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05 11
2013

書評 ビジネス書

事業計画を自分にあてはめる―『会社を替えても、あなたは変わらない』 海老根智仁

4334034497会社を替えても、あなたは変わらない (光文社新書)
海老根智仁
光文社 2008-04-17

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 転職グセにはまっているような人になにが違うのか考えさせる本。会社の事業計画を個人にあてはめて考えてみようという内容である。経営コンサルタントとかこういう考えをしそうだね。

 まあ赤線もひかず、ふかく感銘もうけなかった本なのでさらりと流そう。

「事業ドメインの三要素を覚えていますでしょうか。自社がターゲットとする「市場(顧客)」、その市場の顧客の「ニーズ」、自社の強み、この三点セットを相互に合致するように設定すること、それが事業ドメインでしたね。

では、人が、「人材」という市場で勝ち抜いていくための条件はなんでしょう? 会社と同じです。

すなわち、環境に気を配りながら、自分がターゲットとする「市場」、その市場の「ニーズ」、自分自身の「強み」の三点セットを、うまくかみ合うように設定して、最高のパフォーマンスを発揮すること



 会社の事業計画の考え方こそ個人の職業戦略にあてはめてみようということ。

「「この会社のなかでの自分の目標は…」といった狭い枠組みではなく、あらゆる職種、あらゆる分野を想定して、自分が戦いたい市場を設定し、自分の強みとその市場で求められる条件が合致するかどうかを、とことん考える必要があるのです。

自分の強みと市場のニーズがぴったり合致していると判断できれば、そこが自分の成長の基盤となります。そうしてはじめて、ではどんな会社があるのだろうか、どの会社がいいのだろうか、と”会社選び"をすることになります。

つまり、自分の強みを実現するフィールドとして会社選びをするのであって、会社選びをしてから、そこで自分の強みは生かせるのだろうとか考えるのは順番が間違っているということなのです」



 まあね、自分の強みを軸に考えなければいけないということね。ふつうは会社とか市場ありきかもしれないけどね。

「転職というのは、目標を持っていない人が、会社に自分ドメインを教えてもらおうと思ってする依存行為です。

自分で目標さえも立てられない、つまり、自分で自分ドメインを設定できない人が、会社を替えることによって、「この会社、私に合っているわ」とか、「この仕事、前よりいいみたい」と感じ、それがとりあえずいまの自分の自分ドメインなんだと錯覚する――――転職という行為の実態がここにあります」



 外側にいいものをさがす行為は自分をなんたるかをしっかりとわかっていないからだという指摘。

「彼いわく、ブラジルでは、十八歳になれば基本的に「大人」とみなされるので、みなその年齢には自立している。自立するとは、自分に自信を持ち、自分で決めて自分で行動すること。彼はサッカー選手の道に進んだので、サッカー選手としての自分に自信と誇りを持っている。

彼は、日本のチームに来てびっくりしたといいます。

自分と同じ年くらいの若い選手が、プロとして第一線でプレーしているにもかかわらず、自分のサッカーに自信がないという、その様子にまず驚いたそうです。

ベテランプレーヤーから教えてもらうことを鵜呑みにして、すぐにやってみるのだがうまくいかない、そしてまた自信を失う…。

ブラジルでは、若い選手だろうと、グランドに出ればプロはプロ。ベテランからいろいろアドバイスされても、あなたに教えてもらわなくても自分のサッカーは自分で考えますというくらいの気概で、突っぱねるのがふつうだと、彼はいいます」



 集団の序列の中でいつまでも主体性をもてない日本人という批判。頭と足の工場型集団観が日本人をずっと抑えつづけているのかもしれないね。


エンゼルバンク公式副読本 「売れ残る時代」の転職術──あなたの価値は「相場」で決まるエンゼルバンク公式副読本 会社に左右されない仕事術──仕事は「自由」を獲得するゲーム自分に適した仕事がないと思ったら読む本―落ちこぼれの就職・転職術 (幻冬舎新書)それでも仕事は「好き!」で選べ (Nanaブックス)ビジネスパーソンのための自分プロデュース術 転職に役立つ「自分の強み」の作り方、活かし方

03 20
2013

書評 ビジネス書

欠点ばかり見ていてもね――『「ハッタリ」力』 小林 昌平 大石 太郎 小峯 隆生

4062725614「ハッタリ」力
  30歳からでも間に合う人生再起動の教科書 (講談社プラスアルファ新書)

小林 昌平 大石 太郎 小峯 隆生
講談社 2009-03-19

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 「ハッタリ力」というのは自分を売る力、自分の長所を見せる方法といってもいいだろうね。謙遜や謙譲が尊ばれる日本ではほうっておいたら自分の欠点や短所ばかり見つめてしまい、しまいにはそういう人生しか送れなくなる。だから自分のポジティブな面を見つけることはたいせつだろうね。

