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02 16
2008

自分で稼ぐ方法

『にっぽん企業家烈伝』 村橋 勝子


にっぽん企業家烈伝 (日経ビジネス人文庫)
村橋 勝子

にっぽん企業家烈伝 (日経ビジネス人文庫 ブルー む 1-1)


 企業がいちばんおもしろいという時は、創業期をおいてほかにないと思う。それはたぶん、しろうとが無から有をつくりだす試行錯誤やプロセスがおもしろいからだろう。こんにちの若者が入ろうとする企業はすでに大きくできあがっていて、プロの集団であり、もうすでに新しく創造する余地はなく、したがってつまらない。新しく創業するときほど企業がおもしろいときはないのである。

 それにしてもこの本は社史研究家の人によって書かれている。社史づくりといえば、会社の地下室で出世から外れた人がほそぼそとやっているものとのイメージがあったが、このような本を見せられるとあんがい宝の山かもしれないと思ったりする。

 創業者の共通点をみているとけっこう名家に生まれるのだが没落して、辛酸をなめ、復興を夢見て創造するというパターンが多そうである。商売の基本は幼いころに習ったりしているのだが。

 たとえば森永製菓の創業者は伊万里の陶器問屋に生まれるのだが没落、陶器商で苦労して、アメリカで陶器を売ろうとするのだが店を手放し、キャラメルを売ろうと思いついて武者修行して帰国後にマシマローつくりからはじめるのである。保存性の悪い菓子を箱や銀箔でつつんだり、広告を打つなどの工夫をして企業を大きくしていったのである。

 伊藤ハムの創業者は三重県の海産物の行商の息子として生まれ、最初に立ち上げた企業は大恐慌で倒産、山谷で日雇いの仕事にもかかわった。貯まった蓄えでソーセージづくりをはじめるのである。

 大日本除虫菊の創業者は和歌山のみかん栽培の名家に生まれ、アメリカの知人から除虫菊を教えられ、栽培の普及をめざし、線香状にすることを思いつき、こんにちの渦巻型蚊取線香が生まれた。

 創業者はいままでの世の中にない新たしい商品や事業を思いつき、それを世に広める。それが成功するか失敗するかは未知数である。そんな中で企業を大きくしていったのである。

 そのほかにも中興の祖もふくめて、おおぜいの企業家が紹介されている。江崎グリコ、豊年製油、蛇の目ミシン工業、トヨタ自動車、鹿島建設、ユニチャーム、島精機製作所、セコムなどなど。

 私はあまり企業活動には興味をもてないのだが、なぜか創業者の物語は読ませるものがあると思う。それは起業には企業や経済という専門の業務ではなくて、しろうとがおこなう社会的な活動という側面があるからだと思う。企業を動かしているというよりか、社会を動かし、変化させているのである。そこには企業内におさまらない魅力があるのだと思う。

 会社勤めがおもしろくないという人やできあがってしまった大企業をつまらないと思う人はいちど企業が立ち上がるさまをながめて、このような目で企業を見てみるのもおもしろいかもしれない。



成功のコンセプト 落ちこぼれタケダを変える (日経ビジネス人文庫 オレンジ た 1-1 私の履歴書) レバレッジ勉強法 ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)
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02 20
2010

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『小さな飲食店をつくって成功する法』 ジーン・中園


小さな飲食店をつくって成功する法
ジーン・中園

小さな飲食店をつくって成功する法


 わたしは飲食店をもつ気などまったくないのだが、起業家の観点をえるためにこの本を読む。思考訓練である。

 わたしは雇われ根性しかもっておらず、いかに仕事や労働から離れるかを理想として生きてきたのだが、40歳をこえて年齢制限などで職のなくなる現実につきあたり、自分の職業能力を高めないと生きていけない危機感を感じてきたのでどうしたらそれを高められるかということで、起業家の視点の必要性を感じたというしだいだ。

 やはり雇われ根性からはいかにラクしてと仕事をするか、いかにしんどくない仕事をしてそれなりの給料をもらえるかという考えになる。上司や雇用者の考えもなかなか見えてこない。給料をもっとくれ、休みをくれ、もっと社員のことを考えろと、要求や文句の一方的合唱だけになる。だから起業家の観点、いわばまったくぎゃくの使い手の視点から見てみなければならないということを感じたのである。

 どんな仕事もさいしょは起業からはじまり、のちの仕事もその観点からおこなわれる。しかしわわれれの大半は企業に雇われて、はじめから仕事があり、与えられた仕事をこなし、出世していくという想定を描いている。起業家の視点はすっぽりなく、労働者の視点しかない。これでは仕事のなんたるかは見えてこないだろう。

 この欠落をかかえたまま仕事とむきあっていると、とくに直接お客と出会わない仕事をしていると、仕事とはなんのためにあるのか存在理由すら見えなくなる。どんな仕事も起業家の視点から見ると仕事とはなんのためにするか見えやすくなるだろう。小さな飲食店はそのモデル・ケースになりやすいだろう。どんな大企業だってもとは小さな飲食店のようなものから出発したのだ。

 当事者の気持ちになって仕事をする。自分が店をもつ気持ちでこの本を読む。そういうシミュレーションとしてこの本を読んだのである。ワークシートのようなものであったらもっと実感のこもったものになったかもしれない。まあ、ハナから起業など考えていないのであまり楽しんで読めた本というわけではないが、こういう思考訓練はいつかしなければならないと思っていた。労働者の一方的観点からでは見えてこないものがたくさんある。

 自分の店をもつには開業資金がかかるし、とくに家賃は高い。立地を選ばなければならないし、店内のレイアウトも考えなければならない。メニューを考え、従業員の訓練も考えなければならない。仕入れや経営状態もつねにチェックしなければならない。

 たぶん自分ですべてを考えて、自分ひとりで決められて、思いのままに仕事をできるのって楽しいことだと思う。労働者の仕事というのはすべて他人に決められて、他人から教えられる仕事をこなすものである。「やらされ」感がずっとつきまとうし、自分のためではない、だれかのための会社というのは自分のことのように一生懸命、必死にはなれないだろう。起業家は自分のために仕事ができるのだから、なにより楽しく、生きがいをもってできるだろう。もちろん会社の仕事も当事者意識でとりくめばいくらでも楽しくなるものだろうが。

