『新・日本の時代』 スティーヴン・ヴォーゲル
新・日本の時代―結実した穏やかな経済革命
Steven K. Vogel スティーヴン・ヴォーゲル

『ジャパン・アズ・ナンバーワン』のエズラ・ヴォーゲルの著作かなと思っていたら、その息子さんの著作だそうだ。その本が出てから30年近くになり、日本は奇跡的な成功と失敗を派手に世界中に見せて消えたわけだ。
この本では「日本は今後どのような方向に向かうのか」、「どのような新しい日本型モデルが出現しているのか」と問われている。アメリカ的な市場改革がのぞまれたが、日本はそれをとりいれたのか、どのくらい実現しているのかといった詳細な検証がおこなわれている。
私は日本企業の変化やどのくらい変わったのかを知りたいと思っているのでちょうどいい本なのだが、私のレベルではこの本は専門的すぎて、明確に変化や射程がわかったわけではない。日本は日本的モデルを残しながらじょじょに変化し、変わらないところを残しているといった独自の道を歩んでいるようだ。軽いビジネス書レベルではなくて、かなり専門的なので、私のレベルでは多く噛み砕けたわけではない。
日本は規制緩和や公共事業削減、社会保障削減などのアメリカ型市場主義に舵をとったわけだが、どのくらいそれが進んでいるのか、あるいはどれくらい浸透したのかは不明確である。日本は変わったのか、アメリカ型経済に変わったのかよくわからない。その改革の実情を探ったのがこの本であり、そのややこしさが日本の変化の実情をあらわしているように思う。
私は非正規の増加や社会保障なき人たちの増加に日本社会は変わったのだ、年功序列型組織は周辺で存在しないのだと感じているのだが、この本での調査では84%の企業が長期雇用制度を維持しているといわれている。勤続年数も90年より04年では平均で12年へとのびている。ふたつの社会ができあがっており、もうひとつの社会は不可視なのだという怖れももよわせる。雇用の変化が日本の変化を実感させるのだが、変化の足元というのはなかなか多くの人に気づかれないのだろうか。
80年代に日本の経営モデルは優秀といわれ、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」としてアメリカも学ぼうとしたのだが、いまは日本はすっかり自信を失い、アメリカに学ぼうとしてきた。そして2008年の金融危機によってアメリカの金融市場の失敗や腐敗が明らかになり、成功したアメリカモデルという偶像も崩壊しようとしている。日本では派遣切りが社会的非難を浴び、おそらく派遣法の改正や見直しがおこなわれるだろう。派遣だけではなく、保障なき非正規問題にもしっかりととりくんでほしいものである。
日本は変わったのか、日本人の生き方は変わっているのか、ということを知って自分自身の方向性にフィードバックしたいと思うのだが、明確な将来像が描かれたわけではない。変化の度合いをしっかりと見極めなければならない時代だと思うのだが、変化の実像がよく見えない。もうすこしビジネス書関係を読みたいと思う。
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