 「サラリーマンの仕事のほとんどは、他人とのかかわり合いでできていて、眼前にいる採用担当者や上司やクライアントに、認められるか、認めないか? の連続だ。その僅かな、しかし結果的には大きな違いは、あなたの言葉がウソか本当か、本心から出たか偽りから出たかわからないように演じ、自分の能力を何倍にも見せて説き伏せ、信任させたりする「ハッタリ」の能力の差なのだ」

 未来の結果なんでだれにもわからない。せいぜい過去の業績や結果、それとだれかの言葉に賭けるしかない。未来というのは空想であり、ギャンブルであり、だれにとっても不確実な賭けでしかない。だから「ハッタリ力」というものは必要だ。「自分はダメだ、できない」と思っているとだれも救い出してくれないばかりか、「自己成就」してしまうだろうね。

 この本では七人の人物がとりあげられているのだが、ハッタリ力では白洲次郎や岡本太郎がいちばん当てはまるだろうけど、ほかの人たちはハッタリに当てはまるかどうか。ほかに開高健、伊丹十三、小渕恵三、黒澤明、司馬遼太郎がとりあげられている。コラムニスト、ライターが書いた雑誌系の軽い文章には失笑を買うのだが、まあスルーしよう。

 白洲次郎はマッカーサーを恫喝したエピソードが有名なのだが、アメリカ人の弱いところを知っていたという。移民の国であるアメリカ人はイギリスの伝統文化に強い憧れと劣等感をいだいていた。白洲次郎はイギリスのケンブリッジ大学出身だから、この弱点をついたという。アメリカに進出する日本人ミュージシャンが失敗するのは、日本人自身の憧れと劣等感しか見ていないかもしれないね。

 伊丹十三はバイクにこっていたが、テレビ番組をバイクだけつくるのはムリだから、桜の最前線をバイクで追うという企画を生み出したという。

 「「バイク好き」の独りよがりにならず、「桜」という一般人誰もが知っている見たいものと結び付けて、「売り力」を増して、「受け力」で得た膨大な情報の中から、「他の人があまり知らないこと」を選び出して、あっと言わせる」

 この戦略、自分の好きなもの得意なものと一般性を結びつけるワザは経営戦略でも説かれる方法だね。ちきりんはこういう戦略はもう古い、消費者は人の強みなどだれもほしがっていないと否定したのだけどね。

 岡本太郎はまさにハッタリでい生きた人だと思うのだけど、1930年にマルセル・モースに学び、バタイユらと親交があったというのはすごいね。

 「頭が悪かろうが、面がまずかろうが、財産がなかろうが、それが自分なんだ。それは『絶対』なんだ」

 「自分を大事にするのではなく、己をつきとばすことで、運命をきりひらくんだ」 『自分の中に毒を持て』

 岡本太郎の「芸術はバクハツだ」を小学校時代に見ていたわたしはこのこけら脅しの芸術家はダメだと思っていたのだが、ドラマになったりしてこの評価を見直すべきなのかな。

 「人間、思いあがらずになにができましょうか。(中略)才あるものは思いあがってこそ、十の力を十二にも発揮することができ、膂力ある者はわが力優れりと思えばこそ、ハラの底から力がわきあがってくるものでござります」

 司馬遼太郎の『国盗り物語』の言葉だ。

 「水木しげるという漫画家がいる。売れない時期は戦争体験に基づくまじめな漫画ばかり描いていたという。がある時、気づく。作者が悲壮ぶっても読者にはどうでもいいことで、ウソでもいいから単純に面白がりたいだけなのだと。そのことがわかってから、漫画が売れはじめた」

 数時間であっさり読めてしまう新書であったが、この本を読んだあと、作家はどのように売れるキッカケや読者の視点を得るにいたったのかといった作家のエピソード集があったなら読みたいと思った。そんなふうにまとめたアンソロジーっぽい本はあるのかな。

 下記に類書をならべてみてあざとさ、作為性にちょっとうんざりしたのだが、そもそも素朴とか本心から出た自分などというのは神話か、作為に気づかない無知かもしれないね。自分というのは意識するにせよ、無意識にせよ、すべて「つくりだされた」ものじゃないのかな。そういう無意識につくられた自分に縛られて身動きがとれなくなっているのが「いまの自分」かもしれないね。


▼類書はこういう本になるのかな。
自分を「売る」力―斎藤流トレーニング (講談社プラスアルファ文庫)頭がいい人の「自分を高く売る」技術 (角川Oneテーマ21)今日からでもできる! 自分を10倍高く売る人の小さな習慣自分を高く売るための心理法則―不安が自信に変わるとっておきの知恵キャリアアップ力―自分を高く売る仕事のスタイルを創造する!