 仕事というのは「やらされ感」や「雇われ根性」、または「与えられるもの」と思っている人には成長や楽しみはずっと見えてこないものだと思う。起業家や当事者の意識でとりくまないと仕事の能力は向上しないものだと思う。会社ははじめから稼ぐ人、自分から能力を高められる人を求めているものだが、労働に反逆精神をもってきたわたしはようやくそういう視点の欠落を思い知ってきたというしだいである。仕事は「あたえられるもの」ではなくて、自分から「つくるもの」という意識転換をしないとこれからの雇用縮小社会はのりきっていけないのだろう。


シドニー在住の著者のブログ
 ジーン・中園のブログ

会社を辞めずに自分の店を持つ 週末店主 自分でパパッとできるはじめての飲食店開業&経営 おもろい「1坪商法」で食っていく―リストラ、脱サラ、倒産、転業、副業…あなたが探している商売がきっとある70の実例 なぜあの人は、5時帰りで年収が10倍になったのか?―成功者だけが知っている、時間とお金の極意 小さな飲食店 成功のバイブル―赤字会社から年商20億円企業までの軌跡
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02 21
2010

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『ゼロからでも夢がかなう 起業の教科書』 経沢香保子監修 女性起業塾


ゼロからでも夢がかなう 起業の教科書
経沢香保子監修 女性起業塾

ゼロからでも夢がかなう 起業の教科書


 女性20人の起業の物語。自分のやりたいこと、好きなことを見つけてそれを仕事やカタチとしてなしとげてゆくことはなんて楽しそうなんだと思った。自分の人生を生きているように見えた。自分のやったことはすべて自分の責任として返ってくる。それが楽しくて、また苦しくて恐ろしいことでもあるのだろう。

 対してOLやサラリーマン、だれかに雇われて生きる人生は気楽で責任を負わなくてよく、安定もある。そのかわり、他人の土俵で人生を生き、すべて他人まかせで、自分の人生を他人や会社に丸投げしてしまう悲しみもある。自分の人生を生きていない感がし、すべて借り物の人生で、まるで自分の人生はだれかに売り飛ばされたようなもので、人生に情熱も生きがいもみいだせない。自分の人生を生きている気がしないのである。

 起業には自分の人生をとりもどす、自分の人生の舵を自分の手にとりもどすという意味もあるのだろう。

 むかしの人は「人に使われて生きるな」という教えがあったと思うが、いまは息子に「安定と福祉がある大企業に入りなさい」とさとす。企業の体制ができあがってしまい、医療保険や老齢年金が定まってしまったおかげで、若者は自立や挑戦という精神をうしなってしまったのだ。ひとり立ちする男より、女のように依存して生きるのが正しいというしみったれた世の中になった。そちらのほうがカネと安定と、ステータスがあるという時代になってしまった。まあ、そんな人生も終身雇用の崩壊によって不可能になる時代にもはやなってしまったのだろうが、あいかわらずみんなそんな時代にしがみつこうとしているようだ。

 この本では女性らしい起業家の物語が紹介されている。メイクアップアーティスト、呉服販売、ナレーター紹介事業、料理研究家、占い師、エステサロン経営、ウォーキングスクール、人材教育、事例ライター、営業研修、女性建築家チーム、医療転職支援などである。

 起業がはじめにありきというより、キャリアの延長に起業というカタチがあったという感じもするのだが、まあ主婦出身のまったくゼロからの出発もある。みんな自分のやりたいこと、好きなことを見つけて一生懸命その道につきすすんでいる。キャリアアップのストーリーとして読むべきがふさわしいのかもしれない。フリーランサーになっただけじゃないかという事例もないわけでもないし、起業というくくりかたにできない事例もある気もするのだが、みなさん女性起業塾の出身である。

 実体験から生まれた言葉には深みとリアリティーがある。わたしは彼女たちのように行動し、実践し、コミュニケートし、カタチを完遂させてゆくようなことはとてもできないとコンプレックスを刺激されることも多々あったのだが、彼女たちのバイタリティーのすこしでも吸引できたらなと思う。

「人の役に立つ幸せのほうが、自分のための幸せより大切なことに気づいたのです」

「自分が困った経験があることと、自分の得意なことがクロスするところに起業のチャンスがある」――この言葉の女性は母の味をのこすレシピをつくる事業をおこなっている。

「趣味を仕事にするには、その趣味をお客様が対価を払ってでも買いたいレベルまで昇華させること」

「「好きなこと」を仕事にするポイントがあるとすれば、自分の「好き」をさらに好きになって、誰にも負けない本当にクォリティの高いものを提供すること、そしてその本気の想いを伝えることだと思います」

「自分が本当に自分らしく、イキイキと過ごせる仕事や生き方を見つけて、「決心」すれば、経験や資格はあとから勉強しても遅くない」

「知識が広がることによって「これだけは誰にも負けない!」と思える自分の強みが生まれます」

「自分の興味を深く追求することで、興味は「趣味」から「仕事」になる」

「お金は「ありがとう」だよ。必要なこと、感謝したいことをしてもらった気持ちを、社会的なカタチにしたものがお金だと考えられないかな。お金のやりとりは「ありがとう」の瞬間なんだ」

「仕事というものは市場のニーズがあってはじめて成り立つものですから、好きなだけではなく、「市場の中での自分の優位性」があるかがポイントです。ライバルに差別化ができているかどうか。自分だけの「売り」があるかどうか。「お客様が、ライバルの○○ではなく、他ならぬ私からこれを買う理由」をはっきりと述べることができなくてはなりません」

「想いを抱いているだけでは、夢を腐らせているのと同じ。言葉に出して思いを伝えることで、応援してくれる人やアドバイスをしてくれる人が現れる」

「他人に対する不満は、自分に対する不満ではないでしょうか」

 この本は起業や仕事にかんしてひじょうに夢や希望に満ちた想いをたくさん与えてくれるのだが、カネのことや起業の実態や悲観的な例はいっさい出てこない。これは残念というよりか、危ういし、キケンだ。夢だけでは落とし穴やケガのリスクは見えてこない。起業の話にカネや資金の話がいっさい出てこないというのは片手落ちですまない危険性があるのではないかと思う。これではよい面しか見せない商品・企業広告とおなじで、そんな長所しか見せない本や人を信頼できるだろうか。

