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09 30
2008

市場経済

アメリカ経済壊滅と衰退の坂道



 さいきんビジネス書を読まないこともあって、経済について考える頭になっていない。私はテーマごとに本を読む好みがあって、そういう最中はほかのジャンルの思考力が極端に鈍る、というよりか興味をなくす。粘着力がないためにアメリカ金融危機についてねばりついて掘り下げることはできないのだが、ニュースやTVではアメリカの経済動向には注意している。

 きょうニュースをみると「世界恐慌突入か」のような見出しが躍っている。ブッシュの出した金融安定化法案が下院で否決され、777ドルも株を下げた。アメリカは公的資金投入に猛反対する人が多く、なんで政府が民間企業を救済しなければならないのかと怒り心頭になっており、全体の危機を考えない自由主義の気骨を感じるけど、危うい人たちが多いと感じるのは日本的なのだろうか。

 【米金融危機】NY株、777ドルの過去最大の下げ - MSN産経ニュース
 米下院:世界金融恐慌に発展の懸念 安定化法案否決で - 毎日jp(毎日新聞)
 米国発金融危機:欧州にも「飛び火」 B&B、デクシア…

 こんかいの金融危機はサブプライムローンから端を発したわけだが、どうして日本がニ十年前ほどに犯した過ちと同じことをくりかえしてしまったのだろうと思う。不良債権の大きさがじょじょに知られ、証券大手や銀行大手がつぎつぎと経営危機をささやかれ、倒れてゆく。日本が目の前にブッ倒れていても、アメリカも同じブッ倒れ方をするのである。アメリカはたぶんに破滅願望のようなものが頭にもたげてきたのかもしれない。倒れたほうがラクだと思うような、世界のけん引役や警察の役割に疲れてきたのかもしれない。

 サブプライムとか住宅・不動産のバブルというのは、製造業や工業での儲けが見込めなくなったとき、金余りが向かってしまう資産の運用先なのだろう。あまり儲けがなくなったきたから、土地や不動産、住宅ローンで儲けようということになるのだろうが、実体の経済の上昇はすでにその時点で終わっているのだろう。土地バブルというのはすでに好景気や実体経済の終焉時期なのだろう。

 証券や銀行の業務というのはよくわからないというか、実感がない。業務や投資にかかわっていないと、いったいどういう仕組みや理由で儲かるのかすら、つかみづらい業界だと思う。株が上った下がった、円が上ったドルが下がったなど、頭で理解しても、現場でかかわっていないとよくわからないというのが私の実感である。

 証券や銀行などの金融は製造業や商業、農業などの実体経済の霞や上澄みをすくうような業務であると思う。製造業や商業で余った金が運用先をもとめて、それらの上澄みや儲けをいくらかいただく。実体経済もそれらの投資や融資などに恩恵をこうむるわけだが、けっきょくは実体経済が離れてどんどん宙を舞ってゆくように感じられる。金融経済自体がもともとバブルという感じがする。製造や商業などの足のついた経済ではないのである。

 サブプライムの証券化もひどいもので、ほかの金融商品に福袋のように組み込まれて、優良商品のような装いをほどこされて世界中にばらまかれた。リーマンが破綻したのに、危機がささやかれた保険大手のAIGが救済されたのは、ローンの保障保険(CDS)をおこなったからだとされる。ローンが焦げついても保障しますよとリスクの低減がおこなわれたため、世界中に絡まり絡まって、連鎖危機がおこる可能性があるからだといわれる。こんなリスク回避の保障はモラル・ハザードをひきおこすのではないかと思うのだが、サブプライムにしろ、今回の金融危機は常識的感覚の転倒が随所に見うけられる。焦げつく可能性のある融資やローンもすべて安心のあるリスクのない商品として売られるのである。それは不良品を優良品として売るようなものである。こんなモラル・ハザードの金融商品が世界じゅうにばらまかれたら、危機は深刻というものである。詐欺や犯罪と考えたほうがいいのではないだろうか。

 1929年の世界大恐慌の恐怖というのものは世界に根強く、今世紀の経済というのはたえずこの恐怖の回避に向けられてきたと思う。アメリカの金融機関がおおく倒れようと、ヨーロッパやアジアの金融に飛び火しても、世界的な危機感の共有によって回避されるものだと思う。アメリカの公的資金投入の否決にはおどろいたが、危機の深刻さから投入せざるをえない事態に追い込まれるのだろう。

 日本では91年のバブル崩壊から何年かもって97年に証券や銀行の大手が倒れた。失業者やホームレスがめだって増えたのはその後である。アメリカや世界の金融危機はのちにじわじわと世界を襲うだろう。世界的な不況は銀行という経済の血液を巻き込むことによって、ひきおこされてしまう。実体経済に影響が及ぶのは後々になるのだろうが、深刻な影響を目に見える形に残してゆくのだと思われる。

 イランの大統領なんかは「米帝国の終わりは近い」などと宣告している。「資本主義の終わり」だという人もいる。まちがっても社会主義体制になんかならないだろうし、いまの福祉国家や市場主義社会であっても、ほとんど区別ができないくらい似たようなシステムになっている。現代の資本主義の代替策なんかほかにないのである。この制度がつづいてゆくしかないのである。

 アメリカの覇権の終わりやドル覇権の終わりだともいわれる。世界の覇権はアメリカの前はイギリス、その前はオランダ、その前はポルトガル、スペインと100年周期でうつりかわっている。アメリカの落日が迫っていることは確実なのだろうが、日本はアメリカともに沈みそうな国であるし、中国もつぎの覇権をになうような近代国家にははなりえていないだろう。覇権の空白期にはいろいろな問題がおこるだろうし、世界は転落したり出口のない暗闇をさまような時期を迎えてしまうかもしれない。

