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03 05
2006

書評 ビジネス書

『あのブランドばかり、なぜ選んでしまうのか』


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アンドレアス・ブーフフォルツ ボルフラム・ホルデマン 松野 隆一
東洋経済新報社 2002-09-27

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 売り手が消費者心理をどのように捉えているのかと思って読んだけど、売る側に向けて書かれた本なので根本的な興味が向かわなかった。とばし読みをしたくなる本を、ブックオフで選んでしまった。安いからという理由で古本で失敗してしまった。

 まあ、売れなくなったブランドをどのようにしたら売れるようになるかという本で、それぞれの成功例には目をみはるものがある。便益、規範、アイデンティティ、感情の変換から、売れるブランドになる方法をとりあげていて、なるほどなと思った。私はアイデンティティとしてブランドを買うことが実感にいちばん近いなと思う。こういう買わされ方はもうなさけないと思うのだけれど。


06 22
2006

書評 ビジネス書

『ユダヤ人大富豪の教え』 本田 健

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4479300082ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣
本田 健
大和書房 2006-02-09

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 ふたつの目的で読まれた。金儲けは汚いことだと思われているが、人に喜びを与える利他行為ではないのかといった考えの検討と、たんじゅんに私もお金が必要だから大富豪はどんな考え方をしているのかといった興味からだ。どうも私は金儲けを悪者に捉えすぎている。金儲け観を検討したくなった。

 ショックのあまりしばらく本を閉じてうなった一節があった。

 「給料をもらう人間は働いている時間が退屈なので、その時間が早く過ぎないかだけを考えている。普通の人は、『人からもらえるもの』にしか興味がないのだ。だから金持ちになれない。
 一方、スターと呼ばれる人たちや、事業で成功している人たちは、その仕事を辞めるのが難しいくらい、自分の仕事を愛している。~言ってみれば、与えることばかり考えているといえるだろう」

 「花が好きな店の主人は、自分の大好きな花で、お客さんをどのように喜ばせようかと考えている。余分にサービスしようとか、きれいにラッピングしてあげようとか、お客が喜ぶサービスを無限に思いつく。お客にいかにたくさん与えられるかを考える。
 一方、利益ばかり考えている花屋は、その逆をやる。一本サービスするなんて、とんでもない。ラッピングするときは有料にして利益を出そう。もっとたくさん客に花を買わせてやろうと、客から奪うことばかり考える。どちらの花屋で花を買いたいかね?」

 「金持ちは多くの人に喜びを与えるから、金持ちになったのだ」ということである。私たちは金持ちを人から奪ったり、だましたりして儲けたと考える。金儲けを汚くて、醜い、悪いことだと捉える。だけど金持ちになった人は客に喜びを与えたからこそ、お客は多くの金をかれに払ったのである。だれもほしくないものなんかに金を払わないだろう。われわれはどうしてこのような金の利他的側面をみないで、利己的側面をみるのだろう?

 それは自分自身の姿をみているにほかならないからではないだろうか。もらうことや、奪うことばかり考えている自分自身の姿が投影されているだけではないのか。自分がそんな人間だから、金持ちもそんなふうにしかみえないのだ。自分自身が人からもらうことばかり考えて、人に与えようなんてちっとも思ってないからではないのか。貨幣社会では人に多く与えた者が多くうけとるようになっている。金持ちはほんとうに悪徳商人なのか。日本人の金儲け観を検討したくなった。

 この本は本田青年がアメリカで出会ったユダヤ人大富豪に幸せな金持ちになる方法を教えてもらう小説風の自己啓発書である。これは金持ちになるための方法論でもあるが、ほとんど精神世界に近いけど、もっと現実的な言説が語られている。金を稼ぐことは人生でもあり、また幸福論と同じでもあると教えてくれる。うん、まったく幸福論だ。ビジネスとはまったく人生にほかならないのである。成功の落とし穴についてもいろいろ教えてくれる。私はこの物語がどれだけ実話なのか気になりつづけたが。