自己プロデュース力自己プロデュース40の方法―自分に勝つ、他人に勝つ (講談社ニューハードカバー)セルフブランディング―ソーシャルメディアでライバルに差をつけろ!自分ブランドの教科書自分ブランドの創り方―個人がブランドとなる時代がきた

パーソナル・マーケティング売れる小説の書き方 (エンジン01選書)ミリオンセラー作家だけが知っている「売れる本」の仕掛け方 ~ 『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』はこうして160万部のベストセラーになった~電子書籍を無名でも100万部売る方法ウケる技術 (新潮文庫)


03 14
2013

書評 ビジネス書

スキルアップ教を切る!―『なぜ、勉強しても出世できないのか?』  佐藤 留美

4797371161なぜ、勉強しても出世できないのか?
 いま求められる「脱スキル」の仕事術 (ソフトバンク新書)

佐藤 留美
ソフトバンククリエイティブ 2012-10-18

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 かなり手厳しい。著者はスキルアップを煽った記事を書きまくっていたライターで、その狂騒の片棒をかついだ非を悔いる気もちがあるといい、返す刀でばったばった切りまくる。

 わたしは人の努力や向上欲をすべて奪っていいのかという気もちがあるし、著者はいまの現場でがんばることが大切だと説くのだが、スキルアップに励んだ人たちはそこの危機や不満から脱出しようともがいていた人たちではなかったのか。もとの穴ぐらに蹴り戻して解決するのものかと思ってしまうのだが。ともあれ「青い鳥」症候群とおなじ構造だね。

 自己啓発やスキルアップを批判したり、検証する動きもだいぶ出てきたのだが、こういうもうひとつの視点というのはもつ必要があると思う。なにごとにもそれに溺れない批判的視点はもっておきたいものだ。

 著者の言い分をいくつかかいつまんでゆこう。

 スキルは必ずコモディティ化するといっている。資格とかスクールというのは供給と需要の関係を無視したサービスが横行している。供給がふえれば需要が足りなくなるのは自明の理なのに、教える商売は供給者をふやす一辺倒。

 「国は、弁護士、会計士をボロボロにした次は、開業医を狙い撃ちですからね」

 弁護士が足りないとかいって国はふやしていたけど、少ない客をめぐって奪い合いになり、年間40万の弁護士登録料をはらえずに資格を返上した人までいるという。大学院をふやしてワープアをあふれさせた構造とおなじだね。

 「キャリアアップするには、勉強そのものより、次に何が来るかを読み、リスクを取って行動する勇気のようなもののほうが重要なのである」。著者のいちばんの主張はこのようなことだろう。

 「本当にビジネスで役に立つ実務能力は、会社の中、あるいは仕事を通してしか学ぶことはできないのだ」。勉強というのは逃げかもしれないということを著者はつきつける。

 「実際に顧客がいて、失敗すれば顧客が金銭的にも不利益を被り、上司からも怒られる、といったヒリヒリするような臨場感がないと、本気でものを学べない」

 「勉強やボランティアは、「やること」自体に意義があるから、たとえ失敗しても誰からも責められない。つまり、ノーリスクなのだ」。学ぶことはこういうラクさがたしかにあるね。勉強は顧客の責務から逃れさせてくれるから一服の避難場所の安息をあたえてくれるという癒しもあるのでしょうね。その効用まで奪うのはなんとも、とも思わなくはないが、崖まで追いつめるのがほんとうの仕事といいたいのでしょうね。

 ビジネス書の著者というのは、「会社組織に対する恨みが強いため、読者にやたら自立した生き方を説き、どこかでサラリーマンを小馬鹿にした物言いをしがちだ」。これは頭の隅においておきたいことだね。

 スクール講師については、「彼らは、教える立場に立つことで自尊心を保ちたい人なのである。…先生の自尊心を守ってあげる必要があるだろうか」と手厳しい。教えるとか勉強するというのは、厳しいビジネスからの一種の逃避という冷厳な目も必要なのかもしれませんね。

 著者はかなりの数のインタビュー経験があるようなのだが、「偉そうなタイプに遭遇してしまうのは、平社員からマネジャー(係長、課長)クラスまでで、それ以上の部長クラス、ましてや、社長でふんぞり返ったタイプにはあまりお目に掛かったことがない」といっている。上の人は偉そうなイメージがあるのだが、物腰のひくい人が多いというのはよく聞くね。

 SNSについては「人は忙し自慢、病気自慢など自虐的な話題を含めて、人の話など、さして興味もないし、聞きたくもない。論客でもあるまいに、社会現象や政治などについて素人の自説なども、ほとんどの人は興味がない」と手厳しい。ひとつの意見として拝聴しよう。

 著者のいいたいことはさいごにまとめられている。「抽象的で曖昧な能力やお勉強は、いざというときに、何の役にも立ってはくれないということだ。自分の味方になって助けてくれるのは、今自分のいる場所で、今自分が持っている、具体的なものでしかないのだ」


▼批判というものは必要ですね。
ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書)なぜ、ビジネス書を読んでも「仕事ができる人」になれないのか?―逆転発想で効率的に成果を上げる勉強術「意識高い系」という病~ソーシャル時代にはびこるバカヤロー (ベスト新書)自己啓発の時代: 「自己」の文化社会学的探究ポジティブ病の国、アメリカ

