大恐慌煽情本、花盛り。
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うえしん
2008年9月のアメリカ金融危機以後、世界の経済はどうなるのかという不安に襲われたと思います。まとまった情報を本で知りたいと思っても、本はすぐに出版されるというわけではありません。そろそろようやく金融危機についての本が出そろってきたという感じですか。
私は金欠のため、いちばん知りたい本を買えないという状況に陥ってますが、いちおう店頭にならんだ本をチェックするという範囲にとどめるしかありません。お金があったら真っ先に買いたいのですが、お金がない者には新しい情報にアクセスする手段がないということですね。いまはネットでニュースや見解が読めますが、やっぱり本のようにまとまった情報にはなかなかたどりつけません。店頭の本を冷やかすしかないですね。貧乏な者にはすべての店はガラスケースで疎外された異物にしか思えないというのが悲しいところですね。
池田信夫はこの経済危機に「大恐慌」と名づけるような本はその時点で信頼に値しないと切り捨てていますが、経済や出版というのは人々の不安や恐怖がいちばん人を強くつなぎとめることも戦略として知っているのでしょう。不安を煽れば煽るほど売れるということです。みなさんは五割ほど割り引いて捉えましょう。
いちおう2008年の9月危機以降に出版された本をあつめてみました。私がこれらの本を読んでみなさんに紹介できたらいいのですが、それはおそらくかなわないでしょう。安い古本で手に入るようでしたらべつでしょうが。それにしてもたくさんの恐慌本が出たものでこの数十年の大恐慌本のバーゲンセールみたいですね。このような恐慌本というのはおそらくは73年のオイルショックあたり以来から出つづけていたのかもしれませんね。ノストラダムス予言本の再来みたいものですが、もちろん今回はその脅威が現実のものになったという裏づけがあるわけですが。
ことしは「派遣村」で年が明けたわけですが、出版もタイムラグをおいて派遣や雇用のあり方をめぐってたくさんの問い直し本が出されることになるのでしょうか。日本の貧困や労働が「可視化」されたということで大きな意義があったと思いますが、願わくば日本の非正規や生き方のポジティヴな転換がおこなわれる年になってしほしいですね。リストラやクビ切りは危機や崩壊でありますが、ポジティヴな「創造的破壊」がともなう起点の年になってほしいですね。
大恐慌は「入門」ですか。藤原直哉なんて不安を煽る効用を知っている確信犯みたいな人なんでしょう。
アメリカ1930年代に起った大恐慌についてはたっぷり知りたいところですね。とくに庶民の生活や人生について。
竹中平蔵とならぶ新自由主義のリーダーだった中谷巌の「転回」はなかなかニュースでしたね。堀紘一サンの本も読みたいですね。
バブル崩壊以後、大恐慌のオオカミ少年だった浅井隆はこの時代にどのように囃し立てるのでしょうか。この人は新興宗教の教祖みたいに完全に恐怖を煽ることの効用と戦略を知ってしまった人なのでしょう。
船井幸雄はどこかの方向に走ってゆきましたが、「そらみたことか」というのでしょうか。
野口悠紀雄の見解なんて読みたいですね。1930年代体制、つまり戦後総動員体制(生産マシーン国家)はどうなってゆくのかと見ているのでしょうか。
グリーンスパンは21世紀の大恐慌をひきおした戦犯とされてゆくのでしょうか。
「第三次世界大戦」まで射程に入れてきましたか。「歴史はくり返すか」といったことやサイクル理論はいまほど慎重にあつかわなければならない時代はないのでしょう。