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06 08
2008

レイライン・死と再生

『古代人と死―大地・葬り・魂・王権』 西郷 信綱


古代人と死―大地・葬り・魂・王権 (平凡社ライブラリー さ 1-4)古代人と死―大地・葬り・魂・王権 (平凡社ライブラリー さ 1-4)
(2008/05)
西郷 信綱

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 あいかわらずレイラインから導かれた死と再生の世界観にこだわっているが、それが古代人にとっての基軸となるコスモロジーであるからだと思う。冬になって世界は死に、新しく生まれ変わるという再生の世界観は、世界中で固く信仰されていた。いわば地図やカレンダー、世界観の碁盤となるものである。古代の遺跡や神話にはあちこちにその痕跡が見い出せるから、興味が尽きないのである。

 この本は古代人の死の世界観について考察されているから手にとったのだが、再生については重点がおかれていなかったので私の満足する本ではなかった。魂や世界が新たに再生・復活するという物語が死とセットでないと古代人の死生観は理解できないと思う。再生や豊穣を願う祈りが、性に仮託することによって、死のさいに願われたのである。古代の神話や遺跡にはその物語がわかちがたく結びついている。そこから読み解かないと古代や神話は見えてこないのである。

 銘記しておきたい文章を残しておくことにする。

「山の神の女コノハナノサクヤビメと海神の女豊玉姫や玉依姫は大地の生産力、その豊穣を象徴する女性であり、だから天つ神の子はそれと婚することによって稲穂みのる国の王たる資格を身につけるという神話的想定がここにはあるのである。ワタツミが農の水を支配する神たるゆえんである」



「どうかすると私たちは、大地がそれじたいおのずからにして豊穣なるものであるかのように思いがちである。……「母」なる大地が豊穣であるためには、それを孕ませる男性原理が必要で、その象徴がつまり蛇にほかならぬという関係になっていたはずである」



「蛇はしきりに脱皮をくり返す。これは不死とか再生ととかと結びつく。また蛇は姿を消したかと思うと急に現われる。つまり春になると地中の冬眠から目覚めて穴を出る。蛇が春をもたらす太古の地の霊(デーモン)とされるゆえんである」



「大事なのはこの石棒と土偶が概ね一つのセットをなしていたこと。さらにこれを受けついだのが、実は山の神と石神(イシガミ・シャクジン)との対応関係にほかならぬこと」



 世界の再生のコスモロジーは性交と結びついていた。自然の神や物質が性交することによって世界は新たに再生・黄泉がえる。性交とは世界の復活を願う祈りであったのである。大地や岩、蛇などにそれが仮託されて、復活が願われた。自然の神々が性交することにより世界は再生し、そして古代の天皇も自然の神と性交することにより再生すると考えられていた。古墳に祈られていたことは神としての再生であり、山岳や寺社の方角にはそのような信念がこめられていたのである。つぎにはフレイザーの『金枝篇』を読まないとな。

初版 金枝篇〈上〉 (ちくま学芸文庫)初版金枝篇(下)   ちくま学芸文庫 フ 18-2図説 金枝篇金枝編 5冊セット―岩波文庫
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