『求む、仕事人! さよなら、組織人』 太田 肇
求む、仕事人! さよなら、組織人 (日経ビジネス人文庫)
太田 肇

大田肇は名誉欲や承認欲求について追究しているから読みたいと思っていた。意外にこの欲求についての研究は、散文は多いにしても体系的な研究は少ないため、期待している。
たとえば、『承認欲求』や『お金より名誉のモチベーション論』、『認められたい!』といった本を出している。人間の欲求はこのような認められたい気持ちや名誉、尊敬をめざすことに多くのウェイトをおいていると思うのだが、あんがい、この欲求は軽視されている。自分の恥部をさらけ出すようで、あるいは承認の欲求を認めたくないのか、本格的な著作を見かけないのである。



私がそのような著作で目の引く論述に出会ったのは、フランシス・フクヤマの『歴史の終わり』の優越願望や対等願望であったり、勢古浩爾の『わたしを認めよ!』であったり、アラン・ド・ボトンの『もうひとつの愛を哲学する』といったあたりだろうか。ほんとうに少ないのである。
歴史の終わり〈上〉 (知的生きかた文庫)




『求む、仕事人! さよなら、組織人』を読んだのは、そういう承認欲求の著述を読みたかったのだが、金欠のため安い古本でみつけた太田肇の著作を先に読んでみたいというわけである。こちらのほうはじつにありきたりの本でべつに読んでも大しておもしろくもなく、得るものはなかった。
「組織人」が組織に一体感を抱き、組織からの報酬を目的にするに対して、「仕事人」は仕事に対して一体化し、仕事をとおして目的を追求するということである。組織の窮屈で市場価値のないこれまでのサラリーマンの生き方ではなく、仕事に忠実な仕事人になろうということで、べつにこのことにかんしてはなんの感銘もわかない。ありきたりすぎるし、希望や期待を抱かせるものでもない。オダブツ。やっぱり読みたいテーマの本を読まないとなということでした。
ということで、古本屋でみつけた『お金より名誉のモチベーション論』を500円で買った。しかしこの承認欲求を会社の労務管理につかわれるようになると、あまりにもヤバイんじゃないかと思ったりする。ますます魂まで会社に売り払わなければならず、魂の逃げ場所がなくなるじゃないかと危惧したりする。
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