには日本国家の否定である。政治家は役人のロボットにしか過ぎない。こういう役人がのさばった国家に自由や権利というものがどこにあるというのだろうか。

 役人は税金のムダ使いをやめることはないし、税金を増やしつづけ、自らの失敗の責任はとらないし、天下りや業界との癒着によって自分の取り分だけを増やしつづける。しかも政治家をあやつろうとし、選挙制度も否定するのである。サラリーマンは役人に搾取され、パラサイトされ、奴隷や負け組に転がり落ちてゆくしかない。

 そもそも役人国家は何のために存在しているのかという疑問がわいてくる。国民の税金をあつめて、たんに自分たちの私腹や利益を増すためだけに存在しているかのような構造になっている。国家や政府の存在理由はほんとうにあるのかという気がしてくる。国民が稼いだ金に群がって役人の利益構造を生み出しているだけであり、国家運営にも失敗しているのである。しかもバブル経済をブチ壊した役人は証券市場の社長に納まるという失敗の責任を問われない超無責任・腐敗体質が蔓延している。

 役人は日本国の影の支配者であり、その腐敗や無責任、増長は頂点をきわめているという状況にさしかかっているのだろう。政治家も国民もその暴走を食い止めることができない。著者がいうには貧困にあえぎ、暴動をおこす中国の農民は、日本のサラリーマンの姿そのものだということまでいう。この腐敗や構造ははやく打ち壊さなければならないのだろう。役人も選挙制度にするか、短期契約にするか、ともかく政治家や国民の統制下におけるような構造をつくりだす必要があるのだろう。役人の権力の強さは民主政治の否定や無化にほかならないのである。


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Comment

面白いですね、かなり隠された問題に切り込んでいると思います。
今の日本の報道を見ていても真に重要なことは報道どころかむしろ隠蔽されているようにも感じたりします。

このような隠された事実にこそ、日本の将来や内面を映し出していると思いますね。

この国の役人支配、役人天国については、たしか十年ほど前もウォルフレンなどを中心に批判が高まったことがあります。民主党も官僚支配の破壊を第一に掲げています。

だけれど一般の人にとっては役人の不祥事や事件は細切れに報道されても、全体として役人が国を支配してコントロールしているという構造が見えにくくなっていると思います。ニュース報道って細切れに事件を映すだけで、どうも全体像を見えなくさせるようですね。

自民党はつぎの選挙を恐れつづけていますが、もし民主党が政権をとるようなことになったら、霞ヶ関の大改革がおこなわれるのかもしれません。あるいは日本の影の権力者がそのような改革を許すでしょうか。いずれにせよ明治維新から130年つづいてきた官僚支配は大きく変わらなければならないときがきたようです。
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