 誠実という面で、夢に冷や水を浴びせかける冷たさがあるかもしれないが、起業の現実や客観的なデータ、失敗例ものせるべきであったと思う。こんな夢を煽っているだけの本は企業広告に侵された雑誌文化となんら変わりはないと思う。起業のマイナス面を見せないで夢だけを語ることは著者側のなんらかの欠落を勘ぐらざるをえないというものだ。煽って儲かるだけでいいという起業扇情では読者にたいする誠実な信頼をもちえないというものだ。


監修者のブログ
トレンダーズ社長 経沢香保子の『人生を味わい尽くす』ブログ

起業にかんするデータ
会社の設立登記数及び会社開廃業率の推移
『起業』に関する統計データ集


ミリオネーゼの起業入門―8ケタ稼ぐ女性に学ぶ起業前にするべきこと 日記ブログで夢をかなえる 「自分の会社」をつくってこんなに楽しく成功する方法―女性起業家100人が伝授! (Asahi original) 偏愛マップ―キラいな人がいなくなる コミュニケーション・メソッド 前田義子の迷わない強運哲学
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05 23
2010

自分で稼ぐ方法

『起業家プロの発想力』 主藤 孝司 監修 成実堂出版編集部 編


起業家プロの発想力 (成美文庫)起業家プロの発想力 (成美文庫)
(2006/03)
主藤 孝司 監修 成実堂出版編集部 編

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 これはおすすめ。へたしたらわたしの「GREAT BOOKS」に選んだほうがいいかもしれない。選びにくいのはおもちゃのような成実文庫から出ているからだ。ほかの本からの寄せ集めのような本が多いのだが、この本も70人の起業家のエッセンスを寄せ集めた本だが、ぎゃくにそれが成功している。類書をわたしが知らないという世間知らずがいちばん大きな要因だが、これは勉強になった。

 「世の中は起業でできあがっているのだ、それも年齢の違わない同時代の人がつくっているのだ」ということに驚いた。われわれがこんにち見かける店やサービスはだれかの起業やアイデアで生まれているのだ。

 もうひとつ起業の本を読む効用は金の入り口を考えてみるということだ。ふつうサラリーマンや雇われ人として企業に入るとどうしても金の入り口をみて仕事をするより、与えられた部分のほうばかりみて仕事をしてしまうので、目的が迷走してどんづまりになったりする。金をどうやって得るかという発想で仕事をしない。

 仕事とはすべて起業の眼で仕事をしなければならないと思うのだが、雇われ人の発想はハナからその視点をもたないのだ。こんな雇われ根性しか知らないわたしの仕事人生はとうぜん迷走するわけだが、あんがい多くの人も起業家の視点などもたないのではないかと思う。仕事の基本は起業家の視点をもつことだとようやく思い知ったというしだいだ。起業家の視点というのは当事者やゼロからつくりだす発想をあたえてくれる。

 ■ケーズデンキの社長はノルマを押しつけない。ムリをすれば「押しつけてでも売りたい」となってうんざりした客は二度とこなくなる。だから満点をねらうな、80点をねらえという。ポイント制も客を囲みたいという売る側の都合だけだから採用しないという。わかってらっしゃる。和カフェブームをおこした社長もがんばりすぎの弊害をつげる。デパートでは店員がむりやり売りつけようとする。怒鳴るような挨拶の店もある。ブックオフなんて八百屋みたいにウザかった。さり気なくやれということである。

 「売ろう売ろうとするから売れない。買いたいと思わせることが大事だ」。ミキハウスの社長は売り込みをやめて、商品の不満や売りたい服を聞くようになったら反応がころりと変わって商品を見せてくれと向こうからいわれるようになったという。

 ■自分にあった楽しい仕事をすれば金は儲かるということはよくいわれることだ。どれだけ好きかで成功が左右されるとまでいわれる。趣味こそ金のなる木だといわれる。マニアはニーズとアイデアをもっているとH.I.Sの社長はいう。趣味を仕事にするなも真理であるが。ただ技術やアイデアは金になるまでレベルアップしないと意味がないのだが。

 ■「みなが賛成するものは売るな」といわれる。みなが売れないというものが売れる、まだないからである。最大のチャンスは人の行かない道にある。大反対されたことを実行せよという。反対する少数派こそに未来がある。多くの人が考えることと反対のことをすればいいという。たいていの人は反対されたくないからみんなと同じ道をいって、競争が厳しくなり、大渋滞し、取り分もなくなるという末路をたどるのだが、集団の規則というのは道を外れるな!だから、善の道をいってレミングの死の行進をしてしまうのだろう。起業家のフロンティアとは反対や落とし穴のイバラの道だが、次代のニーズを見つける幸運もあるのだ。

 ■これは大事なことだが、お客のためになること、お客の得することが正しいということはよくいわれる。正しいことなら社会から歓迎される。みんながハッピーになれる仕事はかならず成功するという。儲けようとしても儲けられないのである。私利私欲は客に損をさせるから正しくないのだ。業界でおかしいと思うこと、不満に思うことを改善してみんなが喜ぶかたちにすることでしぜんに儲かる。みんなの疑問を解決してあげよ。「世直し」がビジネスなのである。「人の偉さとは、人をどれだけよりよく生かしたかで決定する」ということである。人はなにに金を払うかというと自分の喜びや得に払うのであって、損や苦しみに金を払う人などどこにいるというのか。儲けよう、売ろうとする人は客に損や苦しみを売りつけるのである。だれが買うか!

 起業というのは仕事の原点や基本を教えてくれるスタート地点だと思う。わたしはどこかの会社に入って給料をもらうことだけが生きる道だと思ってきて、起業することなどほぼ考えなかったが、そのために仕事の目的やめざすべき方向も見えなかったのだと思う。これでは金を稼ぐという基本すらわからない。なんのために働くかすらわからない。起業の観点をもたないということは仕事の存在理由さえ見出せないことなのだ。

 仕事のスキルアップを見つけるより大事なことは起業の視点を得ること、自分で起業を考えてみるという発想ではないのかと思う。大企業に就職をめざす人生コースは仕事のなんたるかを見えなくさせてしまう危険なものだと思う。ゼロからひとりでお金を稼ぐ方法を考えるということが仕事の基本であり、だれもが身につけなければらない世の中のルールというものではないだろうか。自分ひとりで稼ぐということを考えるのがいちばん大事だと思う。企業就職コースというのはいっさいそういう発想をしないで、客から逃げて組織の影に隠れることだと思う。