 悪くいうつもりはないけど、お金持ちになる自己啓発書って精神世界が混入しているものである。ナポレオン・ヒルとか船井幸雄とか書店に並ぶ自己啓発書は金儲けと精神世界がいっしょくたになっているものである。なぜ金儲けは精神世界に結びつきやすいのだろう。金儲けは人生と同じで科学的実証で測れるものではない未知数のものを多くふくみ、占いや怪しい世界に近いからだろうか。信念が強く必要になる世界からかもしれない。

 私は自己啓発書は読んだほうがいいと思っている。ポジティヴやプラスになる考え方を知るというのは、ほんと役に立つ。人は放っておいたら、悪いほうへ、マイナスのほうへばかり、思考が固着してしまうようだからだ。凝り固まった思考の風通しをよくするために、自己啓発書は新たな発見と驚きをもたらしてくれる。もちろん健全な猜疑心もともにもってゆく必要もあるのはいうまでもないことだけど。


06 28
2006

書評 ビジネス書

『ユダヤ人大富豪の教えⅡ』 本田 健


ユダヤ人大富豪の教えⅡ さらに幸せな金持ちになる12のレッスン
本田 健 だいわ文庫

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 思わず愛着のわく本になってしまった。幸せな金持ちになるための本だが、お金のセラピー書ともいえる内容をふくんでいて、おどろきである。

 私たちはたいてい親や家庭でのお金のかかわりを見て金銭観をはぐくむ。そしてそこには怖れや恨みや怒り、不安、軽蔑などの感情をまとわりつかせて、そのお金への偏見や固定意識によってお金とのかかわりかたをつくってゆく。いわばお金の奴隷になるのであり、または親の金銭観の奴隷となるのである。

 たとえばこの物語に出てくる「僕」の父は、「経済力のない男は首のないのと同じだ」を口ぐせにし、友人もなく家族にもそっぽを向かれ、金だけが唯一の友だちだ。その父は夜学の高校に通っていたころ、パンを買う金もなくひもじい思いをしていたそうだ。子どもだった「僕」は貯金箱をもってきてお父さんにパンを買ってあげるといったら、父は号泣して僕を抱きしめたことがあったそうだ。そして父はお金さえあればと思いがむしゃらな人生を選択し、僕はお金持ちになったら父さんを癒してあげられると思うようになっている。

 家族のお金のドラマがその後の人生のお金とのつき合い方を決めてしまうのである。もしそれがネガティヴなかかわりだったら、その人は一生そのドラマに囚われて生きることになってしまうだろう。お金で傷ついた心を癒さないことにはお金からの自由と解放は得られないのである。

 心理学だけではなく、お金との関係も癒さなければならないなんて、私には目からうろこの世界だ。私の家庭も父の事業の失敗という経済的危機の状態をくぐりぬけて、おそらく私は金は汚いとか無関心なふりの態度をもつようになったのだろう。私も親の家庭に囚われた金銭観を解放しなければなと思ったしだいです。

 もうひとつ書いておきたいことは、お金に何を見るかで人生の種類や質はまったく違ったものになるということだ。

 お金に権力、パワー、影響力を見る人はパワーゲームに人生を費やしてしまうだろうし、自由になれると思っている人はぎゃくに自由を失うし、安心や安全をもとめてもどんな大金持ちでも安心することはない。お金に自分や男、女の価値を見る人は金に縛られつづけるだろうし、汚いと思う人はお金のよい面よりお金の悪いことばかりにぶつかってしまい、愛情を見る人は男女関係の修羅場を見ることだろう。応援、感謝をお金に見るような人は楽しく幸せな人生を送るといえるだろう。

