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10 11
2004

書評 歴史

『古代史の秘密を握る人たち』 関 裕二


古代史の秘密を握る人たち―封印された「歴史の闇」に迫る
関 裕二

古代史の秘密を握る人たち―封印された「歴史の闇」に迫る

 関西の山登りをしているうちに古代と関わりのある神社や地名と出会うことが多くなり、いつの間にか古代史を知りたいという気持ちになってきた。この本は格好の本であり、古代史に惹きつけるにはもってこいの本だった。おもしろい。

 この本のポイントは独裁権力をもとめる天皇家と、合議制を死守しようとする蘇我氏や物部氏、出雲の対立で古代史を読み解くというもので、この読み方はたいへんにおもしろい。

 『日本書紀』が描こうとした天皇家の正統性と、ほかの豪族との緊迫したやりとりがひじょうに興味をひかれる。おもしろいを連呼したい本である。

消された王権・物部氏の謎―オニの系譜から解く古代史 神武東征の謎―「出雲神話」の裏に隠された真相 継体天皇の謎―古代史最大の秘密を握る大王の正体 大化改新の謎―闇に葬られた衝撃の真相 壬申の乱の謎―古代史最大の争乱の真相
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10 11
2004

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『崇神天皇とヤマトタケル』 神 一行


崇神天皇とヤマトタケル―三王朝交替の謎を暴く
神 一行

崇神天皇とヤマトタケル―三王朝交替の謎を暴く

 三朝交替の説はなかなか興味をひかれる。葛城王朝、三輪王朝、近江王朝と地域の勢力がぶつかりあう緊迫感がおもしろいと思うのだ。地域の勢力は経済や武力、交通の力などの結集を競ったのであり、天皇や個人名が歴史を動かしたと見るような歴史よりよほど真実をあらわしていると思う。いくら権力者といえどもひとりで歴史を動かすことなどできないのだ。この本は神社から歴史を読み解いた点でも好ましいと思う。

消された大王 饒速日(ニギハヤヒ)―記紀の謎を暴く 古代日本の謎 「お伽草子」謎解き紀行―伝説に秘められた古代史の真実 継体天皇の謎―古代史最大の秘密を握る大王の正体 消された王権・物部氏の謎―オニの系譜から解く古代史
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10 11
2004

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『古代出雲王国の謎』 武光 誠


古代出雲王国の謎―邪馬台国以前に存在した“巨大宗教国家”


 出雲は古代の国家生成にどのような役割をはたしたのだろうか。興味ひかれるところだ。しかしこの本は電車内で読んでいたためほかのことに気を削がれたりしてあまり頭に入らなかった。


「古代日本」誕生の謎―大和朝廷から統一国家へ 出雲国風土記 消された王権・物部氏の謎―オニの系譜から解く古代史 封印された邪馬台国 沈黙する女王の鏡―いま大分・日田に蘇る卑弥呼の悲劇 「出雲神話」の真実 封印された日本古代史を解く
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10 11
2004

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『古代七大王国の謎』 中江 克己


4059010839古代七大王国の謎
中江 克己
学習研究社 2001-10

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 古代には各地域に大きな勢力や強い勢力がいくつもあったと思われる。そのような勢力や王国を知らずして国家統一の道は見えてこないだろう。

 日向王国、筑紫王国、吉備王国、出雲王国、越王国、津軽王国、オホーツク王国などのそれぞれの勢力が各地域で権勢をふるっていたことだろう。それは経済や文化や物流の競い合いでもあったはずである。そのような地域の歴史が垣間見れることは楽しいことである。


11 28
2004

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『天皇家はなぜ続いたのか』 梅沢 恵美子


020278840000[1].jpg天皇家はなぜ続いたのか―「日本書紀」に隠された王権成立の謎
梅沢 恵美子
ベストセラーズ 2001-06

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 かなりおもしろい。天皇家誕生にまつわるさまざまな謎をスリリングに解いてゆき、つぎつぎとページをめくらなければ気がすまない推理小説ほどのおもしろさがあった。

 天皇家というのは素朴な疑問として平氏や源氏、豊臣、徳川のような権力者があらわれてもずっと存続し、幕府と権力を二分してこられたというのはずいぶん奇妙な話だと思う。時の権力者はなぜみずから天皇を名のらなかったのだろう?

