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07 04
2015

セラピー・自己啓発

明るい気持ちの藁――『あなたは絶対! 運がいい』 浅見 帆帆子



 鬱な気持ちをむりやり明るい気分に引き上げたいという動機がなかったら、たぶん読まなかった本だろう。

 ともかく鬱な気分になったら、地面から一段下の穴からのぞくような心理状態、ものの考え方になる。だから、むりやり気分が明るくなるような本や方法を見つけなければ、その鬱の穴からはい上がることができない。

 お笑い番組を集中的に見て笑うようにしたり、アファーメーション(自己暗示)の音声を聞いて、むりやり気持ちを明るいものにもっていくしかない。

 この本はそういった一環のもがきの中では、比較的、気分が明るく持っていける本ではなかったかと思う。

 本を読むだけで、鬱を打ち消して、すぐに明るい気持ちになるような本はなかなかないのである。気分が明るくなるわたしの手持ちの本といえば、ノーマン・ピールの『積極的考え方の力』くらいである。カーネギーの『道を開ける』はべつに明るくなれるようになる本ではなくて、鬱を防ぐ本である。字面をながめているだけで、明るい気持ちになれる本というのはなかなかないのである。

 この本は明るい気持ち、プラス思考でいれば、どんどんいいことがおこる、ツキすぎるくらいツイていることがおこる、といった本である。悩んだり、マイナス思考でいなければ、信じられないくらい、いいことが連続的におこるという本である。プラス思考は可及的にいいことやツイていることをもたらすといった能天気な考え方がすすめられている。

 プラス思考や引き寄せの法則、願えば叶うといった一連の自己啓発とほぼ同じなのだが、プラス思考の力はそれだけではない、精神のレベルが上がって、信じられないくらいいいこと、運のいいことが奇跡的にやってくるというポイントが、ほかの啓発家と違うといいたいらしい。

 鬱な気分をむりやり引き上げたいという藁にもすがりたい気持ちがなければ、このような本は一顧だにもしなかったと思うが、なにぶん鬱だ。気持ちをはいあげるためには、明るくて楽しくなる言葉の藁にすがりたい。これはわたしにとって明るい気分の藁である。

 ないぶん若干24歳のとんとん調子で生きてこられた女性の能天気な考察にすぎない、不幸や逆境のなかでこのような考え方をいつまでつづけられるのだろうといちまつの不満やねたみを心配しないわけにはいかないわけにはいかないが、ないぶん鬱の落とし穴のようなステージでは、プラス思考、明るい言葉のシャワーをすこしでも当たらないわけにはゆかないのである。

 ずっとプラス思考でいて、悩んだり、落ち込んだりすることはすぐに断ち切ると、あまりにも都合よいことがつぎつぎにおこって、感謝したくなる、運のいいことが連続的におこる。ツキまくると、その精神のレベルやステージも上がるらしい。

 まったく能天気なお花畑な考え方である。だけど疑い深くて、悲観的で、厭世的な人の目とはまったく違ったこのような精神の次元や人がいるのかもしれない。そういった人はほんとうに絶好調で幸運な人生をおくれて、悲観的な人は、不幸つづきの人生をおくってしまうのかもしれない。能天気な人は困難や不幸さえなにごともなく気づかずに素通りしてしてしまうということがあるのかもしれない。

 そう考えて、不幸や困難とまったく無縁に生きる人生もあるとしたら、それはそれでいいじゃないか。


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07 03
2015

セラピー・自己啓発

読んだほうがいい本です――『ザ・シークレット』 ロンダ・バーン

ザ・シークレット
ザ・シークレット
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ロンダ・バーン
角川書店 (2007-10-29)



 おひさしぶりです。いろいろ欝なことがあって、人生への気力が減退していました。

 鬱な気分から回復するためにむりやり気分が明るくなる本をむさぼり読んでいます。そういった本の中で、「引き寄せの法則」のブームをひきおこした原典のこの本を読むことになりました。


 この本を読んだ感想としては、パワーや迫力のあるひきこまれる本であるのはたしかだと思った。願いをあたかも手に入れたかのように思い込むと、ほしいものはなんでも手に入るといういささか奇想天外なこの本は、信憑性と、そういうこともあるかもしれないと思い込ませるにじゅうぶんな迫力をもっている。

 この本を読んで、引き寄せの法則を信じるには損はない、実践してみようかという気になる。バカらしい、ウソっぽいと思われる方でもいちどは読んだほうがいいと思われる本ですね。こういう考え方もあるのだという参考として損になることはない。