 私たちは無意識のうちにお金にいくつもの感情をまとわりつかせている。そしてそれによって人生が決まり、または将来まで決まってしまうのだろう。

 お金といういちばん身近で大切なものでありながら、われわれはあらためてお金について考えてみるということはない。考え方や過去の奴隷となって、われわれは幽霊のように生きているといえるだろう。私がこのような金持ちになるための本を読もうと思いはじめたのは、自分の無自覚な金銭観を考えなおしてみたくなったからだ。

 金儲けは悪いこと、貪欲で功利的な人間になることだと無自覚に思っている私は、ちかごろ金儲けは人に喜ばれる利他的行為をしたからこそたくさんの人からお金をもらったのだという側面にようやく気づきだした。金銭観を考えるには、金持ちになるという自己啓発書が役にたちそうだと目をつけている。ちょっと金儲けの本を読んでみようかと思っているしだいです。


07 15
2006

書評 ビジネス書

『なぜ、この人たちは金持ちになったのか』 トマス・J・スタンリー

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453219458Xなぜ、この人たちは金持ちになったのか (日経ビジネス人文庫)
トマス・J. スタンリー Thomas J. Stanley
日本経済新聞出版社 2008-09

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4532163897なぜ、この人たちは金持ちになったのか - 億万長者が教える成功の秘訣
トマス・J・スタンリー 広瀬 順弘
日本経済新聞社 2001-05-18

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 このような金持ち本を読んだのは、金儲けの罪悪感を考えてみたくなったことと、お金にまつわるいろいろなことを考えたくなったこと、やはり金持ちはなぜ金持ちになれたのかという興味からである。

 私には金儲けは汚いことだ、成功をめざさないという価値観がある。いったら、人生を否定的に生きろということだ。これはこれでいいと思うのだが、金持ちにも幸福や人生の充実の要素があるのなら、この価値観のベクトルにも学ぶものがあるというものだ。

 金儲けはなぜ悪いことに考えられるのか、日本人はお金をどのように考えているのか、といったことをこのような金持ち本から逆にその価値観をうきぼりにできると思ったのだが、まあ、その点ではこの本はあまり役に立ったとはいえない。

 この本の中で「金持ち・秀才は金持ちになれない」という章が重要ではないかと思った。私も学歴と金儲けの価値観はまったく違うと思っているのだが、日本ではどうも学歴と金持ちが直結してしまっている。よい学歴をもてば、いい会社に入っていい生活ができると思われているが、学歴というのは教えられたことを記憶するだけであり、金儲けのようにお客のニーズを創造して儲けるという活動とまったく違っている。

 日本人は「アカデミック・ステータス」を立派にすることより、ほんらいの金持ちになるという目的をリセットしなおす方がいいんではないかと思う。どうも日本人は目的をまちがっている。キャッチアップの工業社会では教科書どおりの生産が功を奏したり、学歴を組織の序列におくのは理にかなったかもしれないが、もう新しい時代のこの方法が合わないのはいうまでもない。金持ちになるという目的が、学歴と離れたかたちで、立てられる必要があると思う。金儲けの成功はもちろん学歴で序列づけられるわけなどない。

 この本の統計にあらわれた金持ちというのは特徴として、自営業者やニッチ(すきま)産業で成功した人が多いということである。競争が多いところははじめからめざしていない。そしてハリウッド映画のような豪遊したり、豪邸に住む金持もちなのではなくて、服や家具は修繕するし、楽しみは子どもや孫、友人たちとの交流、資産運用の計画などの金のかからない活動だったりする。浪費型の金持ちとは分けられるものである。

 さいごにこの本の中から金持ちになる秘訣をいくつかピックアップ。


 「一代でどうやって億万長者になったかですって? 私たちの多くが、人が目を向けないようなところでビジネスチャンスを見つけているんですよ」

 「私たちは、根強い需要がある製品やサービスをほぼ独占的に提供しているから金持ちになれたのです。競争相手が目白押しの分野に参入したりしません」

 「本書の内容の多くはこの「人とちがうことは利益をもたらす」というテーマを軸にして展開していく」

 「ぼくは、ぼくは、ぼくはって、自分のことばっかり考えている子は鼻つまみよ。言い換えれば、相手が何に興味を示し、何を求めているかに、常に注意を払いなさいと言い聞かせたのである」