10 10
2012

書評 ビジネス書

2015年に大転換期―『2022―これから10年、活躍できる人の条件』 神田 昌典

45697976012022―これから10年、活躍できる人の条件 (PHPビジネス新書)
神田 昌典
PHP研究所 2012-01-19

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 2015年に明治維新や終戦のような大転換期がくると煽っているのだが、根拠がサイクル論だから踊れないな。

 わたしは稲村博の80年周期説は知っているが、この人はなんで70年周期説なんだろ。80年周期説ではカタスロフが2025年になるが、70年周期説では十年早められて2015年、あと三年だ。大変革には社会がリシャフルされる。

・英雄が、戦犯になる
・出世街道にいた人たちが、職を失う
・輝いていた職業が、軽蔑されるようになる



 戦前は軍人が英雄で尊敬されていたが、敗戦後には戦犯になり、極悪人になった。そのような大転換が2015年にやってくると煽る。でもあと三年でどうしてもそんな大転換がくる雰囲気に思えない。

 2015年には圧倒的な欠落を知ることになるという。戦後、圧倒的な食料や物質の欠乏を感じたように。新しい価値観はそこから生まれることになる。「2015年には、私たちは、何にもないことを知ることになる」。あと三年でなんでもあると思われている時代に急にそんなことを感じることができるだろうか。

 景気は46歳から50歳の人口の増減によって決まるというハリー・デント・ジュニア氏の説がひかれている。バブル崩壊は団塊世代の消費のピークをこえたからだという。これから第二の人口ボリューム、団塊ジュニアがその年代にさしかかるから、あと十年は手堅いといわれている。

 会社も2024年にはなくなるのだってね。根拠は商品サイクルの理論から商品は導入期、成長期、成熟期をへていずれ終わる。会社というコンセプトもいずれそのような循環をへるということだ。会社の寿命も1970年には五十年あったものが、いまでは十年だ。会社という概念はもう寿命を迎えたのだろうか。

 会社では社員が育たない、無から有を生み出す経験をつめないというのはまったくそうだろう。

 どうすればいいかのアドバイスで、優秀な人材が集まる場所の空気を吸えといわれている。そういう人とじかに出会えば、自分のセルフ・イメージが上がる。これはなんとなくそうかもね。

 著者は外務省をへた日本一のマーケッターといわれる経営コンサルタントだそう。ベンチャー起業家のイメージがあったが。年をくったわたしはこの本の扇情には踊れないな。


10年後に食える仕事、食えない仕事 あなたの会社が90日で儲かる!―感情マーケティングでお客をつかむ 成功者の告白 (講談社プラスアルファ文庫) 全脳思考 神田昌典の英語の近道
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08 15
2012

書評 ビジネス書

お金持ちは環境に育て上げられる―『お金持ちのお金はなぜなくならないの? 』 宮本 弘之

4840135363お金持ちのお金はなぜなくならないの?
宮本 弘之
メディアファクトリー 2010-10-21

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 お金持ちはどんな人たちかと知っておくだけでも、お金を稼ぐなんらかの資質をつけくわえるだろう。

 長くつづくお金持ちは経済の変動をもろにうけるので、経済をわがことのように捉える習慣がつくられるらしい。同級生にもお金持ちの子息がおおい学校にいき、財産や事業をひきつぐことをうけいれ、資産家としての自覚が高まってゆく。

 友だちと遊びに行っても事業の話がぽろりと出てきて、そういう環境のなかで「無形の財産」をつちかってゆくことがお金持ちの強みなのである。

 代々続く金持ちは事業オーナーであることが多く、その子どもは小さいときから店舗を見て回ったり、地元の経済界のつきあいに同席したりする。子どものときからこういう実体験としての経営者感覚というのが身についてゆくのである。

 終戦後、多くの財産をもつ金持ちを対象に最低25%、最高90%の税金をかけられて財産没収のような目に会うことも多く、農地改革やハイパーインフレなどで没落する金持ちはたくさんいたということだ。

 84年度の高額納税者の上位一千名のうち、10年後の94年度に残っていた割合は10,6%、20年後の04年度には5,6%にすぎないということだ。お金持ちはいかに変動したり、没落したり、凋落の激しいものなのかわかる数字である。

 銀行にお金を借りるのであっても、株を担保に借りていると経済危機で株価が何分の一かになると、貸し過ぎの状態になり、そういう危機的なときにかぎって銀行は追加の担保差し入れや借金の返済を迫る。不動産を売ろうにもそのときには土地価格も底値で売れない。金持ちの苦労もそうとうのものである。

 景気が悪くなると金持ちは億単位の資産をうしなうこともある。10億の元手で50億のマンションを購入したばあいでも、家賃収入がなくなり、40億の借金だけが残ってしまうことになりかねない。ピンチの大きさもケタ違いなのである。

 でも何億も銀行にお金をあずけていると銀行のほうから自宅にきてくれるそうですね。また銀行のセミナーではおおぜいの聴衆に講演した後、その講師が自宅でマンツーマンで同じ内容をレクチャーしてくれたりするそうですね。

