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2008

おすすめ本特選集

2008年、私のGREAT BOOKSと読書傾向



 毎年、恒例になりました年間の私の「GREAT BOOKS」ですが、2008年は意外に多くて五冊になりました。私としては自分の疑問や好奇心にまかせてひとつのテーマを追究するという根強い読書はできなくて、40歳をこえて正直なところ知的好奇心の減退がそろそろやってきたかなという残念な気持ちがきざします。

 このGREAT BOOKSの選考というのはあくまでも私個人のとても感銘をうけた本という意味で、だれもかれにもおすすめできるわけではないということは注意をお願いしたいと思います。私の関心の文脈や好奇心の流れという土台のうえに出会ったからこそ私は感銘したのであって、そういう下地を共有していない人が同じように感銘するとは限らないのはとうぜんのことですね。まあ、読者の方は他人の選考はそういうものだとご存知だとは思いますが。

 ことしのちょっと掘りかけたテーマというのがふたつありまして、ひとつは売れない芸術家のように金でない価値で生きる方法を探ったり、もうひとつはアジアの途上国で円高差益でスローに生きる若者に注目したりしました。

 個人的には私は夏ごろに失職しまして(請負切りです)、9月からの金融危機、雇用危機と落ちてゆく情勢に釘付けになったのですが、失業中の節約生活のために思うように新刊本で情報を得られなくてとても残念に思っています。若いときに失業中はバカンスとして楽しめる余裕はあったのですが、40代の失業とこの雇用危機にはとても余裕のある日々を過ごせるというわけではありません。仕事に恵まれるよう祈りたい気持ちです。

 まあ、私のことしのGREAT BOOKSは以下のような選考になりました。正月休みの読書の参考にしてみてください。


金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか
(2007/01/01)
ハンス アビング

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芸術というのは世俗や金銭の否定がありますね。聖職者のように世俗から突出しようとしますね。貧乏であっても高貴な精神を失わない。下流社会や非正規雇用、ワーキングプアといった序列や階層が劣位に追いやられようとそのような強い精神をもてないか、そういう探索でこの本や芸術家という存在を探ってみました。貧困社会になろうと精神の矜持を保つために芸術家に学べることはないだろうかということですね。

日本を降りる若者たち (講談社現代新書)日本を降りる若者たち (講談社現代新書)
(2007/11/16)
下川 裕治

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東南アジアなどでバックパッカーが現地にいついて定住するスタイルが増えているようですね。日本の労働至上主義、金銭至上主義へのアンチをふくんだ生き方だと思います。日本の若者は一生懸命働いてどうなるんだ、お金をいっぱい貯めてモノをたくさん買ったところで楽しい生活ができるのかという深い懐疑があるのだと思います。そういう疑問からの脱出法として東南アジアのまだ経済成長や金銭主義に毒されないスローな生き方を若者は求めたということです。日本以外の選択の自由ができる国際感覚を身につけたいですね。

企業福祉の終焉 - 格差の時代にどう対応すべきか (中公新書)企業福祉の終焉 - 格差の時代にどう対応すべきか (中公新書)
(2005/04/25)
橘木 俊詔

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この問題はものすごく大きなものだと思うのですが、あまり注目が集まりませんね。つまり企業が労働者の福祉から撤退、逃走しているということです。いままで政府は福祉を企業任せにしていたために逃走してしまった企業の後にセーフティーネットを張ることができずに労働者がぼろぼろとその網からもれているということですね。企業が福祉を担わなくなったらだれが福祉を担うのか。この大きな問題、責任に政府や社会はどう対応するつもりなのでしょうか。政府は放ったらかしにするつもりなのか、それとも政府が守るのか。一刻も猶予もない問題だと思うのですが、政府や社会のコンセンサスがひとつもできあがりませんね。政府や社会が守るしかないのですよ。あるいは企業の福祉からの撤退に政府はNOをいうのか。

マンガでわかる売れる営業マン 売れない営業マン―ちょっと「できないフリ」がお客の心をつかむ (PHP文庫)マンガでわかる売れる営業マン 売れない営業マン―ちょっと「できないフリ」がお客の心をつかむ (PHP文庫)
(2004/09)
馬渕 哲南条 恵

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このようなビジネス・ハウトゥ本に衝撃をうけるなんて思ってもみませんでした。営業マンは劣位アクションを戦略にせよという本です。つまり劣っていたり、劣位であることが「できる営業マン」であるという優秀神話の逆を宣告しているからです。営業マンは優秀であったり、優位であるとお客から嫌われてしまう、だからお客よりちょっと劣位が好かれるという人間関係の身も蓋もない極意をあからさまに表明しています。そう、人が好かれるのは優秀や優位であるからではなくて、劣位であるからということですね。こんなにあからさまに人間関係の妙を表明している知識はあまりほかに出会ったことはありません。人間の序列や優位、劣位といった上下関係を研究している学問といったら動物行動学の知見くらいです。世間ではありふれた暗黙知であるわけですが、文書にした本はそう見かけません。そういう意味で私は衝撃をうけました。

自分を奮い立たせるこの名文句―希望、勇気、自信…先賢の知恵に学べ (知的生きかた文庫)自分を奮い立たせるこの名文句―希望、勇気、自信…先賢の知恵に学べ (知的生きかた文庫)
(1997/02)
大島 正裕

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もうブックオフの百円本でしか手に入られないような本ですが、この本はとても勇気や希望を抱かせてくれました。逆境や落ち込んだときにいかにこの本にあるような考え方ができるかどうかでその後の人生や行方は変わってゆくのだと思います。いかに希望や勇気を感じられる考え方をできるか。それが人の人生を分けてゆくのだと思います。心の養分、心の貯蔵庫にしたいような本でした。


去年のGREAT BOOKS
 「2007年 ことしのグレートブックス」
 女の子どうしって、ややこしい! レイチェル・シモンズ
 チンパンジーの政治学―猿の権力と性 フランス・ドゥ・ヴァール
 権力(パワー)に翻弄されないための48の法則 ロバート・グリーン

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Comment

こんにちは。

私はたまに詩や絵の創作をしています。もっとも、素人の出来ですが(絵はひどいものです)。貧乏な芸術家には惹かれるものがありますね(といっても、彼らも好き好んで貧乏になろうとしているわけではないのでしょう)。

私は、来年こそは働きたいと思います。正社員というのは難しいでしょうが。働きながら、何かを創造してみたいです。

うえしんさんも、何か素晴らしいことがあったらいいですね。仕事でも私生活でも。

よいお年を!

rootさん、こんにちは。

芸術家には売れるまで自分の価値や意味は自分自身で信じつづけるという強い意志がありますね。芸術家でない者にもそういう信念をつちかうことが大切ではないかといえるのではないかと思います。

「自分を信じなければだれが信じるのか」ということですね。どんなときにも一縷の望みを見つけて自分を励ますということが自分の大切な役割ではないかと思います。

仕事をがんばって見つけてくださいね。仕事というのはパフォーマンスや政治のようなところがありますから、そういう面での演技面で強くなることも必要なのかなと思ったりします。自分の悪いところではなくて、自分の強いところをことさら見つけるようにしてください。しなやかな気持ちで挑んでください。

あまり年末という気がしませんが、来年もよい年になることを!
たくさんの人の雇用がこれ以上失われないことを願いたいですね。

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プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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