 「往々にして、成功するということは、仲間外れになる犠牲が伴う。現に、億万長者の四人に三人(76%)は、人格形成期に周囲とはちがった見方をすることを学んでいる。……人とちがうことは経済的成功という褒章をもたらすが、批判や仲間外れといった報いも受けるのである。……人に拒絶されても、絶対に自分個人を拒絶されたと思わないこと」

 「基準や体制、権威といったものに対して疑問を抱くことは、自力で億万長者になった人たちに共通して見られる特徴である。……いつも「できる子」の列に入れられていた生徒たちはどうだろう。……こうした人たちは、自分を「できない子」の列に入れようとする権威者と戦った経験がない」

 「ミリオネア・マインドを持っていたのは、じつは、出来の悪かった教え子たちのほうなのである。……最大で最悪のリスク、真に危険なリスクは、他人に自分の人生のコントロールを許してしまうことだ、ということである」


となりの億万長者―成功を生む7つの法則 バビロンの大富豪―「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか 大金持ちになる人の考え方 イヌが教えるお金持ちになるための知恵 女性ミリオネアが教えるお金と人生の法則
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07 19
2006

書評 ビジネス書

『ユダヤ人ばかりになぜ、お金が集まってくるのか』 伊達 一啓


4763197045ユダヤ人ばかりになぜ、お金が集まってくるのか―「富と成功」を約束する黄金法則の秘密
伊達 一啓
サンマーク出版 2006-06

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 たしかにユダヤ人のメンバーはすごい。エジソン、アインシュタイン、マルクス、フロイト、スピルバーグ、ピカソ、ロックフェラーほかたくさん。ユダヤ系企業にかんしては、ワシントンポスト、コカ・コーラ、IBM、マイクロソフト、マクドナルド、ロスチャイルド財閥、GE、GMともっと多くの企業がある。

 なんでこんなにユダヤ人は世界に突出した存在になったのだろうか。資質か、考え方か、タルムードという経典のせいか、それとも苦難と困難の歴史か。どうやらユダヤ人に学ぶことは現代の成功条件を学ぶことでもあるらしい。

 この本は三笠書房の知的生きかた文庫の自己啓発の本に似ている。こまぎれな章のタイトルを読むだけでもじゅうぶんエッセンスが得られる。

 私は自己啓発は嫌いではない。二十代までを思いっきりネガティヴな思考で生きてきたから、前向きな思考のあたたかみや必要性はじゅうぶんにあると思っている。ネガティヴさは自分を傷つけているだけなのだが、かといって、前向き思考を押しつけられるのをたいそう嫌う人もたくさんいるので、そういう人はネガティヴさがどんな損失をもたらすかを実感したときにこの志向を学びとればいいと思う。もちろん健全な懐疑心も忘れてはならない。

 日本人は「謙譲の美徳」や控えめで謙虚に生きるのがよいとされており、「日々の暮らしが成り立てばいい」と考えたりするが、ユダヤ人は金しか頼るもののない困難の時代を長く生きてきたのだから、そういう現実無視の言葉を信用しない。それだけにお金に執着したり、ライバルを叩き潰したり、成功や金への渇望を肯定したりするのだろう。日本人は謙虚に生きていたら世間は生かさせてくれると思っており、それがぎゃくに自分の人生の破損に貢献するのだろう。