起業家の本はこんな本がいいでしょうか。
はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術起業家精神に火をつけろ!―会社のために働くのではなく、あなたのために働いてくれる会社をつくる7つのルールザ・アントレプレナーアントレプレナーの教科書なぜ、この人たちは金持ちになったのか (日経ビジネス人文庫)

06 10
2010

自分で稼ぐ方法

『週末起業サバイバル』 藤井 孝一


週末起業サバイバル (ちくま新書 811)週末起業サバイバル (ちくま新書 811)
(2009/10)
藤井 孝一

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 その気になった。自立して生きていかなければならないなと思った。

 起業はもはや選択の余地はない。宿命になったとこの本はアジテーションする。早期退職で50代で会社を去らざるをえない人は3割にたっし、給与も9年連続で減少し、非正規も1737万人、34%に増えた。

 会社は「好況時に安易に人を雇うと、不況時に苦労する」ことを学んだので、雇用や正規の就職はいっそうむづかしくなる。非正規が増えたのは若者だけではなく、中堅、中年でも増えている。ほかにいくところがないだろう、しがみつかざるをえないだろうと足元をみられて賃下げや条件の劣悪化もおこっている。

 犠牲者にならないために自立するしかないのだ。リストラされたり、転職先が見つからなくやむなく自分で稼がなければならない人が増えて、起業せざるをえない人があらわれてくる。選んでいる権利などもはやない。起業するしか生きてゆく道はないのだ。十年ほど前、大阪でどっとホームレスが増えたとき、西成でゴミから拾ってきたモノを売っていた露店が増えたことを思い出す。雇ってもらえなければ自分で稼ぐしかないのだ。

 起業といえば優秀な人や商才のある人向きだと思うかもしれないが、こんにち経営者になっている人はサラリーマンになれなくて仕方なく経営者になった人も大勢いるそうだ。そういう人たちが堅実で収入が安定しているとサラリーマンをめざして会社に入った人を使っているのだ。

 起業というのはむかしお金が儲かるからやる人が多かった。ウン千万儲かるといえば身をのりだす人が多かったそうだが、さいきんはそういうことに関心がない人が増えた。「自分のやりたいことをやりたい」「自分らしく生きたい」ということで起業をめざす人が増えたそうだ。

 雇用減の不安の時代にスキルアップや勉強して自分を磨く人がいるが、その雇ってくれる職場自体がなければなんの役にも立たない。いまの時代の勉強というのは職場で活躍したりスキルアップするための知識を学ぶのではなく、自分で稼いだり、起業できるスキルや知識が必要なのだ。もはやそのような自覚をもたないことには生き残れない。会社にしがみつくことがいちばんリスクが高いのだ。

 わたしもサラリーマンや会社に雇われるしか生きる道はないと思い込んできて、しかしサラリーマンや終身雇用というものが大嫌いだったので、フリーターをやったり、やめたり、ぶらぶらして迷走する、ひじょうに鬱屈した職業人生を歩んできた。

 自分で稼ぐことや起業を対比して考えると、どうしてこんなに会社に雇われる生き方がいやだったのか見えてくる気がする。けっきょく、自分の好きなように生きられない、自分の自由も時間もないし、自分の思い通りの人生を生きられている気がまったくしなかった。だから自分で稼ぐ、起業するという対比はひじょうに重要だと思うのである。自分の人生をとりもどすという意味で、起業という選択肢をひとつ入れておくべきなのだ。

 他人に人生を決められること、他人に人生を牛耳られてしまうこと、このような拘束の人生がたまらなくいやだったのだろう。だけど生きてゆく道、食ってゆく方法がないので仕方なく会社や上司の要求や規律の行動にしたがってゆくしかない。こんな人生がたまらなくいやだったのだと起業からの対比でうきぼりになる。自分で稼げない人は他人の規律や要求にしたがわざるをえない不幸を背負うのだ。

 人に雇われる人生はひじょうに不幸だ。しかしそんな選択しかないと思ってきたし、それ以外の生き方も会社の安定と定収入の道を選んだほうが堅実で得である時代が長くつづいたから、思いつきもしなかったのである。

 頭を冷やそう。起業というのはかんたんではないし、賢明な選択でないかもしれない。だからこの本では安定した収入を確保しながら、週末に起業して自分でじょじょに稼げるようになる助走期間をつけろといっているのである。いまはネットなどで資金なしでも起業できる業態も増えた。生産手段が小型に安価になり個人でも所有できるようになり、起業は身近なものになった。

 そして雇われる生き方もどんどんリスクを増し、雇われることは先方の勝手な都合により放り出されることがあたりまえだから、自分で稼ぐ腕をもっていないとすぐに食いっぱぐれることになる。会社というのはさんざんこきつかったあげく、転職もできないしスキルもないいちばん困っているタイミングでクビを切るものだ。ぜんぶ会社の都合と勝手で人生を決められるのだ。会社というものはそういうものだとさんざん学んできたと思うが、クビだけはないと思ってきたかもしれないが、すべての論理は相手の勝手の都合なのだからさいごの一線だけ違うと思うのはムシがよすぎる話だ。

 雇われる生き方しか知らないわたしにとって起業は遠すぎる方法だと思う。ただ起業について学ぶと仕事の全工程をまとめて見る目を養われると思う。サラリーマンだと業務の一端しか知らないし、たずさわれない。起業では仕事の全部をまるごと覚えたり、見ることになる。仕事というのはこういう面から見てみないとなにも学べないと思うのだ。だから起業について学ぶことは仕事の始まりから終わりまですべて学ぶことになると思う。この発想を身につけることはひじょうに大事なことだと思う。

 起業という言葉はおおげさだし、ビジネスエリートという気がするが、むかしの日本人はほとんどが自営業者であり、自分の稼ぎで食ってきた。農家というのは自営業だった。さきほどあげた西成のガラクタ露店など自営だろうし、江戸時代の人なんて商材をゆずりうけて町中で売り歩くといった商売をしていた。空き缶リサイクルも自営だろう。

 日本人はサラリーマンになるしか生きられない人生を戦後歩んできたわけだが、ひじょうに不自由で不幸な時代であったと思う。安定をひきかえに魂を売る人生を選択せざるをえなかったわけだが、会社はその安定を与えてくれないばかりか、そのおこぼれにもあずかれない時代になったようだ。自分で稼ぎ、自立して生きなければならない時代になった。