 「この「秘密」はいままで隠されていた、知られていなかった」というふれこみなのだけど、じゅうぶんに自己啓発家がいってきたことと同じことをいっており、とくにジョセフ・マーフィーのいっていたことそのままだ。

 マーフィーは「いいことを考えればいいことがおこり、悪いことを考えれば悪いことがおこる」となんでもいってきた。ただ、この「ザ・シークレット」はその因果法則をもっと隠されていたというふれこみで強調し、その重要性をよりいっそうひきだした高度な手法をつかっているということになるだろうか。

 つまりは明るい気分、前向きな気分、楽しい幸福な気持ちといったものをつねに抱きつづけることの重要性、必要性をよりいっそう強調し、強制するための習慣をつくるために、奇想天外ななんでも手に入るといった夢物語で人をひきつける方策をとっているということになるだろうか。

 これは「方便」といっていいかもしれない。前向きや明るい気持ちをつねに保つためのひとつの優れた方策なのである。

 願うこと、ほしいことはすべて手に入る、ただし前向きや明るい気持ちでいることが、その願うものを引き寄せるといった夢物語は、その明るい気持ちをつねに保つことを強制される。そのおかげで、暗くて悲観的な気持ちはいっさい排除されるという習慣がおのづとかたちづくられるということだ。

 よくできたしくみだ。究極のポジティブ本、前向き本である。秘密とほしいものがなんでも手に入るというふたつのしかけによって、ポジティブな気持ちが維持されるしくみを強制される。そのことによって、ネガティブを抱けなくなる。

 人はしぜんにまかせれば、悲観や暗い気持ちばかり抱くようになるものだ。でも「引き寄せの法則」という因果関係を知ることによって、悲観的な思考は悲観的な結果をひきよせてしまうということを知ると、そのような思考ができなくなる。

 この『ザ・シークレット』やジョセフ・マーフィーの自己啓発の狙いはまさにそこだったと思う。悲観を断ち切り、楽観的な気持ちをもつ。その方策がより魅力的なかたちで提示されたのが、この『ザ・シークレット』なのだろう。

 悲観的な落とし穴の場所を知らせ、楽観へと人をいざなう誘導の方法をこの本はあらたに開発したということになるだろう。


 もうひとつ大事なことは、思考や感情が現実をつくるということだ。

 これはこの本がはじめて明らかにしたことではなくて、ナポレオン・ヒルやナイチンゲールといった自己啓発家がいってきたことだ。

 人はその因果をぎゃくに捉えている。現実にひどいことがあるから、気分がひどくなるのだ。そのおかげで現実にひどいことがあると、どこまでもひどい気持ちをひきずらなければならなくなるし、外界を変えなければ気分が変わることはないと思い込む。

 そのぎゃくの思考が現実をつくるという因果関係で捉えると、どうなるだろうか。ひどい出来事やひどい気分は自分がつくりだしていることになる。よい、うれしい気分を先に抱かないと、ひどい出来事から離れられなくなる。この因果関係をぎゃくに捉えることによって、われわれはいい気分の重要性と、切り替えをむりやりおこなう必要性を知るにいたる。

 宇宙に願えばほしいものはなんでも手に入るといった引き寄せの法則は、その因果関係を叩き込むための方策をじゅうぶんに果たすだろう。 引き寄せの法則は明るい楽しい気持ちを保つための強力な「方便」なのである。


 でもね、人はそれでも悲観や不満の心にいつも帰ってしまうというものである。いくら思考が現実をつくる、悲観は悲観的な出来事をひきよせるといわれても、現実の悲観や不満に人はいつもなびいてしまう。

 つらい出来事やいやな出来事がつづけば、いやでも人はそういった気持ちに抗いがたくひきずりこまれる。楽観や楽しい気分を維持するためには強力な誓いや信念をもたなければ、すぐになぎ倒される。わたしもいやというほど、この強力な悲観の力になんどもひきずりこまれた。

 マーフィーでもだめだ。ロンダ・バーンのこの方策でもどこまで効果がつづくのだろう。つくづく人は悲観やネガティブにひきこまれる心の性質をもっているようだ。

 けっきょく、自己暗示や口ぐせによって前向きやポジティブな言葉の習慣を断固として、かたちづくるほかないのだろう。悲観は絶対的な習慣である。抗うためには、強力な自己暗示のくりかえしが必要なのだろう。

 自己暗示やアファーメーションを聞いて、紙に書き、なんども頭のなかでくりかえして、強力な楽観の回路をつくるしかないのだろう。たぶん何ヶ月も訓練が必要になることだろう。そういったねばり強い努力がおこなわれないと、シークレットの扉は開きませんよ。