 感銘した言葉をいくつか引用。

「自信喪失者は、自分に対して盗みを働いているようなものだ。自分の可能性がどんどん失われてゆく」
「学問を身につけることによって人生の危険や困難と闘えると考える」
「成功を妨げているものは何だと思う? それは人間の感情だ。つまらねぇ面子とか情けとか、意地とか妬みとか、そういうものだ。そういうくだらねぇ感情が、成功を、また目の前の大きな利益をブチ壊しているんだよ……」
「成功者のほとんどは、他人の利益に興味をもち、他人の利益を考えられるタイプの人間であった」
「人間は東西を問わず見栄という水にすむ魚だ。……そこで人を動かすにあたってはその人の自己愛に訴えるのが有効である。それに人が欲することを行うのは親切心でもある」
「タルムードは『人が死んで神に直面するとき、神はせっかく人に与えた様々な楽しみを避けたものを嫌う』といっている」

ユダヤ人の成功を探るために『タルムード』もしくはラビ・トケイヤーの『ユダヤ格言集』、またはイザヤ・ベンダソン『ユダヤ人と日本人』を読んでみたくなった。


07 25
2006

書評 ビジネス書

『マーフィー みるみるお金持ちになる法則』 植西 聰


308298621.jpgマーフィー みるみるお金持ちになる法則―お金で成功する人、失敗する人
植西 聰
成美堂出版 2001-06

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 すばらしい本。金持ちとはなにかと教えてくれる本。金持ちとは人に多く喜びを与えた人なのである。お金は人に喜びを多く与えた人に集まってくる。

 金儲けとは人間関係そのものだと思った。自分のことばかり守ろうと思っている人はお金にも人にも嫌われるが、人に多くの喜びを与えられる人はしぜんにお金も人も寄ってくる。お金は人の喜びや利他行為の貯蔵庫のようなものなのである。

 たぶんにお金は汚い、金儲けは悪いことだと思っている人は、自分の利益を一人占めにしようとし、そして人の喜びや楽しみも自分のために奪いとろうとしてしまうのだろう。お金は奪いとるものだと映る人には、自分の奪いとる姿勢を他人に見ているに過ぎないのだ。他人とは自分の鏡である。

 「人は誰でも人に喜びを与えている限りその分だけ財産を持っていることを忘れてはなりません」

 マーフィーは「他人を敬える人が豊かになれる」という。
 「他人を愉快な気持ちにさせたければ、他人を敬いなさい。同時に愛と善意を与えなさい。これさえ守れば、人はあなたを放っておけなくなります」

 「誰でも心の中にもっとも深く根ざしている願望は、自分の存在感を認めてもらいたいということです。他人の存在感を認めなさい。そうすればあなたも認めてもらえます」

 「人は自分の関心事に反応を示されると大きな喜びを感じます。それは自分の価値が他人から評価されたことになるからです」

 そして「喜びを与えよ! されば与えられん!」という。
 「他人に喜びを与えることに快感を感じた瞬間、お金はあらゆる角度からあなたへと流れてくるようなります」

 「お金を殖やすコツは一人占めの発想から脱却することです。人のためになることを目指す時、あなたの富は大きくなっていきます」

 「人のために尽くすことが自分が富むことに通じる」という。

 また「自分が困っている時こそ相手に尽くそう」という。私たちはそういうときこそ人助けなんかとんでもないと思うだろうが、「自分自身の問題が解決していることに気づくでしょう」というのである。

 「人間とは、その人が一日中考えていることであり、人の一生とは、その人が人生をいかに考えたかです」

 これらのマーフィーの考察からお金とはなにかと見えてくる。お金とは人の喜びをめざしてぐるぐる回るものなのである。利他行為プラスそのうえにさらに喜びが必要なのである。

 私たちは仕事はしんどい、つらい、サボリたい、すこしでもラクしたいと思いがちだが、こういう姿勢では人に喜びを与えられないばかりか、ときには不快感や損失感さえ人に抱かせてしまうだろう。自分の疲労や損失ばかり考えているからである。そしてお金は集まらなく、貧乏になってしまう。他人に喜びを与える快感を悟ったときに、はじめて私たちは仕事の本質を知り、そして仕事の評価やお金も集まるようになるのだろう。