 著者はその理由は天皇家は祟る存在であったからだといっている。神社に祭られている神は祟る存在であるから鎮められなければならない。原初の天皇がそのような祟る存在であったことを著者はつぎつぎと解いてゆく。天皇のルーツは悲劇に彩られ、呪い、祟る存在として歴史に怖れられなければならなかったのである。

 日本の歴史のはじまりを神社伝承や神社の祭り、浦島伝説、考古学などから解いてゆき、この展開はまったくスリリングであり、説得性があり、鮮やかである。とくに神社伝承や伝説からさまざまな名前の人物が同一人物であることを解いてゆくのは驚きである。

 『古事記』や『日本書紀』が抹殺しようとした歴史は、藤原氏の政敵であった物部氏や蘇我氏といったヤマト建国の豪族たちの活躍を隠蔽することだったようだ。

 古代史しろうとの私としてはさまざまな登場人物が出てくる上、多くの見解や話に飛ぶので頭がこんがらがる部分も多く残ったが、北九州の征伐にむかった神功皇后(=トヨ)がヤマトに裏切られ、死んだのだが、その後疫病や飢饉がつづき、祟るものを鎮めるためにその息子の神武天皇が立てられたということである。天皇は神のように祟り、怖れられる存在だったから長く系譜が維持されたということだ。

 古代史の謎解きとしてはべらぼうにおもしろい本だが、天皇家の存続の謎の部分としてはやはり日本の通史も検討しなければならないだろう。源氏や徳川家などはなぜ天皇をつぶさなかったのか、祟りの伝承だけで守られるなんてことはあるのか疑問がのこる。でも天皇家創立の謎解きは興味が尽きないものである。


12 05
2004

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『日本の古代〈8〉 海人の伝統』 大林 太良


4122026083日本の古代〈8〉海人の伝統
大林 太良
中央公論社 1996-05

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 海人というのはスケールが大きく、全国を股にかけた活動領域から各地に及ぼした歴史の影響を無視できない存在であるので注目しているのだが、この本は興味を魅かれそうだったが、あまりおもしろい本だとはいえず、読むのに手こずってしまった。

 いくつか覚えておきたい箇所としては、安曇や和田の地名は海洋民と関係のある地名だと思われるのだが、信州の山奥にまでその名があるのは海洋民のバイタリティーを感じさせること、日本の地名・氏名・物名を考えるとき、まず発音を元に考えるべきであり、漢字に跳びついてはならない、春秋時代の越の滅亡期に江南の民が日本にやってきたこと、日本にも海上生活者が明治ころまでいたこと、「さかな」のことばは「酒」と「な(副食物)」からできており、日本の酒宴と海産物には切り離しがたい関係があったことがわかる、などである。

12 10
2004

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『日本書紀の読み方』 遠山 美都男 平林 章仁 加藤 謙吉


406149709X日本書紀の読み方
遠山 美都男 平林 章仁 加藤 謙吉
講談社 2004-03-21

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 原典の『日本書紀』を読むために参考にしたいと思った本で、たいしておもしろいわけではなかった。神話にあるスサノオの乱暴はあの世への移行のための儀礼的行為であったこと、古代人にとって雄略朝は歴史の出発点であったことなどはなるほどと感心した。

 さあ、原典を読むぞ。といってももちろん講談社学術文庫の現代語訳だけど。

12 17
2004

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『日本書紀〈上〉』 宇治谷 孟 訳


4061588338日本書紀〈上〉
宇治谷 孟 訳
講談社 1988-06

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 現代語訳であるからつっかえることもなく、読みやすかった。日本最古の歴史書を一度は読んでおくのは悪いことではないと思った。歴史書というよりか、天皇記であり、荒唐無稽な神代記があったりして、社会全体の歴史に視野がおよんでいるわけではないのを残念に思うが。

 この書の私の読み方としては、すでに何冊かの古代史の推理や推論を読んでいるから、その説の確認という意味合いが強かった。でもその推論が正しいかどうかはまったくのところ確認するどころではなくて、ただたんに物語に乗せられて読んだにすぎないというほかないが。

 個人的に気になったのが地名である。私の古代史の興味の出発点は歴史地理であるから、天皇や豪族がどこで活躍し、どこをどうめぐり、どの地点にあらわれたのか、ということを重点的に読んだ。ゆかりのある地名を探っていたわけである。これで歴史史跡めぐりも楽しみがふくらみ、地理勢力の理解も増すというものである。

 神代記というのはまったく理解できない。神の生まれ方も水をそそいだときに生まれたり、煙から生まれたり、剣をがりがり噛んだときに生まれたりして、物として理解したらいいのか、人間として理解したらいいのかかなり不明だった。