「今、幸せになって下さい。今、よい気持ちなって下さい。あなたがしなければならないことはそれだけです。もし、この本を読んで、あなたが得たものがそれだけだったとしても、あなたはこの「秘密」の最も素晴らしい箇所を受け取った事になります」




ザ・パワーザ・マジックザ・キー ついに開錠される成功の黄金法則 (East Press Business)引き寄せの法則 (講談社文庫)引き寄せの法則 エイブラハムとの対話


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03 19
2015

セラピー・自己啓発

呼吸で感情は入れ替えられるか――『「気づき」の呼吸法』 ゲイ・ヘンドリックス

「気づき」の呼吸法
「気づき」の呼吸法
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ゲイ ヘンドリックス
春秋社



「胸式呼吸は身体の中の「不安製造メカニズム」と結びついており、腹式呼吸は「リラックス製造メカニズム」とつながっています。…すぐに不安をとりのぞきたい場合は、意識的に呼吸のペースを落とせばいいのです。そうすれば、不安は確実に消えてなくなります」

「深呼吸をして姿勢を変えると、嫌な気分をいつまでも引きずっているのは困難だということです。浅い呼吸とコチコチに固まった姿勢というものが、落ち込んだ気分のメカニズムの一部になっています」



 呼吸というのはしぜんに働くもので、ストレスや不安にしたがってどのように呼吸が変化しているのか自分自身ですら知らない。ストレスがかかると息を殺したり、浅い胸呼吸をしている。息を殺した状態ではすでにリラックスした身体と心をもつことはできない。

 著者がよぶ「ファイト・オア・フライト(闘うか、逃げるか)状態になっており、すでに臨戦態勢である。子どものころには腹式呼吸をおこなっていたものが、ほとんどの大人は胸式呼吸の浅い呼吸しかしなくなっているという。そういう息苦しい呼吸があたりまえのものになってしまうと、よういにリラックスやおおらかな気持ちをもつことはむづかしくなってしまうだろう。

 著者は深呼吸やゆったりした呼吸で感情が安らかなものに変わるというのだが、深呼吸や腹式呼吸に変えてもわたしは著者のいうような劇的なリラックス状態を感じることができない。緊張や精神の思い込みが強く残るためか、呼吸の力というものの大きな力を感じとることができない。呼吸の力をあまりにも甘く見ているのだろうか。レッスンや修行が足りないのだろうか。

 本書は基本レッスン3、上級レッスン5まであり、その他にもトラウマ解消、依存症から立ち直る呼吸法、運動能力を高めるレッスンなどの項目がある。いずれもレッスンの項目が複雑で、やりにくい、覚えにくいというのが率直な感想。横隔膜呼吸では背をのけぞらせながら行うのだが、呼吸は体全体をつかっておこなうものだという自覚を芽ばえさせるために、体全体で呼吸を感じさせる手法をおこなうようだ。

 副交感神経のリズムをつかむという上級レッスンでかなり深いリラックス状態が感じられたのだが、呼吸と身体感覚に沈静することが深いリラックス状態を生み出すのかもしれない。

 時間がない人のために短縮版エクササイズも紹介されていて、背中をのけぞらせながらの深呼吸と、腕をねじまげて足も倒す呼吸、交互鼻孔式呼吸の三つのエクササイズが組み合わされている。

 呼吸は瞑想のさいにもかならず重要視されている。著者も感情をすっかりと入れ替えることができるといっている。しかしわたしにはその効果をしっかりと実感できないでいる。呼吸は忘れているし、緊張状態を呼吸で解ける大きな成果を感じたことがないからかもしれない。呼吸の変化は静かでわかりにくく、でも長い目で見れば、変えてゆくものがあるのかもしれない。呼吸のリラックスと感情の変化の力を信じたいものである。



呼吸による癒し―実践ヴィパッサナー瞑想ブッダの〈呼吸〉の瞑想心がすっと軽くなる、魔法のZEN呼吸法 ~イライラが消え、一瞬で感情を整理できる (宝島SUGOI文庫)ストレス、パニックを消す!最強の呼吸法 システマ・ブリージング丹田を創って「腹の人」になる (小学館文庫)


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世の中を分析し、知る楽しみを追究しています。興味あるものは人文書全般。ビジネス書、労働論、社会学、現代思想、経済学、心理学、精神世界、歴史学。。 そのときの興味にしたがって考えています。

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