 お金とは利他行為や人の喜びの集積である。社会はよくもこんな喜びの財貨というしくみをつくったものである。そのおかげで文明は発達し、社会は快適に便利になった。社会は利他行為に喜びを感じた人に評価とお金を与えるのである。

 「人の喜びは自分の喜び」という思いを仕事に結実させたときに、私たちはお金に困らない秘訣を手に入れるのだろう。お金や仕事というのは、じつに社会や共同体によくできたしくみだ。感嘆するしかない。利他行為のポイント表みたいなものである。お金持ちとは利他行為の表彰者なのである。


07 29
2006

書評 ビジネス書

『大富豪になる人の小さな習慣術』 ブライアン・トレーシー


大富豪になる人の小さな習慣術
ブライアン・トレーシー

大富豪になる人の小さな習慣術

 富豪になるための本というよりか、成功哲学のエッセンスを集めてきたような本だな。

 「あなたの現在、そして未来は、すべてあなた次第。現在あるあなたは、これまでに通過してきた選択、決断、行動の積み重ねだ。生きかたを変えれば、未来は変えられる。あなたがなりたい人物像、あなたが達成したい目標に、より近づけるような選択、決断をすればいい」

 ということでお金持ちになりたいのなら、お金持ちと同じ考えかた、同じ感じかた、同じ行動を心がければいいということだ。単なる法則であるという。「ひとつの行動をくり返すうち、人は奴隷となる。最初は自分で選んだはずが、いつの間にか従属しているのである」。だからよい習慣を選択すればいいという。

 「世の成功者は、成功を――前もって期待する。幸せな人は、幸せを期待する。人気者は、他人から好かれるのを期待する。彼らはみな、どんな場面でも何かいいことが起こると期待する習慣を身につけている」

 「固定観念によって事実が生み出される。つまるところ、あなたは見たものを信じるのではなく、心の中で信じるものを見るのだ。
 固定観念のなかでもっともやっかいなのが「自己制限」の固定観念。それが強まると、あなたはたえず自分を「安く見積もる」ようになる。目標をかかげても早々にあきらめ、さらには周囲の人間に、自分にはこれこれの素質や能力が欠けていると話すようになる。ここにいたって、思い込みは現実へと変わる」

 「対応の法則。外界は、内面を写す鏡である。ちょうど、三六〇度を鏡で囲まれているようなものだ。どちらを向いても、映るのは自分の姿。あなたが他人に見せるのと同じ態度を、他人もあなたに見せる。肉体に関するあなたの考えかたが、健康習慣や外見に反映される。人間関係に関する考えかたが、友人や家族とのつき合いかたに反映される。成功や富に関する考えかたは、仕事や物質面での収穫に反映される。心の奥底にひそむ考えが、そのまま表われているのだ」

 ということでこの本ではお金持ちの習慣をマスターするようなプログラムが組まれているわけだ。いまいちな本だった気もするが、自己啓発の前向きな言葉のシャワーはすこしでも浴びたほうが得というものである。著者のいうとおり、自分の考えかたが、自分や人生を決めるのだから。

 さいごに「他人とうまくつき合うための習慣」の章から。
 「自尊心を満足させ、ひとかどの人物として扱ってくれる人の言動に、自己愛と誇りをかきたてられ、幸せな気分になれる。あなたの務めは、話し相手に、価値あるたいせつな人物だという自覚を与える「対人関係のエキスパート」になることだ。あなたはどこへ行っても歓迎されるだろう。みなに敬愛され、とりまかれるだろう」

 「不幸というものは、大部分が、過去のネガティブな体験を乗り越えられないところからきている。まるで炎に薪をくべるように、大事に燃やし続けているのだ」。だから赦して水に流すことがたいせつであるという。