 お金持ちはビジネスを「親友と同じ関係」と捉えているそうですね。打算や駆け引きに長けることより、信頼や誠実さをいかに大切にしているかということなのである。

 お金持ちというのは育った環境、ふだんの環境がふつうの人と違うのでしょうね。そういう目に見えない「無形の財産」がたくさんある。そういうのを「文化資本」といい、たくさん抱えもっているのでしょうね。環境によって生える樹や草花は違っていて、そういう土壌や雰囲気がいかに大切かわかる本でした。お金持ちはお金持ちに育て上げられる。


働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書) FBI式 人の心を操る技術 (メディアファクトリー新書) なぜ人は砂漠で溺死するのか? (メディアファクトリー新書) 世界のプライベート・バンキング [入門] 富裕層の財布―誰も知らないお金の使い方
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08 11
2012

書評 ビジネス書

納得するカラクリ―『「即戦力」に頼る会社は必ずダメになる』 松本 順市

4344981464「即戦力」に頼る会社は必ずダメになる (幻冬舎新書)
松本 順市
幻冬舎 2009-09

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 なかなかおもしろかったのではないかな。

 転職で経験者ばかり募集している企業ばかりだから、その理由をさぐれないかなと思って読んでみた。

 まあ、この本は「歩合給」や「ノルマ」「競争」を導入する会社がなぜダメになるのか説得力のある説明をしてくれる。こういうカラクリを理解すると、企業組織の評価のしかたにひとつの見方を得ることができる。

 歩合給の社員は孤立し、思ったような成果をあげられない。なぜならすべての社員は個人事業主のように仕事をして、おたがいに協力することもなく、組織の一員である意識もないからだ。

 歩合給社員はだれかに指導してもらって高い成果をあげられるようになったわけではなく、マネージャーや役職になんのメリットも感じない。組織は教えるとか、助けるの協力体制をもちえず、ばらばらになる。

 給料の多さで転職する人も転職回数が多くなるといわれている。職場で問題が発生すると、解決するよりまず転職を考えるようになる。その問題解決の能力や成長こそが、仕事に求められているものなのだが。

 中途採用している会社の経営者は口をそろえていうそうである。「面接時に聞いたとおりに仕事ができる人はまずいない」。その確率は10%以下だという。

 定着率の低い会社は、求人広告にかける募集費が、ほかの社員の人件費を圧迫して給料が減ることになる。給料が払われるパイの元となる会社の業績をなんら増やしているわけではないからだ。

 「ノルマ」や「競争」、「残業」も会社の成長を止めるといわれている。

 目標管理は上場企業の八割が導入しているという。でも達成率で評価されるなら、低い目標のほうが有利になる。

 競争が会社の成長を止めるのは、優秀な社員は評価されるのはダメ社員がいるからこそだと知っている。ほかの人の成長を助けるより、妨げるほうが自分の評価を上げることになるという皮肉な結果になってしまう。

 この著者は成果主義を自分の成果だけを優先した結果、自分の力も組織の力も落としたと見る。組織の協力や教えあっても安全だという意識をなくして、組織をばらばらにするからだという。

 その理由やカラクリはひじょうに納得できた。ただ年功序列や終身雇用の企業がほんとうにいいのかという安易な直結には進みたくないというばくぜんとした気持ちはのこるのだが。

 残業が多い会社が儲からない理由も、おトクな説明を聞いた。残業は25%の割増料金を払っているのだから、その分だけ生産性を上げられているのか。たんに同じ条件を延長しているだけではないのか。

 また仕事が20%増えたからといって、仕事をする時間も20%増えただけなら、なんら工夫もないことになるといっている。

 ただ漫然と残業した部下を評価する風土ができあがると、会社は割増料金の損金をずっと出しつづけることになる。残業を防ぐためのいい論理を聞いた。

 かくして著者は後輩に安心して教えたり、協力し合う年功序列型の会社を評価することになる。組織を成長させるのはそのような社員同士の協調や協力だったというのである。カラクリには納得するのだけど、この結論には違和感が残る部分である。

 資格については「足の裏の米粒」といわれている。「とった」としても、食べることはできないからだ。

 顧客が求めているのは資格をもっていることではなくて、自社の問題を解決して、元気にしてくれる知恵と力だ。そうした問題解決能力というのは資格で得られるのではなく、目の前の組織の問題を解決することで身につけるものだという。

 問題を解決することによって、人は成長し、強くなってゆくのである。

 なかなか納得できるカラクリを教えてくれて組織に生かせそうな論理を教えてくれる本なのだが、年功序列、終身雇用のような組織を礼賛するようなカタチは情緒的に防御感が残ったなという本だった。


上司はなぜ部下が辞めるまで気づかないのか? (Nanaブックス) 30日でつくれる人事制度、だから業績向上が実現できる―成果主義人事制度をつくる こんな上司が部下を追いつめる―産業医のファイルから (文春文庫) 過働社会ニッポン―長時間労働大国の実態に迫る (日経ビジネス人文庫) 職場いじめ―あなたの上司はなぜキレる (平凡社新書)
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05 09
2012