 いますぐに起業なんてムリだろう。選択肢のひとつとして起業をふところにしのばせておかないとご主人さまのご都合で路上に放り出される時代になったということだ。自覚と覚悟をしっかりと胸裏に刻まなければならなくなったことを覚えておくしかない。もはや選択肢はない。選ばざるをえない。ならば自分で稼げる方法をたえず発想してゆかなければならないだろう。そのほうが不本意なサラリーマンとなるより、自分の人生を生きられると思うのだ。災い転じて福となすである。


週末起業チュートリアル (ちくま新書) 収入複線化マニュアル (光文社ペーパーバックスBusiness) 週末起業 (ちくま新書) サバイバル副業術 (ソフトバンク新書) 会社を辞めずに年収を倍にする! ノーリスクな副業・起業・独立のためのパーフェクトガイド (講談社BIZ)
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07 28
2010

自分で稼ぐ方法

『すごい人の頭ん中2 』 ビジョネット

すごい人の頭ん中2 ~すごい気づき~ (ゴマ文庫)すごい人の頭ん中2 ~すごい気づき~ (ゴマ文庫)
(2009/05/29)
ビジョネット

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 これはひさしぶりにわたしの「GREAT BOOKS」だ。起業家や著名人にインタビューした本だが、心にしみた。たぶん私は著述家の抽象的な本を読むことが多いから、リアルな人の行動録に大きなインパクトを受けたのだろう。リアルな人の行動や経験に目を啓かれた思いだ。

 学者の本ばかり読んでいたら、行動する人の経験が欠けてくる。経験者の言葉はリアルな言葉となって心に響いてくる。わたしに欠けているのは行動と経験だと思い知らせてくれる。もっとも行動や経験をともなわない本をたくさん読んだことによって、なにも知らないときより経験者の言葉はもっと重みを増して沁みるという効果もあったと思うが。

 また起業家の言葉を読むということはサラリーマンの仕事術を読むより、もっと仕事とはなにかを教えてくれると思った。サラリーマンの仕事術は与えられたものをいかにこなすかの部分論からはじまることが多いが、起業家は仕事や商売の起源から考えはじめる。問いはより根源的だ。この立場から仕事を考えることの重要性をあらためて思い知らされる。部分論では職種によってどうやって儲けるか、どうやって顧客の好評を得るかという入り口の問いさえすっとばすことがあるからだ。この視点がないと仕事はヘンな方向に向いてしまう。

 この本の中のインタビューされた人の考え方でどうしても趣向できない部分や違うと思うところもないわけではないが、けっきょく考えや思考というのはその人の性格や嗜好から生まれてきて、分けることはできないということを思い出せてくれる。その人の人間性の上に思考は築かれる。リアルな人の言葉を聞いているとやっぱり自分の人にたいする好き嫌いで判断する部分はあると思った。学者の本を読んでいるとその人それ自体の好き嫌いは見えにくい。わたしのリアルな好き嫌いと思考の好みは合致するのだろうか。

 感銘した言葉を抜き出そう。

「事業というのはミッション。ほんとうに大切なのは、その目的であるミッションやビジョン」 安田佳生



 安田佳生は「採用の超プロが教える」シリーズを出している人だが、ものごとの根本を違った角度で見られる人だという印象がある。「給料は会社からもらっているのではない。社長の僕が払っているわけではない。…お客様から仕事の報酬としてもらっているもの」――こういう視点をもてないで社長や上司が権力をふるいだすと会社はヘンな方向にいくのだろう。

「お前に必要なのは人と比較して勝つことじゃなく、自分自身の中にあるものを光らせること。それがひいては、人の役に立つことなんだよ」 中村文昭



 中村文昭という人は商売人というより、人格主義みたいな生き方をしている。この人の人生はたしかにすごいと思わせるが、ビジネスはそんなに人格の部分をもってくるとドライな金銭関係が崩れてしまうのではないかと思わなくもないが。徒弟制度や弟子制度みたいな前近代的な身分制を築きそうな危険も感じる。

「常に、頼んだ人間の予測を裏切ること」 中村文昭



 これは互酬性の関係からもうなづける。互酬が見えない人はもらうことや得ることばかり見て、少ないとか足りないとかばかり見て文句をいう。要求されたものより多く与えないと返ってくるわけなどないのだ。だれが容量の少ないジュースに喜んでお金を払うというのか。

「でも、僕は人から無理だと言われるとスイッチが入るんですよ。みんなには無理でも、僕にはできるかもしれない」 中村文昭



 こういう考え方ができるようになりたいものだ。たいていの人はほかがそうだから、決まっているからといってあきらめる。ムリだからこそあきらめず、挑戦したくなるという根性をつちかいたいものだ。

「セミナー会場で誰が一番学んでいるかというと、講師なんですね」 岩元貴久



 これはまったくそのとおりだと思う。聞き手より、教え手のほうが何倍も勉強しなくてはならず、当事者のように考えるし、教えることでもっと思考の追求は深くなる。聞き手はずっと対岸にいつづけるのである。学校もそうで、生徒はずっとお客様や消費者で終わる。

「いかに自分と違う他人がいるかということを知って、はじめて広い拍手がとれる成功ビジネスがつくれるんですね」 くらたまなぶ



 この人はリクルートの「創刊男」だが、カラオケスナックでマーケティングを教えるのがすごい。店の全員に拍手をもらうミッションを与える。歌のうまい人も激しい振り付けもうけない。押し付けや自分の先入観では万人にうけるサービスを与えることはできないのである。

「「不動産屋にその夢を伝えろ、大家に会ってその夢を話せ、それで敷金をゼロにしろ」といわれたんです」 羽根拓也

 

 これは目の前の現象をあたりまえと考えて、思考を回転させていない例としてあげられている。ふつう不動産が高ければそれであきらめてしまう。しかし値段やお金の決まり方というのは慣習や事例となってしまっているが、絶対な決まりなどないのだ。さらには人と人との決まりごとにすぎないから、いくらでも変えられることができる。あたりまえをあたりまえと思わない思考法の大切さがうたわれている。