 「ぼくは絶対に恨みを抱え込まないんだ。だって、こっちが恨みを抱いているというのに、あっちは踊っているんだよ!」。この対象も赦すことが重要なのである。

 「四番目に赦すのは、あなた自身だ。過去の意地悪な行為、無意味な行為、浅はかな行為、馬鹿げた行為、残酷な行為について、自分を責め続ける人がいかに多いことか。自分自身を赦して、過去を水に流そう」

1年で10億つくる!不動産投資の破壊的成功法 ミリオネア・マインド 大金持ちになれる人―お金を引き寄せる「富裕の法則」 あなたの「最高」をひきだす方法 こころの習慣365日 すごい考え方 富を手にする「ただひとつ」の法則
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08 13
2006

書評 ビジネス書

『21世紀版 スピリチュアル・マネー』 スチュワート・ワイルド


21世紀版 スピリチュアル・マネー
スチュワート・ワイルド

21世紀版 スピリチュアル・マネー

 精神世界のお金の本を読みたくなったのは、なにかお金に関して道徳的な話が聞けると思ったからだ。お金儲けを悪くて貪欲なものと一面的に決めつけるのではなく、利他的で人の役に立つものというポジティヴな面を教えてほしかったからだと思う。私は自分に欠けているであろう人のために生きる喜びを教えてもらいたかったのだと思う。

 そういう面ではこの本は期待はずれだった。この著者の行動やすすめる行動を読んでいると、とんでもない人だなとか、人に誤解されるだろうという箇所に多く出会った。身近にこんな人はいてほしくないという感じだった。信用がガタ落ちだから、よい言葉や内容もあるのだが、どうも素直に受け入れられない。たとえば自分の会社の社員にかがり火の上を歩かせ、そのくらいできないようでは客の無理な注文にも応えられないという。ほかに選択の余地がない社員にビジネスとしてこんなことは要求してならないだろう。

 それでも赤線をひいたり、ドッグイヤー=角を折ったりした箇所もあるので、いちおう抜き書き。豊かさの尺度はお金の量でなくて、感情の問題、他人に認められたいと願うのは自分で自分を認めるやりかたを知らないからだ、安い見返りを期待すると安っぽいやつと見なされるから値段は高く設定しろ、世間のニーズと業者のやりそこねていることをあなたのサービスに活かせ、あなたの心は親友であり敵――自分の可能性を限定し、低めに評価する、大金持ちになるにはそうとうハードでありのんびりできない覚悟はあるか、などである。

 本の表紙に「伝説のマネーバイブル」と印刷されているが、すくなくとも私には道徳的なスピリチュアの教えが欠けているように思われる本であった。


サイレント・パワー―静かなるカリスマ これ一冊で手に入れる!「お金」と「本当の豊かさ」 BASHAR(バシャール) 2006  バシャールが語る魂のブループリント スピリチュアル・マーケティング お金持ちの法則「豊かさは、与えたものに比例する」
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08 30
2006

書評 ビジネス書

『図解「儲け」のカラクリ』 インタービジョン21


図解「儲け」のカラクリ―知っておきたい、お金情報103
インタービジョン21

図解「儲け」のカラクリ―知っておきたい、お金情報103

 私は商売や仕事をお金の面から捉えることがあまりない。仕事を会社から与えられて、こなすものとしか考えていない。お金の計算がない。儲けや利益の面から捉える視点ももたなければ。ということでこの本。

 ラーメンやハンバーガーの原価がいくらで、利益がどのくらいだとか、コンビニやファミレスの売り上げがどのくらいだとか、知っているようで知らない商売の儲けが読める本である。

 たとえば聞いたことがある人もいると思うが、コーヒー一杯400円だとすると、豆や砂糖などの原価は80円で、利益は320円である。儲けばかりではなくて、そこには高い家賃などがつくのである。たばこが250円だとすると、140円ほどは税金で、税金を吸っているようなものだ。あとは製造コストや販売コスト、流通マージンがつき、利益は13円。