書評 ビジネス書

知識社会の予言書だったのだけど/『パワーシフト』 アルビン・トフラー

51lk0X8PaHL__SL500_AA300_.jpgパワーシフト―21世紀へと変容する知識と富と暴力
アルビン トフラー
フジテレビ出版 1991-10

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 情報社会・知識社会を予測したトフラーの著作をいま読み返したら新たな発見があるかもしれないと読み返して見たのだが、ジャーナリスティックなささいな記述が多く、半分くらい読んだところで音をあげてしまった。

 十何年もまえに読んでいまだに気になる記念碑的な本だと思っていたのだが、意外だった。つまらなかった。トフラーの本は経済リポート、産業リポートのようなものをずっと連ねるので、水ぶくれの分が大きすぎるのである。

 そういえばトフラーのこの『パワーシフト』も『第三の波』、『未来の衝撃』(いずれも中公文庫)も絶版になっている。原理的・概要的なものだけを抽出していたら、いつまでも読まれる学問的な本になっていただろうか。それともビジネス書の常として読まれなくなるのは必然だったのか。

 トフラーの著作でいちばん訴えるところは工業労働の不満や怒りを昨日のものにしてしまう情報革命・知識革命の到来を告げた箇所かもしれない。労働者はいっぺんの情報も力もなく、ワイシャツを着た連中に指示され、なにも知らされなかった。情報革命はその奴隷の鎖から解放してくれる福音であったのである。

 情報革命・知識革命はその権力の鎖からわたしたちをほんとうに解放したのだろうか。情報は管理職がもっていた情報による権力を下のものにまで解放され、わたしたちはそのくびきから解き放たれたのだろうか。知識は経営者や資本家といった権力からわれわれを自由にしたのだろうか。われわれはあいかわらず経営者や資本家の奴隷や使役者ではないのか。

 工業社会の労働者はだれとでも交換可能なパーツであった。失業してもほかの仕事を見つければ、かんたんに仕事につくことができた。だが知識をもちいた仕事になるにしたがって交換不能になってゆく。トフラーはそこに知識権力の源泉をみた。知識社会では長期失業がなかなか解決しない理由である。

 管理職の権力は横の部署とつながり、情報を共有することにあるとトフラーはいっている。しかし日本の大企業では同期の新入社員たちをそれに近い横のつながりをもちつづける。はたしてこれは力だったのか、それとも90年ころの世界経済での日本への期待にすぎなかったのか。

 知識が権力をもつと物質にたいする軽蔑と価値下落がおこると文明論的に予測したのは堺屋太一である。『知価革命』(85)において中世の僧侶やキリスト教が権力を持ったような知識社会がやってくるのではないかと大胆に予測した。知識と物質はシーソーのようにその価値をトレードオフされるのである。はたして物質と労働に価値をもった社会はテーブルをひっくりかえしたような知識や清貧が至上にされる時代がほんとうにくるのか。

 トフラーは『第三の波』で工業社会の六つの原則を図式化してみせた。すなわち規格化の原則、専門化の原則、同時化の原則、集中化の原則、極大化の原則、中央集権の原則である。

 工場労働や学校教育ではこの原則が徹底され、われわれの身体・行動は工場労働に適したものにつくりあげられる。知識社会ではその原則が知識創造を阻害したり、破壊したりする。われわれの社会や労働はあいかわらずこの工業社会の原則に縛られ、正しい規律として用いられているのではないだろうか。知識を活かし、知識を用いる社会に適応できているのだろうか。

 トフラーの著作は概要的なことを抜き出せばひじょうに重要なターニング・ポイントをのべているのだが、著作はずいぶんと枝葉末節な経済リポートである。その記述に阻まれて、大事な要点に届かない、あいまいになってしまう欠点があったのではないかと思う。知識社会がすすんだいま、トフラーの著作はもっと魅力的に読めると思ったが、そうではなかった。


富の未来 上巻 The Third Wave: The Classic Study of Tomorrow 君主論 (岩波文庫) イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル (Harvard Business School Press) ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる
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04 28
2012

書評 ビジネス書

五木寛之の本でも読めばよかった―『挫折力』 冨山 和彦

4569791964挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書)
冨山 和彦
PHP研究所 2011-01-19

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 挫折というのはなにをもって挫折というのか定義がむづかしいだろうし、挫折にはヒロイズムのナルシズムがただよっているようで、どうも真に受ける気がしない。

 この著者の方、そうとうの肩書きがずらずらと並んでいて、どうも挫折したように見えないですが。コンサルタントから産業再生機構で名をあげた方のようで、この人、挫折の本を書く資質に値するのかという思いのほうが強かった。以下、本の内容から。

 優等生は「間違いを恐れること」、「嫌われたくない」という思いが年を追うごとに高まってゆく。優等生は強い立場の人の心を読むことにひじょうに長けている。自分を抑えてテストの意図を読むことで正解にたどりついてきた人は発想力や想像力が劣る。