 また神の物語の中に天皇や豪族の祖先たちがまぎれこんでいたりして、史実か、由緒の正当化のための架空物語として理解していいのかもよくわからなかった。祖先たちを神格化するなんてこんなのアリかと思うが、古代の日本人たちが霊魂や先祖の神を信じていたりしたのなら、突出した絵空事でないともいえるのかもしれないな。

 天皇や豪族の名前がまたへんてこりんである。地名が読めたりして参考になる部分はありがたいが、この名前は漢字の意味合いからつくられたのか、それともたんに当て字なのか、むずかしいところである。神日本磐余彦天皇(かみやまといわれびこのすめらみこと)、活目入彦五十狭茅天皇(いくめいりびこいさちのすめらみこと)、気長足姫尊(おきながたらしひめのみこと)、端歯別天皇(みつはわけのすめらみこと)、など漢字の意味があるのか、あてずっぽうな当て字なのか、判別しかねる。

 まだまだ私には天皇の名前と行動がなかなか一致しにくいが、九州征伐が後のほうの天皇の話に出てきたのは疑問に思ったこと、最大の天皇陵の仁徳天皇が后の嫉妬に多くを割かれているのは笑えるなと思ったこと、雄略や武烈はなぜ残虐な天皇に描かれなければならなかったのか、などが疑問に残った。

 『日本書紀』は天皇が書かせた歴史書であり、真実が描かれているかはたいへん疑わしいところである。そういう疑問を解いてゆく技量はもちろん私にはない。歴史家の推理に天皇の真実のすがたを探ってもらうほかない。饒速日尊、神武天皇、崇神天皇、神功皇后、継体天皇などが興味の魅かれる人物なのであるが、この『書紀』からはもちろん現代の歴史家が疑うような真実のすがたが読みとれるわけではない。


12 19
2004

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『日本書紀〈下〉』 宇治谷 孟 訳


4061588346日本書紀〈下〉
宇治谷 孟 訳
講談社 1988-08

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 この巻になると天皇よりほかの者の記述が多くなってくるようである。

 この書でおもしろいところは、教科書でしか知らないような歴史が、いにしえの人の言葉や観察で書かれていることであり、リアルさや真実さが重みを増していることである。

 蘇我氏と物部氏の仏教と国つ神の対立、聖徳太子の憲法十七条、蘇我入鹿による山背大兄王の急襲、そして入鹿の暗殺と、かなりリアルな物語が読める。

 圧巻なのは大海人皇子(天武天皇)と大友皇子の政権争いである。吉野から宇陀につき、伊賀にいたるというあたりはかなり迫真を帯びている。

 孝徳天皇の詔(みことのり)はすばらしかった。高貴なる者の責任が感じられる文面である。

 ほかに天文観察や天災、地震、奇妙な獣やあらわれの記述も多く、それを政情にあわせて重ねていたりして、当時の思想や世界観を感じさせるものであった。

 げんざい、私が読んだ数冊の古代史によると、この『日本書紀』の記述はかなり疑われていて、ここに書かれていることとはまったく違う天皇像や歴史像が描かれていたりする。こういう推理や疑惑のほうが古代史を楽しませてくれるわけだが、私の力量不足でこの『日本書紀』からはなかなか真実のすがたを知ることはできないと思った。そのとおりに信じてしまうのである。

 とにかく正史としての『日本書紀』を読んだのだから、推論が大きく広げられている現代歴史書の比較検討もすこしは可能になったわけである。そういう意味でこの『日本書紀』は読む価値があったわけである。


12 21
2004

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『日本の神々―古代人の精神世界』 平野 仁啓


4061456644日本の神々―古代人の精神世界
平野 仁啓
講談社 1982-01

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 神社には古代の天皇や国王が祭られている。そこから古代の権力者や勢力圏を知ることができたりする。そのような見方をすると神社は魅力的に見える。

 しかしその前に日本の神とはひじょうに不思議な存在であり、なにが祭られており、どのような性質が神に値するのか、よくわからないところがある。そもそも神社になにが祭られているかすら多くの日本人は知らないだろうし、なぜその存在が神になったのかもわからず、神社に参拝したりする。奇妙である。

 日本の神々を解くこの本――縄文人の神観念からはじまり、神社の神分析には期待したのだが、失礼だが、なんの結論も見出せないエッセイに終わっているような気がした。日本の神とはやっぱりよくわからないのである。


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Author:うえしん
世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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