 コンビニの月間売り上げは約1800万ほど、セルビデオ店は320万円、宅配ピザ店は700万円、マンガ喫茶店は300万などの平均的な数字があげられている。そこから家賃や人件費などが引かれ、利益がのこるのである。自販機は売り上げの10~15%のマージンをうけとれ、一日30本売れるとすると、年間20万ほどの儲けになるそうである。

 私はお金の計算をする仕事にかかわっていないが、仕事や商売をこういうお金の計算から見る必要は、どんな業種でもあると思うのである。でないとインセンティヴが儲けや利益でない部分に行きがちな気がするのである。


図解 「儲け」のカラクリ―知って得する原価の秘密! 図解「儲け」のカラクリ〈2〉「こんなアイデアがあったのか!」編 図解「階級(ランク)」のカラクリ―警察官・僧侶・北朝鮮幹部から、ワイン・宝石・マグロまで格付けの秘密 モノの原価がまるごとわかる!―得するウラ情報の最新版! 図解 業界地図が一目でわかる本
by G-Tools
07 16
2007

書評 ビジネス書

『逆に考える」人が成功する』 轡田 隆史【監修】


4415070167.jpg 「逆に考える」人が成功する
轡田 隆史【監修】 (2003/02)
成美堂出版
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 なかなかいい本であった。「逆に考える」というのは一般通念の発想を逆にしてしまうことで、たしかにみんなと同じ発想をしているだけでは人の後をついてゆくだけになってしまうだろう。新しいことも、成功も、なにひとつ生み出せない。

 もうひとつの逆転思考の効用としては、常識や自明性という固い思い込みを蹴飛ばせることである。けっきょく、「絶対」や「岩盤」のような揺るぎない常識があると思い込むと、すべてのことに足を絡みとられてしまう。多くの人はこの思考のワンパターンのくりかえしだけだと思う。思考の機械に釘づけられてしまうのである。同じところに拘束された人生がのこるだけである。

 この本はおもに経営者の逆転の思考が紹介されていて、実例の人生があげられているから、理解も早い。私はあまり経営者をリスペクトするような発想法はそんなに好きではないのだが、かれらはたしかに常人ではない発想法や行動をするものである。成功や偉業の秘訣である。

 章立てとしては、「安定を嫌え」「名を残そうと思うな」「時流を読むな、時流に乗るな」「自分をもっと教師にしろ」「発想は盗まれて価値が出る」「常識がないから自由がある」「自分を迷子にせよ」「悪評を無視せよ」「野心をもつな」「すべてが金で買えると思え」「自分のために金を使うな」「社員に教育などムダだ」「理想を低くもて」「理解されることを求めるな」などであるが、いかにわれわれが常識を絶対に疑うものではないという強固な思い込みをもっているかわかるというものである。

「人間の可能性の限界は、その人の空想力の限界である」――セコム創業者 飯田亮

「他人から吸収することで学んでばかりいると、自分からは積極的にものごとを考えなくなる。これは非情に危険なことだ」――味の素開発者 池田菊苗

 他人に厳しく、そして軋轢に耐え続けるという意味で自分にも過酷な状態を強いる姿勢が、彼(カラヤン)を世界一有名な指揮者にしたのである。

「人は興奮した時に人生を成功させるものです」――クライスラー創業者 クライスラー

 丸い風呂桶の中で自分のほうへ湯をかき寄せようとすると、湯は向こうへ逃げてしまう。逆に湯を押しやると、風呂桶の壁面に沿って湯はぐるりと回り、自分のほうへ帰ってくる。金もこれと同じだ。まず、自分の利益より客や社会の利益を考えろ、ということだ。

「勇者とは怖れを知らない人間ではない。怖れを克服する人間のことなのだ」――ネルソン・マンデラ

 それにしてもこの本はいいことを書いているのにライターの名前がひとつも出てこない。監修者ってチェックするだけなんでしょ。うかばれないな。。

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うえしん

Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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