 答えのない問題を考えたり、問題設定を自分で行い、自分なりの答えを創造してゆくことができない。

 危機のときに機能しないリーダーは「解の公式」や「正しい公式」があると思い込んでいる。学者やエコノミスト、ビジネス書に頼る。世の中にそんな「正解」などない。トライ・アンド・エラーで学んでゆくしかない。ああでもない、こうでもないとアイデアを絞りつくしたあとは、覚悟を決めて実行する。

 これらは優等生リーダーの批判によくいわれること。多くの人から同じことを聞かされるとほんまかいな、と疑いたくなってくるね。

 挫折を糧によみがえるためには「敗因分析」が必要なのだが多くの人はこれを苦手としている。いやなことはふりかえりたくないね。それで同じ失敗をなんどもくりかえす。過去の自分を他人だと思うと気楽にできるというのが著者のアドバイス。

 問題や失敗というのは学ばせてくれるというのはたしか。その機会がないとそれについて考えたり、問題を探ろうということにはならない。成功すれば、いちばん学ぶことも反省することもない。

 不幸を癒せるのは不幸を経験した人だけといわれている。順風満帆の人に励まされてもなにもうれしくない。悩みに苦しんだ人ほどその悩みを多く知っているのだろうね。いまは成功した人に学べとなっているが、悩みや困難にもがいていない人に学べるのか。

 何かを失えば、そのぶんだけ身軽になる。こだわりがなくなり、新しいものが得られる。「何かを得るためには、何かを捨てなければならない」。

  たぶんこの本の購入の決め手はリアルな権力との扱い方が描かれていたからだと思うが、権力の源泉はカネとヒトを動かせる力だと単純なことにまとめてしまうあたり、個別の経験と普遍な理論をまとめることに成功してはいないんだと思うが。まあこのエライ人に対してわたしがなにをいっても飛んで火に入る夏の虫だが。

 「挫折力」というのは五木寛之の本でも読んでいたほうがよかったかもしれない。この本の著者、肩書きや立場がすばらしくてぜんぜん挫折の共有ができなくて、つまらなかった。

 ダメ人間やできない人間の挫折や失敗ではない。仏教者や心理学者からの声を読んだほうがよかったかもしれない。この人、ホントに「挫折力」という本を書く資質に値したのか。


IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ (PHPビジネス新書) 会社は頭から腐る―あなたの会社のよりよい未来のために「再生の修羅場からの提言」 カイシャ維新 変革期の資本主義の教科書 「決断できないリーダー」が会社を潰す (PHP文庫) 指一本の執念が勝負を決める
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04 20
2012

書評 ビジネス書

自己実現は仕事の外? 内にある?―『「キャリアアップ」のバカヤロー』 常見 陽平

4062727110「キャリアアップ」のバカヤロー 自己啓発と転職の“罠”にはまらないために (講談社プラスアルファ新書)
常見 陽平
講談社 2011-04-21

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 参考になることやいいことは書かれているのだが、全体になにいっていたのかなとまとめにくいな。「キャリアアップや転職は幻想だ」とか「的外れな自分磨きにハマるな」ということをいっていたのかな。

 キャリアアップにバカヤローといっても、極端にそんなクソくだらないことはやめてニートやフリーターでラクに生きろとこの本はいわないわけで、就活やコンサルタントでメシを食う著者は、けっきょくはスキルアップでないまでも生き残る術を教えるわけで、キャリアアップ本にならざるをえないのがこの本の全体がぼやける理由かな。

 こういう本はニートやフリーターのすすめまでは絶対に書かないわけで、キャリア本やスキルアップ本の同類に収まざるをえないので、社畜やブラック企業、労働至上主義までの問題圏まで射程はとうぜん広がらない。

 まあ、「悪い」キャリアアップに惑わされないで、「真の(笑)」、「ほんもの(笑)」のキャリアアップを目指しましょうという本になるのだろう。ニートや社畜批判からの声にはどう答えるのだろうかと疑問に思うが。

 まあ、この本に期待していたいちばんのトピックは「ビジネス書や自己啓発書を読んで、人は変わることができるのか」という問題あたりになるのだろうか。資格にしろ、いまやっている仕事に生かせない、行動に組み込めない知識や技術は学んでもムダだということである。

 生き残れないかもしれない、企業に求められるのは「神様スペック」といわれるほどの高基準になっている現在、人はビジネス書や自己啓発を読んでみずからを武装してゆこうとしている。勝間和代なんかがその空隙を埋めたわけだが、批判をうけて撃沈していった。

 けっきょくのところ、軍艦が沈んでいる甲板でいくら勉強したところで、多くの人は変われないのではないだろうか。ニートやフリーター、下流の人たちのようにあきらめていまを気楽に楽しんで生きるしかないのだろうか。「ガンバリ系」と「あきらめ系」の衝突の中で、「ガンバリましょう系」に属するのがこの本である。