「新しいことをするときには、いわば失敗してあたりまえ」 森下篤史



 森下篤史は厨房用品のリサイクルをはじめた人で、テレビでみてわたしも覚えている。

「世の中の矛盾や不便、誰も手を付けていないこと、そういう観点で見ていくと、いろいろなことをひらめくんです」 森下篤史

「批判することには能力はいらず、誰がやっても正しい」 森下篤史



 「正しいことに価値があるという情けない考え方の人がものすごく多いんです」―これはすごい。正しいことや批判の価値をしっかりと問いなおすべきだろう。「ボクシングでもリングの外では、やれガードが甘いだのなんだの言いますよね。でも、やっている本人は、わかっていてもできないんです。…リングの上でのたうち回ってみろ、ということですね」

「みんなが不可能だと思っているビジネスは、ニーズが多いわけです」 金森重樹


 こういうまなざしで商売の種を見つける訓練をしたいものだ。

「一位にならないと評価してもらえないのがスポーツの世界。そのため、モチベーションは当然高くなる。ところが、ビジネスの世界では…」 西田文郎



 スポーツとビジネスではモチベーションが違いすぎる。一位しか評価されない世界がどれほど厳しいかということだ。

「期待されている量以上のことをやっておくと、それが次の仕事につながってゆく」 中谷彰宏



 中谷彰宏は薄っぺらい、ありきたりな本を大量に出しているためにとても信頼できる人ではないし、このナルシスっぽい面立ちはさらに信用をなくす。でもいいことをいっていることもたしかにある。上の文は互酬性で考えろということである。いまの損得ではなく、あしたの貸しをつくっておけということである。

「好きなものにお金を使うと、必ず運が返ってくる」 中谷彰宏



 この言葉には賭けたいですね。わたしのような読書にお金をかける人間には。

「自分の趣味の世界を持っている人は、それに引っ張られない。吸収力がない人ほど、みんなと同じ話をしてしまっているんですね」 中谷彰宏


 レストランでみんなテレビの話をしているという風景に出会って、教養の貧困に思い至ったということだ。ニュースもそうだろう。あんな群がりに有益で根強い教養が生まれるわけがない。

「その人に与えられた才能というのは、楽をするためのものではなく、その道で苦労するためのもの」 中谷彰宏



 もし向いてないものに自分がたずさわっているとしたら、なぜ神様はこんなことをやらせているんだろうと考えろという。自分の向いていることのありがたさがわかる。喜びを得るためだという。慰めの言葉としたい。


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08 01
2010

自分で稼ぐ方法

『「売れるお店」のつくり方』 甲田 祐三

「売れるお店」のつくり方―売上げが3割のびる店づくり「売れるお店」のつくり方―売上げが3割のびる店づくり
(1994/09)
甲田 祐三

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 売り手の視点を得るためのレッスン。わたしたちはお客や消費者、教えられる側、与えられる側、遊んでくれる側として育ち、この視点で世の中を見ることが多い。しかし大事なのは売る側、与える側の視点を早くに身をつけることである。さもないと大人になってもメシの稼ぎ方がいつまでも得られない。売る側からの視点を訓練することはこの社会の基本訓練である。

 お客としてなら店のことをとやかくいえる。しかしつくる側となったら、はたしてそれ以上のものをつくれるだろうか。受け手の視点ではどんな文句でもいえる。はたしてつくる側になったとき、自分でけなされないレベルのものをつくれるだろうか。ぼろクソに客にけなされそうだ。買い手から売り手に立つことがいかにむづかしいか、この訓練は早くにやっておくべきだと思う。

 店というのはゼロからつくる。すべてまっ白ななにも決まっていない状態からつくる。すべては意識や思考によって、ひとつひとつが意識的に決められる。TVドラマの風景や通行人がすべて計算されていることと同じである。このゼロからすべてを計算するという働きがつくり手側に求められる力量なのであって、受け手や客の視点ではなかなか得られない頭の働かせ方が必要なのである。これこそ社会人になるために素養だと思うのだが、教育とか世間とかそれを教えてくれないんだな。それが欠如したわたしは94年刊の百円本で頭のレッスンだ。

 この本はイラスト多用の教科書的な本である。教科書的な本は知的興奮もインパクトも与えないものである。すべて平均的に捉えようとして薄められた内容しか書かれない。そのために読み物としてはおもしろくない。専門的な本のほうが偏りや視野が狭いばあいがあるのだが、狭くて深い探求がおこなわれているので、ずっとおもしろい。入門書は薄く伸ばされたガムのようだ。

 順にドッグイヤーの折られたところについてのべる。店員の姿勢は操り人形のような上から吊り下げられたような姿勢がいいと書かれているが、吹いた。これはマジなんだろうか。「お迎え3歩、見送り7歩」ということがいわれているが、買ってもらったらそれでいいやという店員への戒めなのだろう。

 「2・8(ニッパチ)の法則」というものがあるそうだ。二割の商品で売り上げの八割を占め、のこり八割の商品は売り上げの二割しかすぎないということだ。会社でも二割の人が売り上げの八割を占めるという。店内の売れる場所も手前の三分の一といわれている。

 人は左側の壁を背にして歩くクセがあるそうだ。心臓を守るとか、利き手が右手の関係だろう。売れ線のものは左側におくのがいい。まあ、コンビニではレジの店員を避けて歩くということがあるらしいが。

 棚をまとめるとき、まん中からはじめれば、ずれなくなるらしい。ふつう人はいちばん上から手をつけやすいものだが、そうするといちばん下がずれやすい。生け垣も中央からはじめるとまとまりやすい。テストでもかんたんな問いから解いてゆけというようなものだろう。

 わたしはディスプレイの章がいちばん興味をひかれた。八百屋のひな壇など意識的なディスプレイがほどこされていたのだなと知らされる。大事なことはばくぜんと見ていたものを言語化することだ。ばくぜんと知っていることと言語化されるインパクトはかなり違うし、意識化されることはその操縦を可能にする。わたしたちはものをイメージで捉えているのだが、言語化すればその行動や対処はずっと変わったものになる。言語化されないものは見ていても意識されないという状態にとどまる。養老孟司のいう「バカの壁」だ。言語化は行動のいしずえである。

 うわさは悪いものはすぐに広まる。店で悪い印象をうけると22人に話すというが、よい印象は8人しか話さなかったという研究があるそうだ。店の評判はすぐにガタ落ちになる。

 売り手のレッスン、わたしはそのためにこの本を読んだが、わたしが手に入れたいことは自分を売るという姿勢のことだと思う。自分を売るということがどうもわたしにはできないというか、この視点が欠如しており、謙遜の美徳だけではビジネス社会を生きていけないのになぜかわたしはこの姿勢が欠落している。

