『アジアを歩く』 灰谷 健次郎 石川文洋


灰谷さんアジアを歩く (えい文庫 156)灰谷さんアジアを歩く (えい文庫 156)
(2007/11/10)
灰谷 健次郎

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 旅行記は写真がたくさんあるほうがいい。写真はダイレクトに情報をつたえてくれる。文章は知らない国についての満足な視界を与えてくれない。

 この本は写真が多い。とくにアジア人の顔、子ども、女性たちの表情がゆたかにいきいきと捉えられている。下町や庶民の人たちの表情が多く捉えられていて、アジア人の魅力や活気はこのようなところにあるのだと思う。

 アジア紀行の順番としてタイ、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、ラオス、ネパール、中国、インド、パラオと捉えられているのだが、アジア人の顔の特徴やつくりがそれぞれ個性的で、そのような顔はどのように変遷・拡大していったのか、やっぱり日本人にいちばん近い顔やどこから日本人はやってきたのかという関心も抱かざるを得なかった。

 ときに私は日本人の顔の特徴を忘れるときがある。街中で見ていて、日本人とくくるよりか、アジア人の顔とくくったほうがいいと思うときがある。縄文顔、弥生顔と分けられるときがあるが、縄文顔のほうが多いように思ったりする。日本人のルーツは中国雲南省あたりと聞いたことがあるが、ラオスの女の子の顔は日本の子どもの顔にそっくりだ。カゴを背負って仕事の手伝いをする髪の毛がぼさぼさの女の子たちを見ていると、むかしの日本人の子どもたちもこんなふうだったんだなと思う。フィリピンといえばマリーンというジャズ・シンガーの顔のように瞳が大きくて鼻が広がっているのが特徴だな。ベトナムは透けるアオザイが魅力的である。ネパールやインドにくるとアジア人というよりか、トルコ人やヨーロッパ人の顔つきになる。このようなアジアの並びの中で中国は冷えた、つまらない社会に思えてしまう。

 灰谷健次郎はいくどかアジアに旅したそうだが、魅かれる理由としては貧しさとたたかう姿や泥臭さ、人間臭さ、そしてかつて貧しかった日本の姿に重ねられるからだと分析している。貧しさには同時に活気や熱気もある。豊かになるとそのような熱気も失われ、死んだような、冷めた国になる。おそらく市場や屋台にあふれる人の姿が建物の中に隠されてゆくからだと思ったりする。喧騒や猥雑さは日本の働く場から失われ、せいぜい繁華街やターミナルで見かけられるていどだ。社会がそのような活気を失った傷跡は大きいといわざるをえない。

 灰谷健次郎は2006年に11月に亡くなっており、この本は追悼書のような体裁も合わせ持っている。


灰谷健次郎の著作
太陽の子 (角川文庫)兎の眼 (角川文庫)天の瞳 幼年編〈1〉 (角川文庫)


日本人はどこから来たのか
DNAでたどる日本人10万年の旅―多様なヒト・言語・文化はどこから来たのか?日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス 1078)日本人のルーツ探索マップ (平凡社新書)DNAから見た日本人 (ちくま新書)

日本人の起源―古人骨からルーツを探る (講談社選書メチエ)日本人の骨とルーツ (角川ソフィア文庫)私たちはどこから来たのか―日本人を科学する

日本人はどこから来たのか―古代日本に“海上の道”を通ってやって来た部族がいた!日本人のルーツ―血液型・海流で探る (ニュートンムック)日本人のルーツ解明―2500年前中国呉国の国家大移動 (ルネッサンスBOOKS) (ルネッサンスBOOKS) (ルネッサンスBOOKS)

日本人は何処から来たか―血液型遺伝子から解く (NHKブックス)
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日本人の起源(ルーツ)を探る―あなたは縄文系?それとも弥生系? (新潮OH!文庫)
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