 自己啓発でがんばっていても仕事ができない人のカン違いは、自己満足になって、顧客が期待していることを理解できていないことがあるのかもしれない。顧客を必要とするものを与えるのが仕事であって、あんがい会社から仕事を与えられると思ってい人は気づかないかもしれない。「顧客の想像以上の価値を与える」ことが仕事がデキるということである。

 「やりたい仕事がしたい」とか「もっとクリエイティブな仕事をしたい」という気もちが強まっているが、これも自己満足であって、顧客はだれも他人の自己満足にお金を払わない。自分の満足があるときにだけお金を払っていいと思う。「やりたい仕事をしたい」という風潮はかなりのところ、的外れじゃないだろうか。

 やりたいことをやって自己実現したいという風潮はニートや下流でラクして生きたいという方向で重なっていて、顧客の満足のために苦労や我慢して便益をあたえるという方向からズレていて、忍耐や苦痛を我慢するという敷居をどんどん下げているだけではないだろうか。仕事の自己実現の考えが、キャリアアップやジョブ・ホッパーなどのいつまでも終わらない向上と不満をもたらすのではないだろうか。

 生き残らなければならないから自己啓発や仕事術の本を読むのだが、自己実現の欲求がそこに重なるとカン違いの的外れの方向につっ走ってしまう。だれも自分の自己実現などに金を払ってくれない。それは金を払ってする趣味である。お客さんの満足を与えてはじめてお金を払ってもらえる。他人の満足に自分の苦痛や忍耐を喜んで払えるのかということが仕事ではないだろうか。

 自己満足や自己実現を仕事以外の生活や趣味に求めたのがニートやフリーターであって、この本では仕事の中にそれを求める方向に走っている。仕事のリア充をめざしていて、外野からは社畜や終身刑だと揶揄される生き方である。

 自己実現は会社や仕事の中にあるのだろうか。それともそんなものは仕事や会社の中にはなくて、あくまでも仕事の外に求めるべきものなんだろうか。

 わたしなんか完全に会社人生からスピンアウトしたのだが、メシを食えない恐れもあるので、会社に自己実現を求めてきた人たちの教えをたれるような本をさいきんはさかんに読み出している。圧倒的に自分との落差・劣位を思い知らされる瞬間である(泣)。

 自己満足や自己実現は仕事や会社の外にあるのだろうか、それとも内に見つけるべきなんだろうか。

 内に見つけようとした人たちがキャリアアップの罠にハマって、顧客の満足を視野から外した自己満足を追ってゆくことになっているのが現状ではないだろうか。「やりたい仕事」、「自分が輝く仕事」にだれがお金を払ってくれるの?



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03 31
2012

書評 ビジネス書

『解決力!』 奈良井 安

narai.jpg解決力!―ビジネス思考力がみるみる身につく本 (成美文庫)
奈良井 安
成美堂出版 2004-06

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 知識の「なぜ」を追求する楽しみにつかってきたけど、「実行力」や「解決力」というのはちっとも身についてこなかったと思うわたし。問題を解決する力をぜひ身につけたいと思っているのでこの本を。

 同じ著者の問題解決の本をまえに読んだことがあり、具体的でないと不満だったが、こちらの本のほうがケース・スタディをあつかっていてより具体的。

 まあ本をいくら読んだところで解決力というのはなんだかつかみどころがないと思った。実践との相乗効果でないとなかなか身につかないのだろうな。ドッグイヤーの箇所からいくつか引用する。

 すぐに解決案を思いつく人は鋭い人に思えるが、注意が必要だといわれている。顕在化している問題の奥には本質的な問題がある。この問題を探り、解決しないとすぐに別の問題が発生する。

 プランやプロジェクトはゴールから発想してみる。山登りだと麓からながめると苦労や不安が先に思いつく。そうではなく、頂上に立った自分を思い描き、そこまでになにをしてきたか思ったほうがいい。

「推理小説は第一ページ目から読み始めるが、ビジネスは違う。最終章を最初に書く。そして、そこに至るのに何をしてきたかを書く」

 自分が納得する説明の仕方を正しいと思ってしまう思考のクセに注意すること。またひとつ気になることがあると、それが頭から離れずにそのことを中心に物事を見てしまう思考のクセにも注意が必要だといわれている。事実の検証が必要。正直、わたしはこういう傾向があると思うので、ほかの視点も必要だな。

 自分たちの枠を超えられなくなってしまっていると思ったら、自分たちの内部の事情を主体に考えているのか、市場や顧客を主体に考えているかチェックすればいい。自分たちの都合でしか考えられていなくて、驚くほど顧客の発想が頭にないという過ちはけっこうありそうですね。

 解決しなかった問題はいつまでも追いかけてくる。困った問題がやってきたということは自分の弱点を克服しなければならない時期になったということ。それだけ自分が成長したということ。

「問題はそれが解ける人の元にしかやってこない」といわれている。いや、ほんと、解決しなかった問題は自分になんども襲ってくるものですね。笑えるほど真実。


世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術マッキンゼー式 世界最強の問題解決テクニック (ソフトバンク文庫)仕事の速い人が使っている 問題解決フレームワーク44

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