 どうもわたしは売るという行為に道徳的タブーを課しているようなのだ。売るということは利己的な、金儲けのロクでもない黒い行為という思い込みがあるようだ。この心のブロックはなにかということと、ブロックのバリヤーを破ることがこの本を読もうとした動機にあるのではないかと思う。あんがい商行為にこう思う人もいるではないかと思う。それで現場の作業とか公務員の職につこうとする動機が生まれるのではないだろうか。売る行為のバリヤーになっている考え方とはどのようなものだろう。まあ、こんな考えでこの本を読む人はいないだろうが。。


入りやすい店売れる店 (日経ビジネス人文庫)客を呼ぶ店・売れる店―入りやすく、買いやすいお店の法則売り場マーケティングの教科書―なぜかモノが売れる店のつくり方 (アスカビジネス)図解 売れる店・流行る売り場の絶対法則 (KOU BUSINESS)売れるお店の法則―なぜ、そこに客が集まるのか?

08 22
2010

自分で稼ぐ方法

『起業力入門』 内田 雅章

起業力入門 20代で社長になる7つのステップ (ゴマ文庫)起業力入門 20代で社長になる7つのステップ (ゴマ文庫)
(2007/11/07)
内田 雅章

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 サラリーマンとしか生きる道がないと思い込むと、会社との奪われる―奪うの関係でしか見られなくなると思う。巨大な組織との取引だけである。そうするとすこしでも労力を少なく、利益は大きくという考えになる。ニートやフリーターの発想はこういう考えから生まれると思う。

 しかしこの考えだけではいずれジリ貧になる。会社は逆にいかに大きく与える者だけを得られるかという考えをもっていて、そういう考えに同化できた者を徴用してゆく競争に負ける。つまり社畜競争の勝利者に軍配を上げる。ニート戦略では食っていけなくなる。いかにラクに奪われないで生きるかという戦略はドンづまりになってしまう。

 この発想を変えるには自分でメシを食えるようにする、稼ぐという立場からものを見ることだと思う。自分で稼げるようになれば奪う―奪われるという関係からものごとを見なくなるし、自分で稼げるようになればその関係からオサラバできる。起業という発想から見えてくるのは、いままで奪う存在にしか見えなかった上からの立場である。この視点から見えるようにならないと、逃げの戦略だけではいつか食えなくなる。ゼロからつくりだすものとしての企業という視点は、雇われ根性に染まった者に必要な視点だろう。

 サラリーマンが不自由と感じるのは企業が巨大な力で奪う存在としか見えないからである。企業は時間や労力や自由を大きく奪う存在としてわれわれの前に君臨している。不自由感の根本には自分で人生を決められない、思いのままに生きられない、巨大な企業や組織に自分の人生を牛耳られているという思いだろう。この拘束から逃れるには自分で起業して稼げるようになるか、または創業者のまなざしで企業を見てみれば違う視点を得られるかもしれない。

 わたしが起業の本を読むのはこの奪われ感のべつに視点からのまなざしを得るためである。本書の使い方としてはかなり違うものであるが、起業からの観点というものは、ニート・フリーターの視点からは見えないものが見えてくると思う。自分が稼ぐ主体として企業をながめてみるということは、サラリーマンの奪われるだけの存在としての立場をこえたものを見せてくれると思う。

 本書ではひじょうに慎重な起業の計画が説かれていると思う。人脈や師匠をつくること、資金を一千万貯めろなど、起業の布石をうつ方法がていねいに説かれている。

 起業すればプレッシャーはサラリーマンとしてのそれとは比べられないほど強烈なものらしい。なにもしないでも経費が月200万も湯水のようになくなってゆくという。お金を稼ぐ手段をたえず考えておかないとお金は減るばかり。サラリーマンのように会社に毎日行けば給料がもらえるのではなく、自分から稼ぎ出せないとお金はなくなってゆくばかりで、すぐにゲームアウト。稼ぐ主体になるということはそういうプレッシャーと日々闘うことなのだ。

 社員は儲かっているのになぜ給料を上げないのかとよく思うが、社長の立場からすると一度上げた給料はかんたんに下げることはできないし、給料をストップすることもできない。だから慎重にならざるをえないのである。お金がなくなってゆくことは社長の立場からすると命を削られる感覚に近いのだという。

 起業の本を読むということは社長の立場でものごとを見ることであり、さらにゼロからお金を稼ぐ方法を考えるということである。起業の本を読むことはいろいろ得ることがあると思う。サラリーマンとしか生きる道がないと思い込んだ人の視点の偏り、固定化を壊すと思う。サラリーマンになる人こそこの視点の涵養が必要なんだと思う。

 サラリーマンになると自由が奪われると思う人は、では果たして自分で稼げるか、自分でメシを食えるかという発想で比較してみることも大事だと思う。この貨幣社会に生きている以上、貨幣の力から自由になることはできない。起業という視点はわれわれにどれだけの自由が得られるのかという見方もあたえてくれるのかもしれない。


起業・独立の強化書 図解「人脈力」の作り方 (講談社プラスアルファ文庫) 起業バカ (ペーパーバックス) 起業バカ 2 やってみたら地獄だった! Idiot Entrepreneurs (ペーパーバックス) 5つの仕事力 (ゴマ文庫)
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09 17
2010

自分で稼ぐ方法

『会社を辞めて成功した男たち』 大塚 英樹

会社を辞めて成功した男たち (講談社プラスアルファ文庫)会社を辞めて成功した男たち (講談社プラスアルファ文庫)
(2000/05)
大塚 英樹

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 この本はわたしの手にあまる。サラリーマンしすぎた本であり、企業での業績をあげた話もかなり出てきて、わたしはあまり共感できない要素があった。サラリーマンの立身出世のアガリに起業があったという話が多すぎて、わたしにはついていけなかった。あまり業績をあげずに起業で成功したという話ならよかっただろうが、でも起業もサラリーマン時代の延長にあるものなんだろうな。

 2000年の本だから冒頭に悪名高きグッドウィルの折口雅博が出ている。かれの身の上話も聞けて父の倒産で家を出て行った母との再会のエピソードなどもあった。

 こういう個人の経歴が何人ものせられた本をまとめるのはむづかしい。印象的な箇所を経歴と関係なしに抜き出すしかない。ところでわたしはあまり見ないジャンルなので知らないが、この本の中でいまも知られた起業家はたくさんいるのだろうか。