 なにより鉄道や車、家電製品のような近代科学技術のつぎにくるものがよく見えていない。それらが一巡してしまったら、つぎにめざすものがない。近代科学技術の踊り場を迎えているのであって、そのために世界はますます暗夜模索のようになってしまう。世界的な衰退期に入っていると見なしていいのだろう。これまでは近代の上昇の時期がながくつづいてきたわけであるが、長い停滞や衰退の時期に入ったと考えるべきなのだろう。先進国の出生率低下はその兆候なのだろう。衰退の坂道に生きる知恵、生き方、考え方、システムを備える必要があるのだと思う。衰退する社会であっても、生きられるよう社会を考えるべきなのだろう。栄華をほこった国や文明もいつかは衰えるときがくる。アメリカの衰退はなにをもたらすのだろうか。


読みたいけど金はなし。(オオカミ少年の予測は現実のものとなるのか)。
2009年世界バブル大崩壊 落ち目の米国、虚飾の中国に、食いつくされる日本恐慌前夜サブプライム危機はこうして始まった 決定版 アメリカからの最新リポートビッグ・クランチ―大収縮の時代 サブプライム危機はアメリカの自爆テロだ! (ベストセレクト)

バブルの歴史―チューリップ恐慌からインターネット投機へ株価大暴落が大恐慌を引き起こしたのか―1929~33年アメリカのドラマ熱狂、恐慌、崩壊―金融恐慌の歴史すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363) (光文社新書 363)

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Comment

おひさしぶりです。
うえしんさんには珍しい経済に関しても記事ですね。
金融危機とか、世界同時不況などと言っているようですが、別に空からB29が爆弾を落としてくる、なんてこともないし、子どもたちが食べるものがなくて餓えている、なんてこともないし、店には有り余るほどの食べ物が売れ残って捨てられています。
金融ゲームと実態社会、乖離したままなんとなく過ぎ去っていくのかもしれませんね。
父の友人などは必死でこの機に空売りをして稼いでいるようです。
やはりアメリカの単独政権時代は終わるのかもしれませんが、新しい連立政権が生まれざる得ないでしょうね。
ボクらは単なる傍観者、って言ってられなくなるのかもしれませんが・・・。

雨宮さん、こんにちは。

株価暴落というのはこんごの景気や経済に重くのしかかり、ふつうの生活もどんどん悲惨な目が増えてくれる先駆けとなるものです。

こんにちの社会というのは1929年の世界大恐慌によって、大不況や二度の世界大戦へといたった苦い経験を避けるために構築されているといっても過言ではないといってもいいと思います。

アメリカの金融危機というのはいっしゅのハルマゲドン、世界の終わりのように観念されており、それだけ怖れるに足る経験を世界を味わってきたわけです。

日本の金融危機は97,98年くらいにピークをむかえ、失業者やホームレスはどっと増え、若者たちの就職氷河期や非正規化はそれによってひこおこされたわけです。人びとの暮らしはそれからいっこうによくなりません。

これは日本だけで起こったことですが、こんどのアメリカ発となるとそれは規模が違い、世界的に影響を与えます。ものすごく深刻になると思います。

もちろん他人事や知らないことといって通過することも可能です。まわりに失業したり生活が苦しくなったという実感があったとしても、自分の会社が倒産したり失業したりしないと、不況感というのはなかなか感じられないこともあるでしょう。

だけど、こんかいのアメリカ金融危機は深刻にとらえたほうがいいと思います。これからの経済がどうなってゆくのかのひとつの占いになると思います。良くも悪くも、そういう世界の土台に私たちは立っているということですね。

おはようございます。雨宮です。
いつも真摯なコメントありがとうございました。
たしかに今回の金融危機は当事者だけでなくいろんな業界や階層にも影響が出てくると思います。すでにボクの担任教授などは「お前らは第二のロスジェネになりそうやな・・・」なんて言われています。
正直、それならそれでいい、と思っています。それでも生きていけない、なんていうことはないと思います。かえってこの機に健全な金融構造が生まれることを希望します。
金儲けばかりに奔走していた人間たちやバブルを演出した人間たちを市場から大量退場させるきっかけになれば、と思っています。
それとやはりボクらではどうしようもないことだし、対応したとしても無駄使いを少し減らすくらいしかないのかもしれなせん。
うえしんさんはどうしますか?

雨宮さん、おはようございます。

担任教授はおもしろいコメントを出しましたね(笑)。
それにしてもブラック・ジョークすぎますけど、当たっているんでしょう。
あと、何年か、または十年後とかにしみじみわかると思いますよ。
ロスジェネとか氷河期という言葉はだいぶ後になって回ってきた言葉ですからね。

金融危機は金融関係者にとってはハルマゲドンになるでしょうが、ほかの人はあまり関係なしに過ごすこともできると思います。ただし、不況であるとか、生活が苦しくなる、賃金が上らない、失業するといった影響をこうむるでしょうが、当事者意識なしに通り過ぎることも可能だと思います。景気と実感ってだいぶズレるものです。なにかを守るとか、維持したいとか思う人にはパニックになるんでしょうが。

こんかいの金融商品は詐欺や犯罪に近いものがあると思いますので、アメリカはけっこう罰則や逮捕とか厳しいことをする国なので、嵐が収まったあとにそういうことをしてほしいものですね。こんかいの金融政策の否決も、儲けた連中になんで血税を投入しなければならないのかというもっとも怒りがありましたからね。

まあ、私のようになにももたない人間は、失うものはなにもないと、なんとか食ってゆくしかないでしょう。
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プロフィール

うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。神秘思想、仏教、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

Kindle本、2冊発売中です。

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