 松井証券の松井道夫が営業より電話で受注する女性社員が手数料を三倍あげているという話はおどろき。営業の存在理由をたまに疑問に思うことがある。

 経営者は感情的に怒ってはダメだ、怒るのも演技、経営者は役者でなければならない。喜怒哀楽を出してなにを考えているか教えなければならない。むかっ腹をたてたあと、これで効き目があったと思うかと聞いたりする。

 建築の仕事は工事が終わるたびに現場が変わるから転職しているのと同じ。

 関喜良の経歴がなんか見覚えがあるからもしかと思ったがやっぱり赤本、大恐慌本をつぎつぎと出す浅井隆の本名だった。この第二海援隊という会社、大恐慌本のほか健康食品の販売もやるからもっと怪しんだな。

 出版社をたちあげた近藤正純という人の経歴が目を引いた。銀行員という世間の価値観にしたがった生き方だけでいいのかと迷うさまにわたしはいちばん共感を感じた。銀行が好きなわけではなく、世間の価値観に合わせただけの生き方の中で、好きなことをやりたいという気持ちがふくらんでゆく。ビジネススクールで経営には正解がない、人生にも正解がないんじゃないかという理解がかれの背中をおした。

 建築も人はいかに生きるべきか、存在意義とはなにかという問いのうえに立脚しなければならない。

 アニモ(声紋機器)の服部一郎は現地法人をたちあげて、自分ひとりで準備をはじめてなにかをはじめることのすばらしさを知る。自分のやりたいことをやる。それにくらべて会社のエリートの椅子などなんの意味があるのか。定年までつとめてもらえるのは退職金だけ。

 大企業で働く学歴の高い人材ほど変化を好まない。

 個人の経歴や人生行路が興味深い本だが、22人もの経歴をのせられると印象深い経歴も記憶の中に消えてしまうな。

09 23
2010

自分で稼ぐ方法

『リストラ起業家物語』 風樹 茂

リストラ起業家物語―クビ、失業から這い上がった8人 (角川oneテーマ21)リストラ起業家物語―クビ、失業から這い上がった8人 (角川oneテーマ21)
(2005/03)
風樹 茂

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 風樹茂という人は「無縁社会」という言葉を生み出した人だと思うのだが、報われているのかなぁ。自身のリストラ、独立という経験をへて視線はホームレスやサラリーマン残酷物語、死といった方向に目が向き、そのような著述をものにしている。

 自分のすすむべき道を著述によって模索し、それによってリストラ時代を生きる中高年の灯となろうとしているのだろう。いくぶん希望や夢もない悲惨なほうを見すぎている気もしないではないが、底を見たほうが生きる安心を得られるというものだろう。

 この本では8人の起業ストーリーがとりあげられている。先に読んだ「会社を辞めて成功した男たち」は22人がとりあげられていて記憶がまったく残らなかったが、8人くらいではだいぶ印象が強く残る。

 わたしは第2話の整水器をホームページで売ろうとした男がもっとも印象にのこったな。わたしもホ-ムページ黎明期に遊びでつくっていたのだが、この人はリストラされて背水の陣でホームページの売り上げに頼もうとしていた。真剣と必死さの度合いがまるで違う。ホームページ黎明期の違った側面をみた気がした。それにしてもホームページ作製に400万もかけたなんて。わたしなんてホームページビルダーとかネット接続費くらいだ。

 吉野家のバイトはこのような人がしているのである。ハローワークでは50歳はリストラ年齢だから仕事を紹介できません、自分で探してくださいといわれたそうだ。このとおりにいったと思われないが、見殺し機関だな。ホームページは商品カタログだけならだれもアクセスしないといわれているが、多いんだよな。5年前の出版だからホームページはまだやっているかと心配したが、まだ健在だった。

 第1話では登場人物の名前や年齢を変えられるオリジナル絵本で起業する話で、これはすばらしいアイデアである。第3話の著述家は会社が倒産すると妻に「わたしはサラリーマンと結婚した。失業者と結婚したわけではない」と罵られたそうだ。悪妻の見本のような女だが、女の利用的な見方からすればホンネなんだろうな。わたしはけりたおしたいと思ったけど。

 第4話はホンダをやめて身障者用自転車をつくる男の話。オーダーメイドだから大量生産できない苦しさがある。第6話の女性は車両マーキングの会社につとめたあと独立。たくましい女性である。まわりに自営の人が多かった影響だとか。

 第7話はフランチャイズで独立する話だが、半年一年でやっとおぼえる仕事を研修で一ヶ月でたたきこまれて放り出される。コンビニの店長もそれで失敗するのだとか。前職で失敗など経験をつんでおくほうが好ましい。仕事の技術というのは知識として得たものを実践で使いこなすにはものすごく開きがあると思うのがわたしの実感だ。知識を使うものとして想定しておぼえるのは至難の技だと思う。しかしそれこそがもっとも必要な技。起業したがる人というのは親族に起業家などがいて一族の神話に支えられていることがある。

 第八話では苦境の酒屋が地酒と焼酎で再生をはたす物語が語られている。

 中高年になれば年齢制限などで再転職はままならない。転職先がリストラの筆頭に上げる年齢であり、同年齢は役職のポストで埋まり、ピラミッドの先端のように少数になっており、転職できたとしても年下の上司の下につかなければならない。中高年は年功社会のうえでひじょうに厳しい瀬戸際に立たされているのである。中高年の自殺が多いのもうなずけるというものだ。

 ただ社会をそんな図式的パターンだけでできあがっていると思うのはまちがい。星の数ほどの個性的な寄り合いで構成されているもので、図式的理解だけで世の中が構成されていると思うとバカを見る。それらを吹き飛ばして、入り込める隙間を見つけるのが嗅覚の働かせどころというもの。風樹茂の本はそんな道を開くための自身のための模索でもあるのだろう。


ホームレス人生講座 (中公新書ラクレ)ラテンの秘伝書―格差社会を生き抜く最後の切り札ホームレス入門―上野の森の紳士録 (角川文庫)それでもパパは生きることにした―死にたがる父たちの心の戦争サラリーマン残酷物語―起業か、転職か、居残るか (中公新書ラクレ)

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Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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